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2026.05.20

【試乗リポート】BMWの未来がつまっている「iX M70 xDrive」ってどんなクルマ?

BMWの近未来を示すショーケースとして2021年に発売された意欲作「iX」がモデルチェンジ。電気自動車専用のプラットフォームに最新技術を凝縮した新型はどのような進化を果たしたのか、たしかめてみた。

BY :

文/藤野太一(自動車ジャーナリスト)
CREDIT :

写真/BMW AG  編集/森本 泉(Web LEON)

BMWの電気自動車「iシリーズ」のフラッグッシップ

BMW iX M70 xDrive

BMWはいま基本的に同一のプラットフォームを使って内燃エンジン車とBEV(電気自動車)をつくりわける戦略をとっている。SUVの「X1」、「X2」、セダンタイプの「4」「5」「7」シリーズがそれにあたり、BEVの場合は車名のあたまに「i」がつく法則となっている。

BMWが2018年に公開したコンセプトカー「ビジョンiNEXT」を市販化したもの。デザインはかつての「i3」などの流れを汲んでいる。

▲ BMWが2018年に公開したコンセプトカー「ビジョンiNEXT」を市販化したもの。デザインはかつての「i3」などの流れを汲んでいる。

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これらiシリーズのなかで、唯一BEV専用のプラットフォームをもとにつくられているのが「iX」。2021年にデビューした大型SUVであり、BMWによると次世代を見据えたショーケースとしての役割をもたせることを前提に設計、開発されている。昨年後半、その「iX」に一部改良がほどこされ、新型モデルへと進化した。

縦型のデイタイムランニングライトやキドニーグリルが輝くBMWアイコニックグローをを採用。

▲ 縦型のデイタイムランニングライトやキドニーグリルが輝くBMWアイコニックグローを採用。

エクステエリアでは、新デザインのバンパーや各所に採用されたブラックパーツによりスポーティなイメージに。縦型4灯のデイタイムランニングライトやキドニーグリルが輝くBMWアイコニックグローを取り入れている。

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iXにはじまったカーブドディスプレイがいまではBMWのインテリアの基本となっている。

▲ iXにはじまったカーブドディスプレイがいまではBMWのインテリアデザインの基本となっている。

インテリアは、メーターとセンタースクリーンが一体となったカーブドディスプレイがまるで浮いているかのように配置されている。


このカーブドディスプレイは、現行のBMWモデルの多くが採用するが、この「iX」にはじまったものだ。またシートなどは動物由来ではなく、植物由来の原料をつかった合成皮革“ヴェガンザ”と上質なマイクロファイバー素材を組みわせたエシカルな仕様。車内空間は専用プラットフォームの恩恵もあってセンタートンネルが無いためフロアもフラットで前後席ともに足元もゆったりと開放感がある。


ラインナップは、一充電走行距離がBMWのBEVにおいて最長の723kmを誇る「iX xDrive60」と、システム最大トルクが1015NmとBMWモデルにおいて最強の「iX M70 xDrive」の2種類。今回試乗したのは、BMW M社がチューニングを施したスポーティな、通称Mパフォーマンスモデルである後者だった。

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BMWモデルとして最強の最大トルク1015Nmを発揮

リアにより大きなパワー&トルクを配分し後輪駆動のような運転する楽しさを実現している。

▲ リアにより大きなパワー&トルクを配分し後輪駆動のような運転する楽しさを実現している。

「iX M70 xDrive」は、フロントとリアのそれぞれに1基ずつ駆動用モーターを配置する4輪駆動モデル。フロントのモーターは最高出力258PS、リアモーターは最高出力489PSを発揮。


システムトータルでの最高出力は659PS、最大トルクはBMWモデル最強の1015Nm (ローンチ・コントロールを作動時の場合は1100Nm)に到達し、0-100km/h加速はわずか3.8秒。ボディ床下に容量111.5kWhのリチウムイオン電池を配置し、一充電での走行距離は602kmとなっている。

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BEV専用プラットフォームのためセンタートンネルはなく、フローティングタイプのセンターコンソールを採用。クリスタル製のシフトセレクターや操作ダイヤルを配置する。

▲ BEV専用プラットフォームのためセンタートンネルはなく、フローティングタイプのセンターコンソールを採用。クリスタル製のシフトセレクターや操作ダイヤルを配置する。

ボディは主にBMWが得意とするカーボンとアルミによって構成されており、ドアを開くと骨格部分にカーボン地がのぞく。センターコンソールにあるスタート/ストップボタンでシステムを起動し、クリスタル製の小さなシフトセレクターをDレンジに入れて走り出す。


BEVはエンジンノイズがないだけに、かえってロードノイズや風切り音などが耳につくものだが、モーターやインバーターなどのノイズも含めてすべてがうまくマスキングされている。そして軽いクルマであるかのように感じる。実際には車両重量2610kgとヘビー級なのだが、それをまったく感じさせない。アクセルペダルに軽く足をのせて、ほんの数ミリ動かすだけでその動きに呼応するようにスムースに走る。

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植物由来の原料をつかった合成皮革“ヴェガンザ”を使ったシート。肌ざわりも柔らかく牛革とも遜色ない。

▲ 植物由来の原料をつかった合成皮革“ヴェガンザ”を使ったシート。肌ざわりも柔らかく牛革とも遜色ない。

高速道路の料金所をすぎて、少しばかり右足に力をこめてみると静かに、しかしスポーツカーも顔負けの加速をみせる。1015Nmのトルクなど公道ではとても使いきれるものではないけれど、その気になればいつでもいけますよという余裕がかえってリラックスしたドライブにつながる気がする。


そのハイパワーをうけとめるべく足元には22インチサイズの大径タイヤを履いているが、乗り心地も良好だ。「4輪アダプティブ・エア・サスペンション」を採用しており、走行状況にあわせて乗り心地やハンドリングを最適化してくれる。ワインディングなどでSportモードへと切り替えれば、車高を下げダンパーを硬くしたスポーツ走行に適した特性にもなる。

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荷室容量は通常時500リッターで、4:2:4分割式のリアシートをたたむと1750リッターまで拡大。床下にはサブトランクもある。

▲ 荷室容量は通常時500リッターで、4:2:4分割式のリアシートをたたむと1750リッターまで拡大。床下にはサブトランクもある。

また前後輪統合制御ステアリングシステムの「インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング」も標準装備しており、走行状況に応じて後輪を操舵する。低速域においては後輪を逆位相に操舵することで、最小回転半径が小さくなり駐車やUターンなど市街地での取り回しがよくなる。


一方で高速域では後輪を同位相に操舵することでコーナリング時など旋回時の安定性が高まるといった効果がある。ほぼ全長5m、全幅2mというサイズだが、これがあると使い勝手がとてもいい。

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これからも“駆けぬける歓び”を忘れない

BEVの楽しみ方のひとつとして音楽鑑賞がある。「iX M70 xDrive」は、1615W、30スピーカーのBowers & Wilkins ダイヤモンド・サラウンド・サウンド・システムを標準装備しており、その高い静粛性を活かして没入感が味わえる。


一方で「アイコニック・サウンド・エレクトリック」というギミックを搭載している。これは映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』などの音楽を手掛けたドイツ出身の作曲家のハンス・ジマーが創作した音が走行モードに応じてスピーカーから発せられるというもの。それはこれまで聞いたことがない宇宙船を思わせるような未来的なサウンドで、音による効果によってブランドのキャッチコピーである“駆けぬける歓び”が体感できるものを意図したというが、BEVであってもSUVであってもブレないそのこだわりがなんともBMWらしい。


静かで快適で、高速道路では一定の条件下で手離し走行ができるハンズオフなど最新の運転支援機能だって備えているけれど、それでも運転する楽しさのことは忘れない。BMWが考えるこれからのGTカーのエッセンスがすべてつまったモデルだと思う。

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BMW iX M70 xDrive
藤野太一(自動車ジャーナリスト)
大学卒業後、自動車情報誌「カーセンサー」、「カーセンサーエッジ」の編集デスクを経てフリーの編集者兼ライターに。最新の電気自動車からクラシックカーまで幅広い解説をはじめ、自動車関連のビジネスマンを取材する機会も多くビジネス誌やライフスタイル誌にも寄稿する。またマーケティングの観点からレース取材なども積極的に行う。JMS(日本モータースポーツ記者会)所属。写真/安井宏充

■ BMW iX M70 xDrive

ボディサイズ/全長4965×全幅1965×全高1695mm

ホイールベース/3000mm

車重/2610kg

駆動方式/4WD

フロントモーター/交流同期電動機

リアモーター/交流同期電動機

フロントモーター最高出力/258PS/8000rpm

フロントモーター最大トルク/365Nm/0-5000rpm

リアモーター最高出力/489PS/13000rpm

リアモーター最大トルク/650Nm/0-5000rpm

システム最高出力/659PS

システム最大トルク/1015Nm

一充電走行距離/602km(WLTCモード)

車両本体価格/1998万円


公式サイト

HP/BMW iX M70 xDrive

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