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2026.10.28

【試乗リポート】あの「ムラーノ」が左ハンドルで帰ってきた! 助手席の彼女にはくれぐれもお気遣いを‼

今年3月、日産自動車は、米国で生産しているSUV「ムラーノ」を日本に輸入し、2027年の初頭に発売すると発表した。日本市場においては11年ぶりの復活となる。国内導入に先駆けて、日本の道で米国仕様のムラーノに試乗する機会を得た。

BY :

文/藤野太一(自動車ジャーナリスト)
CREDIT :

写真/日産自動車 編集/森本 泉(Web LEON)

トランプ関税の影響で復活したアメリカ育ちのムラーノ。その実力は?

日産ムラーノSV

「ムラーノ」という車名に郷愁を覚えるオヤジさんもいることだろう。ムラーノは2002年に北米市場で発売されたSUV。当初は北米のみで販売する予定だったようだが、参考出品した東京モーターショーでモダンなデザインが大きな反響をよび、2004年には日本市場でも発売されることに。それから2015年まで2世代にわたって販売されてきた。


3代目は北米市場専売で、日本市場では一部モデルを除いて導入されることなく、ムラーノはラインアップから消えていた。その背景にはムラーノの生産工場を日本から米国へ移管したという問題があった。日本政府は米国の安全法規を満たしたクルマであっても、米国生産車を日本に輸入する場合には追加のテストを課しており、それが自動車メーカーには大きな負担となっていた。

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2025年より販売が開始された4代目ムラーノ。米国テネシー州スマーナ工場で生産される。

▲ 2025年より販売が開始された4代目ムラーノ。米国テネシー州スマーナ工場で生産される。

2025年、北米市場では新型となる4世代目ムラーノが登場。そして、いまなぜふたたびムラーノが日本で発売されるのか。その理由は件のトランプ関税の影響だ。日米関税交渉を受けて日本政府は追加テストを免除し、米国生産車の輸入手続きを簡素化した。国内でも左ハンドルの米国仕様をそのまま売ることができるようになったというわけだ。ちなみにトヨタは同様にピックアップトラックの「タンドラ」を発売している。


約11年ぶりに日本市場に導入されるムラーノは「SV」というグレードのみの設定で、車両価格は796万4000円。しかし、今回用意された試乗車は日本には導入予定のないセミアニリンレザーやパノラミックルーフ、21インチタイヤを装着した上位グレードの「Platinum」だった。エンジンなどの仕様は共通なので出力などには違いはない。

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上位グレード「Platinum」のインテリア。日本導入グレード「SV」では、シート表皮が合成皮革となり、ガラスルーフやBOSE製オーディオが非装着となる。

▲ 上位グレード「Platinum」のインテリア。日本導入グレード「SV」では、シート表皮が合成皮革となり、ガラスルーフやBOSE製オーディオが非装着となる。

ボディサイズは全長約4.9m、全幅約2mという国内での日産SUVラインアップにおいてはエクストレイルを超える最大サイズなる。フロントマスクの雰囲気やワイド&ローなスタイリングなどは、どこか初代を思わせる。


インテリアの最大の特徴は左ハンドルであること。これをどう捉えるかは人によって意見が分かれるところだが、個人的にはETCがついていれば問題ないと考える。たしかに左ハンドルは日本の道では右折時に細心の注意が必要になるが、一方で左折時の巻き込みに気づきやすいといったメリットもある。日産が得意とするドライビングサポートも備わっており、車両に設置された4つのカメラ映像を組み合わせて、空から見下ろしているかのような映像を映しだすなど駐車もしやすい。また人や自転車など周囲に動くものがいる場合には表示とブザーで注意を促してくれる。

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ウッド調のパネルにさり気なくなじむエアコンの操作スイッチ。ATのセレクターボタンや走行モードの切り替えスイッチは、その下に配置されている。

▲ ウッド調のパネルにさり気なくなじむエアコンの操作スイッチ。ATのセレクターボタンや走行モードの切り替えスイッチは、その下に配置されている。

デザインはとてもシンプルなもので、メーターとインフォテインメントは12.3インチのディスプレイを左右に2つ組み合わせている。ラジオの周波数が日本仕様になっていないなど、北米仕様のままの箇所もあったが、スマートフォンを接続してアプリを使えばある程度は解消できるだろう。

肌触りのよいセミアニリンレザーやガラスルーフの備わる明るいインテリア。日本にもこの仕様の導入を期待したいところ。

▲ 肌触りのよいセミアニリンレザーやガラスルーフの備わる明るいインテリア。日本にもこの仕様の導入を期待したいところ。

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もうひとつの大きな特徴が、世界初採用の技術を搭載したVCターボエンジン。日産といえばハイブリッドの「e-POWER」を思い浮かべるかもしれないが、これはノンハイブリッドエンジンである。1998年より研究を開始し、世界初の量産化を実現したもので、エンジン圧縮比を8:1から14:1の間で無段階に自在に変更できる。具体的には街乗りなどの低・中負荷時は圧縮比を14にして燃費を最大化し、加速時や高速走行時などは圧縮比を8に下げてノッキングを防ぎつつパワーを向上させる。ちなみにエクストレイルでは1.5ℓのVCターボエンジンとe-POWERを組みあわせているのだけれど、あくまで発電機として使用しているため、エンジンとしての気持ちよさは味わえない。


2ℓ4気筒ターボエンジンは、最高出力180kW(245PS)、最大トルク352Nmと必要にして十分なもの。トランスミッションには9速ATを組み合わせている。VCターボの利点を活かし低速域からしっかりとトルクを発揮するため動きだしも軽快でパワーに不足なし。首都高速に入っても静粛性の高さは印象的で、これがe-POWERだといわれても疑わないほど。また首都高速や高速道路では、アダプティブクルーズコントロールとレーンキープアシストを組み合わせたプロパイロット(メーター内には北米仕様の「ProPILOT Assist」と表示)も使用可能で、やはり渋滞時にはとても便利だった。確認したところ日本仕様でも「プロパイロット」は、標準装備されているようだ。

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エッジの効いたリアフェンダーと一連のものとしてリアの左右いっぱいに広がるLEDテールランプはとてもキレイなもの。

▲ エッジの効いたリアフェンダーと一連のものとしてリアの左右いっぱいに広がるLEDテールランプはとてもクリーンなもの。

直進安定性もよく、サスペンションもとてもしなやか。日本仕様のタイヤサイズは1インチダウンの20インチになるというから、少し印象が異なるかもしれない。4WDシステムは「インテリジェント4×4」と呼ばれるもので、ステアリングの操舵量を検知する舵角センサーと車両の旋回情報を判断するヨーレートセンサー、さらにGセンサーからの情報をコンピュータが瞬時に分析し、ドライバーが思い描くラインを予測。走行状況に応じて、前輪と後輪のトルクを100:0から約50:50の間で最適に配分し、安定した走りを実現する。これによって大きなボディを忘れさせるくらいのハンドリングマシンになっている。


ちなみに車名のムラーノとは、イタリアのベネチアングラスで有名な島の名に由来する。「人間の五感に訴える美しさ」、「手作りの温かみ」がこのクルマのコンセプトに共通するという。助手席の彼女との会話にそんなトリビアをしのばせれば、オヤジさんにとって懐かしい、彼女にとっては新しいこのクルマに興味をもってくれるかもしれない。最後に、左ハンドルゆえ助手席の彼女が車道側で乗降することになるので、くれぐれもエスコートをお忘れなく。

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日産ムラーノSV
日産ムラーノSV

■ 日産ムラーノSV

ボディサイズ/全長4900×全幅1980×全高1725mm

ホイールベース/2825mm

車重/1945kg

駆動方式/4WD

エンジン/2ℓ直4 DOHCターボ

最高出力/245PS/5600rpm

エンジン最大トルク/352Nm/4400rpm

トランスミッション/9速AT

車両本体価格/796万4000円

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藤野太一(自動車ジャーナリスト)
大学卒業後、自動車情報誌「カーセンサー」、「カーセンサーエッジ」の編集デスクを経てフリーの編集者兼ライターに。最新の電気自動車からクラシックカーまで幅広い解説をはじめ、自動車関連のビジネスマンを取材する機会も多くビジネス誌やライフスタイル誌にも寄稿する。またマーケティングの観点からレース取材なども積極的に行う。JMS(日本モータースポーツ記者会)所属。写真/安井宏充

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