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2026.11.08

【試乗リポート】売れているにはワケがある。最新のマツダロードスターはココが凄い!

マツダは、オープンスポーツカー「ロードスター」のソフトトップモデルと、RF(リトラクタブルハードトップモデル)」を商品改良し、2026年9月に発売した。新たに追加された特別仕様車「PS」をはじめ、ベースモデルなどにもあらためて試乗し、その進化を感じとることができた。

BY :

文/藤野太一(自動車ジャーナリスト)
CREDIT :

写真/マツダ 編集/森本 泉(Web LEON)

11年目にして最新の車外騒音規制をクリア

マツダ ロードスター PS

現行の4代目(ND型)ロードスターが発売されたのは2015年のこと。以来11年をかけて進化し続けている。2025年には国内販売台数が1万台を突破。これは発売11年目にして最高の実績である。


なぜいまロードスターは売れているのか。マツダの国内ブランドビジネス統括本部によると、ロードスターは他のセグメントに比べてWEBやSNSをきっかけに購入検討する人が多いという。すなわち若い世代に受け入れられており、なかでも20代の購入者数は過去6年間で倍増、特に女性比率が高まっている。

特別仕様車の「PS」。ND型ロードスターとしては初の緑色「ZINC GREEN」を設定。

▲ 特別仕様車の「PS」。ND型ロードスターとしては初の緑色「ZINC GREEN」を設定。

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今回の商品改良のポイントのひとつが、車外騒音規制における「フェーズ3」への対応だ。近年規制はどんどん厳格化されている。排気ガスや排気音だけでなく、走行時(加速時)の騒音も規制の対象となる。マフラーに装着されるサイレンサーの容量をアップ、さらに規制はロードノイズにまで及ぶため、静音タイヤを採用することでそれらをクリアしている。


ソフトトップモデルのパワートレインは、全グレード共通のもの。1.5リッター4気筒自然吸気エンジンは最高出力136PS、最大トルク152Nmを発揮。トランスミッションは6速のMTまたはATを組み合わせる。

電動リトラクタブルトップの「RF」はパワフルな2リッターエンジンを搭載する。

▲ 電動リトラクタブルトップの「RF」はパワフルな2リッターエンジンを搭載する。

電動リトラクタブルトップの「RF」は、ソフトトップに比べておよそ100kg重くなる車両重量にあわせて、2ℓの4気筒自然吸気エンジンとなる。最高出力182PS、最大トルク206Nmを発揮。トランスミッションはソフトトップと同様に6速のMTまたはATを組み合わせる。こちらは快適性が高められたGTカーのようなキャラクターとなる。

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PSのインテリア。エアコンダイヤルやエンジンスターターリングをブラックに。エアコンのルーバーの内側にシルバーの加飾を施すなどさり気ない変更を行っている。

▲ PSのインテリア。エアコンダイヤルやエンジンスターターリングをブラックに。エアコンのルーバーの内側にシルバーの加飾を施すなどさり気ない変更を行っている。

バランスのいい特別仕様車「PS」がデビュー

商品改良のもうひとつのポイントが、ソフトトップモデルに追加された特別仕様車「PS」だ。PSとはピュアスポーツの略で、以前に紹介した、「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER」で培った技術や知見を織り込み、さらに走りの楽しさを追求したモデルという。


足回りでは、ビルシュタイン製ダンパーの縮み側の減衰力を下げて、スプリングをかたくする専用のチューニングを実施。またMT 車の制御系に手を入れ、加速応答を改善、ヒール&トゥを行う際にブレーキの踏み込みが浅くてもシフト操作がうまくいくようアシストしてくれる。これらの制御は同じタイミングで他のグレードにも採用される。

シートは、新たな安全基準に対応するためヘッドレストの高さと形状が最適化されている。

▲ シートは、新たな安全基準に対応するためヘッドレストの高さと形状が最適化されている。

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また先述の規制対応に対しても、新しいタイヤの特性にあわせて電動パワーステアリングのチューニングを行い自然ですっきりとした操舵フィーリングを実現。またサイレンサーを吊るすブッシュの構造を見直すことで揺れを抑制し、吸気、排気音の再チューニングも行っている。ころんでもただでは起きないというわけだ。


「PS」はレイズ製の16インチ鍛造ホイールやブレンボ製のブレーキなどを装備。ソフトトップはグレーのみの設定で、ND型ロードスターとしては初の緑色「ジンクグリーンメタリック」を設定する。これは橋などの工業製品に用いられる防錆塗料からヒントを得たもので、タフさやワイルドさを演出する。


ドライブしての第一印象は、従来のRSよりもしなやかであるということ。シートや内装のしつらえもさりげなくていい。個人的にはロードスターを選ぶなら、RSではなくベーシックグレードのSだと思ってきたが、そのあいだを埋めるトータルとしてバランスのいいモデルに仕上がっていた。PSのセールスが出だし好調というのもうなずける。

ベーシックグレードの「S」。さまざまな最新の規制をクリアしながら車両重量1010kgは驚異的。

▲ ベーシックグレードの「S」。さまざまな最新の規制をクリアしながら車両重量1010kgは驚異的。

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軽いことが正義

ベーシックグレードである「S」にもあらためて試乗した。車両価格295万9000円と、300万円を切るマツダの良心の塊のようなクルマである。ソフトトップのインシュレーターをはじめ遮音材を省き、リアのスタビライザーなども非装着の、要は素のモデル。したがって軽い。いまの時代にあって車両重量1010kgはすごいとしかいいようがない。電気自動車の自動車重量税を免税にするくらいなら、ロードスターにこそそうすべきだと思う。


ちなみにPSの車両重量は1030kg。それだっていまのクルマとしてはとても軽い。しかし、Sのステアリングを握ると、もっと軽く感じる。試乗会はあいにくの大雨に見舞われたのだけれど、バシャバシャとタイヤが水を跳ね上げる音が後方から聞こえてくる。20kgを削り取るのにいかに腐心しているのかが伝わってくる。


PSがしっかりと踏ん張りながらコーナリングするのに対して、Sはロールを許容しながら、ひらりひらりと曲がっていく。どこか初代のNA型ロードスターを思わせる。コーナーを速く走りたいなら間違いなくPSを選ぶべきだ。けれども街中で、ゆっくりと流していても楽しいのはSのほうかもしれない。スポーツカーにとって軽さは正義である。

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11年間にわたって熟成を続け、電気自動車であっても容易ではないと言われる厳しい規制をもクリアしている。いまや世界の多くのスポーツカーなどがこの規制に対応できず生産中止の憂き目に遭い、またはハイブリッド化をすすめているにも関わらずだ。そんななかピュアなガソリンエンジンを維持しながら、規制に対応し、かつこれまで以上にいいクルマに仕立てているマツダの開発チームにはただただ驚き、ひとりのクルマ好きとして感謝の念に堪えない。最新が最良、売れている理由がわかるというものだ。

マツダ ロードスター PS

■ マツダ ロードスター PS

ボディサイズ/全長3915×全幅1735×全高1235mm

ホイールベース/2310mm

車重/1030kg

駆動方式/FR

エンジン/1.5ℓ直4 DOHC

トランスミッション/6速MT

最高出力/136PS(100kW)/7000rpm

最大トルク/152Nm/4500rpm

燃費/16.9km/リッター(WLTCモード)

車両本体価格/366万3000円

藤野太一(自動車ジャーナリスト)
大学卒業後、自動車情報誌「カーセンサー」、「カーセンサーエッジ」の編集デスクを経てフリーの編集者兼ライターに。最新の電気自動車からクラシックカーまで幅広い解説をはじめ、自動車関連のビジネスマンを取材する機会も多くビジネス誌やライフスタイル誌にも寄稿する。またマーケティングの観点からレース取材なども積極的に行う。JMS(日本モータースポーツ記者会)所属。写真/安井宏充

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