SUVの可能性を追求した新型Q5の実力

アウディの新型Q5はその点、まっとうである。インテリアをブラックで統一している。ドイツ車が好むデザインだが、じつは違う素材で同じ色合いを出すのはすごく難しい。成功するとクオリティ感がみごとに出る。ドイツ車はある時期までこのもっとも手間とオカネのかかることを愚直に追求してきた。 Q5で“まっとう”と思うのは、その伝統的な手法で成功しているからだ。
それがじつはイイのである。運転しているときは感触や操作性がすぐれていると感じる。いっぽうで助手席では品質による安心感。

そんなことは百も承知の読者諸兄だろうが、スタイルは去りエレガンスは残る、という言葉が本当だとしたら、新型Q5はまさに好例だ。
新型Q5シリーズは大きくいうと、2リッター4気筒のQ5 2.0 TFSI quattroと、3リッターV6気筒のスポーティなSQ5の2本立て。
加えて2リッターのQ5のクワトロシステムは、安全性と燃費効率においてより高みを目指した新世代のものだ。

従来はたとえばタイヤのグリップがやや少なくなったら次の瞬間にスリップをしないような駆動力配分やブレーキ圧調整などを行ってきた。
新しいシステムではシステムが“こうきたら次はこうなるだろうから、こうしておこう”と駆動システムに介入して、より安心感の高い走りをめざす。
さらに負荷の少ない高速などでは積極的に後輪のギアを切り離して前輪駆動化。それによって燃費を追求するのだ。日本ではリッターあたり13.9キロとメーカーでは燃費を発表している。

Q5はSUVのもつ可能性をさらに深く追求したモデルなのだ。
すべてが見事にシンクロした極上のクオリティ

SQ5のクワトロシステムはQ5と異なり、どちからというと後輪駆動を重視したもの。通常はフロント40に対してリア60という割合のトルク配分だ。
じっさいの走りはみごと。いやな揺れはいっさいなく、いわゆるフラットライド。ダンピングコントロール機能つきスポーツサスペンションというそうだ。

ステアリングは応答性がよくて、クルマとの一体感はばつぐんだ。
“なんだかいいね、このクルマ”という体験がないだろうか。すべての連繋がいいとそうなる。

500Nmの最大トルクが1350rpmから発生する設定で出足もいいし、どの速度域でも加速性にすぐれる。回せば力がもりもり出る。
SQ5は操作系から動力系から足回りまで、すべてがみごとにシンクロしている。トバしてもよし、ジェントルに走ってもよし。

外観もインテリアも、おなじみのアウディのものだ。グリルとヘッドランプなどシャープな意匠だが、パッケージングはあくまで乗員優先と重要なところは崩していない。

Q5 2.0 TFSI quattroは全長4680ミリ、全幅1900ミリ、全高1665ミリ
車体側面に前後のホイールハウスを強調するようなキャラクターラインが入ったのが新型の特徴
赤いブレーキキャリパーなどSQ5は見かけもスポーティ
Q5シリーズにはオプションも多くライフスタイルカーとして使える
写真ではわかりづらいけれどテールゲートの面積は大きくしつつ実際の開口部はあるていど小さくしてボディ剛性を確保している
Q5でわかるようにグリルの意匠が新しくなりヘッドランプと上端が一直線となる
SQ5のインテリアは適度なスポーティ感が好ましい
バーチャルコクピットはオプション
コントロール類は使いやすいデザイン
Q5に用意されるレザーで張られたリアシートは前後のスライドも可能
SQ5はQ5のスポーティバージョンでクワトロシステムも別物
後席バックレストは3分割可倒式になっていて使い勝手はかなりよい
Q5 2.0 TFSI quattroは全長4680ミリ、全幅1900ミリ、全高1665ミリ
車体側面に前後のホイールハウスを強調するようなキャラクターラインが入ったのが新型の特徴
赤いブレーキキャリパーなどSQ5は見かけもスポーティ
Q5シリーズにはオプションも多くライフスタイルカーとして使える
写真ではわかりづらいけれどテールゲートの面積は大きくしつつ実際の開口部はあるていど小さくしてボディ剛性を確保している
Q5でわかるようにグリルの意匠が新しくなりヘッドランプと上端が一直線となる
SQ5のインテリアは適度なスポーティ感が好ましい
バーチャルコクピットはオプション
コントロール類は使いやすいデザイン
Q5に用意されるレザーで張られたリアシートは前後のスライドも可能
SQ5はQ5のスポーティバージョンでクワトロシステムも別物
後席バックレストは3分割可倒式になっていて使い勝手はかなりよい
ライフスタイルジャーナリスト。慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。
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