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2017.12.16

THE PENINSULA TOKYO RALLY NIPPON 2017

1920年代のブガッティから1台20億円以上のフェラーリまでが約1100kmを走破

“日本の世界遺産や文化遺産をクラシックカーで繋いで、ニッポンの美しさを国内外に発信する”をコンセプトに、2009年にスタートした「ラリーニッポン」。第9回となる今年、チームLEONとして参加した「LEON.jp」前田陽一郎と、本誌・石井 洋の“我らが編集長コンビ”が、クラシックカーによるラリーの魅力を語り尽くす。その後編をお届けします。

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まとめ/山口幸一

前編』はこちら
ビーナスラインのワインディングロードを軽快に走り抜ける
ビーナスラインのワインディングロードを軽快に走り抜ける

コドライバーは司令塔?!

石井 “車好き=オタク”というのが一般的なイメージですけれど、特に外国人の参加者を見て思うのは、車好きって、むしろすごくアクティブな人たちなんですね。

前田 彼らはわざわざ日本にまで大切な車を運んできて、エントリーしているわけだからね。とにかく日本を走りたい、日本を知りたいという思いで。それから、海外の人たちは洒落ているよね。例えば、57年型のメルセデス300SLロードスターのオーナーは、毎日ストライプのシャツを着てエレガントに乗りこなしていたね、雨の日も。そうやって1000km以上を走破しちゃうわけだから、やっぱりカッコいいと思ったな。ところで石井くん、コドライバー体験はどうだった?
ビーナスラインより南アルプスの山々を望む
ビーナスラインより南アルプスの山々を望む
石井 正直に言うと当日まで、ずっとプレッシャーだったんですよ。ルートを間違えたらどうしようって。でも、ちょっと偉そうなんですけど、コドラって司令塔のような感じもあるじゃないですか。で、もしかしたら古い車だからこそかもしれないですが、実際に体験してみると、司令塔の僕と、僕が蹴り出したボールを受けてくれるドライバーの前田さん、そしてMG Bが一体になる感覚がとても印象的でしたね。人馬一体じゃないですが…。

前田 確かにそれはあるね。
気持ちのいいエグゾーストサウンドを響かせて走り去る参加者たち
気持ちのいいエグゾーストサウンドを響かせて走り去る参加者たち
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カーナビにはないコマ地図の面白さとは?

石井 仮にカーナビや詳細な地図を元にナビゲートするとしたら、モニターや地図を凝視してしまう。でも、コマ地図の場合は「次の信号を右折したら25km道なりです」といった具合に、ポイントとポイントのあいだにはいい感じに“間”があるじゃないですか。その“間”が、前田さんと僕と古いMG Bとのあいだにハーモニーというか、一体感を生み出す感じがして。2日間、あんなにクルマに乗りつづけた経験はないんですけれど、すごくいいリズム感があって不思議と飽きなかったですね。
諏訪大社の鳥居にて
諏訪大社の鳥居にて
前田 考えてみれば、自分のように普段からクルマに乗っていてロングドライブも好きな人間ですら、1日に10時間以上クルマに乗ることはないからね。でも、コマ地図って本当に面白いよね。何キロ進むと何があって、それを左や右に曲がってとコドラが言ってくれるだけで、初めての道をナビゲーションシステムなしに1000km以上走り切れるわけだから。

石井 たしかにそうですね。

前田 やっぱり人が作った、トラブルが生じても人の手で直せる車を操って、人がつくったルートマップをたどっていくと、ちゃんとゴールにたどり着けるわけじゃない。そういう面白さは、すべてのクラシックカーラリーに通じるものだと思うな。
諏訪大社では、神主さんから安全祈願のお祓いを受けた
諏訪大社では、神主さんから安全祈願のお祓いを受けた
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2人で走っているけれど、みんなで走っているような気がする

世界文化遺産に登録されている富士山本宮浅間大社にて
世界文化遺産に登録されている富士山本宮浅間大社にて
石井 さっき前田さんと僕とMG Bのあいだに一体感を感じたって言いましたけど、もっと言うと、ほかの参加者や主催者、そして現場で運営をサポートしていたペニンシュラのスタッフの方々とも一体感ができたような気がしましたね。もちろん前田さんと2人で走っているんだけど、みんなで走っているような気がするというか。
富士山本宮浅間大社の巫女さん
富士山本宮浅間大社の巫女さん
前田 ある車にトラブルが起きると、見ず知らずの参加者が声をかけてきて一緒に直したりね。それから、我々を迎え入れてくれた各地域の町の人たちとも一体感を感じたな。どこへ行っても声をかけてくれたり、温かいお茶を出してくれたり。
朝霧高原では、富士山がその雄大な姿を現した
朝霧高原では、富士山がその雄大な姿を現した
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雨が日本の姿をより美しく描き出す

石井 4日目、ザ・ペニンシュラ東京でゴールしたときも、車寄せの周りから皆さん、手を振ってゴールを祝福してくれましたね。あのときは、なんだか誇らしい気持ちになりました(笑)。

前田 ゴールを切ったときは“帰って来たぜ”って感じで感無量だったね。ある参加者は、夜間雨の中を走っていて、縁石が見えずに乗り上げてリタイアしたり、何台もゴールできないクルマがあったから。フロントウィンドウと幌の境目から延々と雨水が落ちてきたり、ガソリンが漏れたり、小さなトラブルには見舞われたけれど、何事もなく帰ってこられたのは、本当によかった。
朝霧高原のチェックポイントでは、皆が富士山にレンズを向けていた
朝霧高原のスタンプポイントでは、皆が富士山にレンズを向けていた
石井 今回のラリーニッポンをまとめたムービーを拝見したんですが、映像として改めて見ると、前半の2日間に雨が降ったことで、さらに美しい姿で日本が描き出されていると思いました。もやがかかる緑の山道をクラシックカーが走り抜けていくシーンだとか、沿道でずぶ濡れになりながらはしゃぐ子どもたちの姿だとか。
ゴールのペニンシュラ東京には、多くの観衆がつめかけた
ゴールのザ・ペニンシュラ東京には、多くの観衆がつめかけた
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体験こそお金に勝る

前田 今年のラリーニッポンは台風に見舞われたから、特に2日目は雨脚が強かったからね。面白かったのが、2日目のゴールとなる軽井沢マリオットホテルに、我々の直後にマイケル・カドゥーリー卿が到着してね。「サー、おつかれさまでした。いかがでしたか?」って声をかけたら、親指をたてて「パーフェクト」って答えてくれたんだよね。それが本当にすごいなって思ったな。

石井 なんて器が大きいんでしょうね。

前田 彼がドライブしていた1930年代のベントレーなんて、運転するだけでも大変なのに、あの土砂降りの中を400km近く走りきって、満面の笑顔で「パーフェクト」だって。「でも、お疲れでしょう。今日の天気は最悪でしたから」と返したら、「これも日本の一日でしょう。だから、僕はむしろこの雨も日本の姿なんだと思って、エキサイティングな1日を過ごしたよ」って。
ゴール後にペニンシュラ東京で開催されたガラパーティ
ゴール後にザ・ペニンシュラ東京で開催されたガラパーティ
石井 そのメンタルはすごいですね。

前田 せっかく日本にまで大切なクルマを運んできて、時間をかけて準備してきたのが、雨で台無しだって思っても不思議じゃないでしょう。だけど、日本は年間の5分の2は雨の日なわけで、しかも台風の中を走るなんて、そう経験できるものじゃないと。

石井 あんなにスーパーリッチな方でも、結局自分が実体験をすることを一番大事にしているんでしょうね。確かにお金を出したからといって、必ずしも台風の中をクラシックカーで走るなんて経験、できないですからね。“体験こそお金に勝る”って、言葉では聞いたことはありますが、カドゥーリー卿は本当にそう思っているから、仮に悪天候であっても前向きに楽しめる。
ガラパーティで挨拶する香港上海ホテルズ社会長のマイケル・カドゥーリー卿
ガラパーティで挨拶する香港上海ホテルズ社会長のマイケル・カドゥーリー卿
石井 今って、検索すればある場所の映像は見られるけど、そこに吹く風にあたることもできないし、その辺りの匂いを感じることもできない。やはり生身の人間として五感で楽しめるから、ラリーニッポンのようなイベントは魅力があるんでしょうね。

前田 もし機会があったら、こういうイベントを見に来るのもいいし、誰か友人で古いクルマを持っている人がいたら、体験してみる価値は充分にあると思う。それでクルマに少しでも興味が持てたら、ラリーニッポンのようなイベントへの入り口に立ったことになるわけだから。

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