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2021.03.02

【短期連載】マッチョなクルマを考える【2】

モータージャーナリストが考える「エコマッチョ」なクルマ

好評を博したLEON3月号「マッチョなクルマ」特集。それを受けてこの連載では、さらにマッチョなクルマを多角的に考えていきます。連載第2回は「エコマッチョ」。エコでマッチョ!? 何やら相反する言葉のようにも思えますが ── 。

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取材・文/小川フミオ

パワフルなSUV、だけどエコ、というのは実はかなり好ましい組合せ。そんなクルマが増えているんです。ドイツ車を中心に、マイルドハイブリッドシステム搭載モデルが、日本でも続々登場しています。

今回はコレに注目。新しい時代の新しいクルマの価値観。「エコマッチョ」として、おおいに評価しちゃおうではありませんか。
▲ レンジローバースポーツ
そもそもオフロード的な機能やスタイルに、都市生活に合う使い勝手の良さを加味したのがSUV。なんて説明はもはや不要でしょうね。自由度が高いパッケージなので、いまや、さまざまなモデルが登場。なかでも、楽しさにおいてはパワフルな性能ぶりと、アグレッシブともいえるスタイルを特徴とするSUVが人気です。

そしていま、世のトレンドである環境性能も追究しちゃおうという、エコフレンドリーなSUVが出てきています。筆者は、コレを「エコマッチョ」なクルマと呼びたいのです。たんに運転者が楽しめればいいという自己満足から、他者満足へと価値観を転換させること。これこそ、いまの時代のクールな生活様式といえるのではないでしょうか。

具体的にいうと、ここで紹介したいのは、マイルドハイブリッドシステム搭載モデルの数々です。マイルドハイブリッドとは、エンジン走行が基本で、必要に応じて電気モーターの力を借りるシステム。たとえばそれは、エンジンが苦手とする発進直後などごく低回転域。もうひとつは変速したときの一瞬のトルクの落ち込みによる加速の鈍化時。

ピュアエンジン車だと、トルクを補おうとしてドライバ−はついアクセルペダルを多めに踏んでしまいます。結果、エンジン回転が上がって排ガス中のCO2などの問題物質の予期せぬ増加。でも、いきなりトルクをぼんっと立ち上げてくれるモーターなら、たとえそんなに大きくなくても、加速に勢いをつけてくれます。そのあとはエンジンが引き継ぐというのが、マイルドハイブリッドシステムの基本的な考え方です。

CO2排出量の規制がどんどん厳しさを増す欧州では、マイルドハイブリッドシステムに注目するメーカーが増えています。そして実は、日本のスズキがいちはやくISG(モーター機能付き発電機)を搭載していました。大排気量エンジンで実現したのはメルセデス・ベンツやアウディのドイツ組であります。
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▲ メルセデスAMG GLE 63 4MATIC +クーペ
メルセデス・ベンツは、ISG(インテグレーテッド・スタータージェネレーター)とかBSG(ベルトドリブン・スタータージェネレーター)といって、必要に応じて、モーターで駆動軸にトルクをかけるシステムを、まず2018年の「CLS」で採用。現在はほとんどのモデルで使われるようになっています。

メルセデス・ベンツのSUVでは、もっともサイズに余裕がある「GLS」の「GLS580 4MATICスポーツ」と「メルセデスAMG GLS63 4MATIC+」にISGが搭載されています。GLEクラスでは「GLE450 4MATIC スポーツ」「メルセデスAMG GLE 53 4MATIC+」と「メルセデスAMG GLE63S 4MATIC+」に、またGLEクーペでは「メルセデスAMG GLE 53 4MATIC+クーペ」と「メルセデスAMG GLE63 S 4MATIC+クーペ」に設定されているんですね。

はっきりいって、どのクルマもよく走ります。GLSクラスとGLEクラス、どっちも最近モデルチェンジを受けたばかりなので、装備的にも不満はなく、全長5210ミリのGLSクラスか、対して4930ミリのGLEクラスか、どこまで余裕が欲しいかで決めるのもいいかもしれません。個人的には、メルセデスAMG GLE 53 4MATIC+クーペ(1437万円)や同63 S 4MATIC+クーペ(1998万円)のスタイリッシュなボディにおおいなる魅力を感じております。
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▲ アウディQ7 55TFSIクワトロ
アウディも早くからマイルドハイブリッドに注目していたメーカーです(MHEVと同社では呼びます)。現在日本で乗れるアウディの大型SUVとしては「Q8」と「Q7」の3リッターV6TFSI搭載モデルに48ボルトのマイルドハイブリッドシステムが搭載されているんですね。「Q5」には12ボルトのマイルドハイブリッドシステム。2リッターのTFSIとTDIと、ディーゼルエンジンにも組み合わせられているのが特徴です。

アウディでは、全長5056ミリの堂々たる体躯のQ7 55TFSIクワトロ(947万円〜)、とてもよく出来ています。これがオススメ。2994ccのエンジンは、上で触れたとおり、走り出しからモーターの力でスムーズ。ボディの大きさをまったく意識させません。ハンドリングは素直で、ふたまわりぐらい小さなクルマを操縦しているような軽快な気分です。

とりわけエアサスペンション装着モデルは、ワインディングロードではボディのロール抑えめでスポーティに、いっぽうハイウェイでは快適にと、万能選手ぶりを発揮してくれるんです。3列シートの7人乗り仕様もあるので、ご家族が多い方にもうってつけ。メルセデスもBMWも、最近のSUVで見られるようになった3列シートは米国から始まったトレンドです。
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▲ ランドローバー・ディフェンダー110
英国代表選手ランドローバーも負けていません。「ディフェンダー110」(754万円〜)と「レンジローバースポーツ」(936万円〜)には、マイルドハイブリッドシステムを組み込んだ新設計の3リッター6気筒ディーゼルエンジン搭載モデルがあります。
▲ レンジローバーイヴォーク
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「ディスカバリースポーツ」(546万円〜)と「イヴォーク」(574万円〜)は、マイルドハイブリッドシステムの2リッター4気筒ディーゼルを用意。パワーと燃費の両立で攻めてます。

そう、実はディーゼルエンジンもマイルドハイブリッドと相性がいいんですね。BMWでは2021年2月に「X5」「X6」「X7」それぞれに、マイルドハイブリッドシステムを組み込んだディーゼルモデルを発表したんです。やはり、モーターがギアでエンジン駆動軸にトルクを足すISG(インテグレーテッド・スタータージェネレーター)です。
▲ BMW X7 xDrive 40d
たとえば「BMW X7 xDrive 40d」(1114万円)。3リッター直列6気筒ユニットには「BMWツインパワー・ターボ・テクノロジー」をあらたに採用して、最高出力は、現行モデルのxDrive35dより55kW(75ps)アップの250kW(340ps)、最大トルクは80Nmアップの700Nmに。「パフォーマンスと効率性を大幅に向上」とBMWでは謳っています。燃費は最大でリッター1.1キロアップしているのこと。
最後にご紹介するのは、エコな国のイメージが強いスウェーデン代表のボルボ。同社もピュアEV、プラグインハイブリッド、そしてマイルドハイブリッドと、いわゆる電動化に熱心です。マイルドハイブリッドは「XC40」をはじめ「XC60」「XC90」と、SUVのラインナップすべてに用意されてるんですね。
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▲ ボルボXC90
「B4」「B5」それに「B6」とパワーに応じてグレードが設けられています。もっともコンパクトなXC40ではB4とB5とがあり、XC60では184kW(250ps)のB5と220kW(300ps)のB6が設定されています。トップモデルのXC90でも同じ出力数値のB5とB6とがあります。XC40はB5で十分に気持ちよく走るいっぽう、XC90ではやっぱりXC90 B6 R-DESIGN(1004万円)のパワフルさが印象に残ります。

全長4950ミリある車体のXC90。1775ミリの全高も活かして、後席もスペースたっぷり。中には、リムジンのように使う人もいるぐらい。車体は大きめなものの、操縦性が良くて、ハンドリングが素直で、運転の楽しさでは上でご紹介したドイツ車にけっして退けをとっていません。

個人的には、後席にシャンパンクーラーまでついたリムジン仕様「エクセレンス」が好きなのですが、日本ではカタログモデルにありません。XC90 B6の限定として販売してくれないものでしょうか。もし出てきたら即買いモノのモデルです。

結論から言いますと「エコマッチョ」なクルマとは、ハイブリッド大型SUV。ボディの大きさゆえに動き出しや加速がイマイチ、だけどそれを補うシステム搭載でボディの大きさを感じさせないクルマのことなのです。エコなクルマは世の中にどんどん増えていますが、エコだけではなく、ちゃんとイバリの効くボディも担保できるエコマッチョなクルマ。どうです、LEONっぽいと思いませんか ── ?

● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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