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2017.08.21

新型メルセデス・ベンツEクラス・カブリオレで極上のひとときを。

欧州では富裕層に圧倒的な人気を誇るカブリオレ。そのベンチマークともいえる、新型メルセデスベンツEクラス・カブリオレに試乗!

文/小川フミオ
Merceses-Benz E-Class Cabriolet

いつでもエレガントかつ快適であること、それがメルセデスのカブリオレ

世界でもっともエレガントなクルマはカブリオレだろう。欧州の高級車はとくにカブリオレをラインナップから外したことがない。代表格がメルセデス・ベンツである。

 2017年6月にスイスとイタリアとフランスの国境あたりを舞台に、新型Eクラス・カブリオレの試乗会が開催された。

ジュネーブ市街を出発して、モンブランなど冬はスキーリゾートと知られる一帯での試乗。高地のさわやかな風がじつに気持ちよいドライブだ。
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メルセデスのカブリオレのよさは、女子ウケ抜群のエレガントなスタイリングと乗り心地を含めた抜群の快適性にある。

フルオープンというとスポーツカーを連想してしまうけれど、じつはセダンをベースにした車両は欧米では戦前から主流だ。

太陽光線を欲しがったドイツのメーカーであるだけに、メルセデスはカブリオレを得意としてきた。スタイルへの審美観と、技術面での豊富な経験は新型Eクラス・カブリオレでも生きている。

メルセデスならではと思わせるのは、まずスタイル。トップを上げたときも下げたときもエレガントな印象が強い。
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カブリオレと、たとえばロードスターと呼ばれるスポーツカーなどでみるオープンモデルとでは幌が違う。後者は雨がしのげればいいという薄さ。いわば傘のようなもので、色もいちおう黒というのが定番だ。

カブリオレはいわば家。何層にもパッドの入った耐候性と遮音性も高い幌を備える。リアウィンドウが熱線入りガラスという場合も多い。

そのぶあつい幌をもこもことさせずに薄く、美しく仕上げるのに心を砕くのがメルセデスだ。Eクラス・カブリオレのまるでクーペのようにきれいなルーフラインを描く幌は、手がかかっている“いいもの”の証明といえる。

もちろんそれだけではない。新型はぐんと性能がアップしている。ひとつはシャシーが専用になったこと。従来はCクラスのものを使っていたが、今回はEクラス・クーペと共用だ。

ボディはひとまわり大きくなった。ホイールベースも伸びたことで「後席の居住性がアップしました」とメルセデス・ベンツの技術者が語ってくれた。

さらに力のあるエンジンや充実した先進的安全装備も、最新のラインナップに負けずとも劣らない。そのことは走るとすぐわかった。
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優雅でしなやかにしつけられた新型の走りに感嘆

メルセデス・ベンツEクラス・カブリオレは、見てよし、走ってよしの出来だ。

ぼくが乗ったのは(おそらく日本に導入されるのと同じ)E400 4MATICとE300だ。前者は245kW(333ps)の3リッター6気筒にフルタイム4WDシステムの組み合わせ。E300は180kW(245ps)の2リッター気筒を搭載し、後輪を駆動する。

最初のE400 4MATICにはおどろいた。非のうちどころがないクルマだ。オプションのエアボディコントロールというフルエアサスペンションシステムを組み込んでいたせいもあり、しなやかで、路面の凹凸による揺れはしっかり抑えた乗り心地だ。
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それだけでこのクルマに期待される上品な乗り味をしっかり提供してくれることがわかる。それでいて、ワインディングロードでの走りのよさにも目をみはるものがある。

走ったのが冬はスキーを楽しむ山岳地帯だということは触れたとおりで、山間を縫う道は狭くて曲がりくねっている。そこを走り抜けるときの車体の動きのよさには、あらためて感心した。

ステアリングホイールはことさらシャープさが期待されているわけではないが、しかし、切りこんだ感覚と車体の反応とのみごとなシンクロぶり。

コーナリングは安定した姿勢で行われ、ステアリングホイールを握っているドライバーにはクルマの状態がまさに“手にとるように”わかる。
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メルセデス車のステアリングは、わりとゆっくり切れる印象があるし、中立ふきんに戻る力もそう強くないのでスポーティなコーナリングとは無縁のように思われがちだ。

ところが実際はこんなに安心してコーナリングが出来るクルマはめったにない。Eクラス・カブリオレのみしりともいわない剛性感の高い車体と、よくしつけられたサスペンションシステムとが、みごとにタッグを組んでいる。

エンジンももちろん走りのよさに大きく貢献している。E400の3リッターV6ユニットは480Nmという大トルクを1600rpmという低い回転域から発生する。

それだけでも十分な走りが期待できるが、さらに9段オートマチック変速機が手助けしている。走行パターンなどを記憶しつつ的確な演算によって走行状況に応じて最適なギアを選ぶのだ。
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コーナリング時などでは進入から脱出まで、驚くほど早いペースでスムーズにこなせるのはエンジンを持つトルクカーブを変速機がうまく引き出してくれるためでもある。

ゆえに180kW(245ps)の2リッター搭載のE300でも十分な力を感じさせる。スタートから加速を続けていくと途中でややトルクが薄くなるところに気づくが、たとえば東京の市街地で使うのに不満をおぼえることはなさそうだ。
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最新技術でカバーされたカブリオレにもはや死角はない?

メルセデス・ベンツがEクラスにカブリオレを最初に設定したのは1994年という。当時から後席をちゃんと持つフルオープン車として、味のあるいいスタイリングだった。

以前は風の巻き込みや気温など、人間が着るもので調整しなくてはならなかったカブリオレ。最新のEクラス・カブリオレの快適性はセダンなみに上がっている。

そもそもウィンドシールドが前席乗員の頭上まで伸びていて風の巻き込みが少ない。加えて後席背後に電動で出るウィンドストップなる風巻き込み防止のスクリーンも効果的だ。

ウィンドシールド上端にはエアキャップ。センターコンソールのスイッチで作動するウィンドストップなる風の巻き込み防止用のデフレクターだ。

寒いときは前席乗員の首もとに温風を吹き出すエアスカーフも。冷涼な気候の時期が多い北欧で発達した、そもそも馬車の形式だっただけに、工夫が多いのだ。
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Eクラス・カブリオレでオープンドライブをしていると、風の巻き込みが(前席は)ほぼないまま、頭上には大きな空が広がり、またとないパノラマが展開される。この感覚は一緒に乗るひとへのまたとない贈りものになるはず。

インテリアのクオリティ感は高く、レザーとウッドとクロームがふんだんに使われていて、オーナーのプライドをくすぐること間違いなし。

ダッシュボードのウッド(そうでない仕様もある)は表面に微妙なカーブがつけられているのも、加工技術を思えばただものでない。Eクラスだけにぜいたくな雰囲気がしっかり味わえる。

さきに書いたように、Eクラス・カブリオレは幌をあげたまま洒落たクーペとして乗ってもサマになる。日本では実際、ほとんどのカブリオレ・オーナーが開けたのは買った直後の1回だけとか。それでは少しもったいないので、彼女をせっせと誘って、一緒に楽しもうではありませんか。
● 小川フミオ 

ライフスタイルジャーナリスト。慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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