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2026.05.03

【試乗リポート】レクサス「RZ550e F SPORT」は安全もエンタメも近未来を先取り! 驚きと楽しさも両取り‼

レクサス初のEV専用モデル「RZ」がモデルチェンジを行い、さまざまなユニークな機能を搭載した。なかでも注目なのが「ステアバイワイヤ」と「インタラクティブマニュアルドライブ」。このデジタルな新技術によって、マニュアル操作のようなアナログな人間の感覚にフィットするドライブ体験を実現している。これから主流になるであろう最新技術の乗り味を試してみた。

BY :

文/藤野太一(自動車ジャーナリスト)
CREDIT :

写真/トヨタ自動車 編集/森本 泉(Web LEON)

レクサス初のステアバイワイヤ

レクサス RZ550e F SPORT

レクサスRZは2023年に発売されたブランド初のBEV(電気自動車)専用モデル。それがこのたび大幅に改良され新型となった。グレード構成は前輪駆動でもっとも航続距離の長い「RZ350e」をはじめ、4WDの「RZ500e」、そしてスポーツグレードの「RZ550e F SPORT」の3種類(特別仕様車のRZ600e F SPORT Performanceは受注終了)。今回はレクサス初の「ステアバイワイヤ」システムを導入した「RZ550e F SPORT」に試乗した。

2025年12月にマイナーチェンジした新型「レクサスRZ」。駆動用バッテリーの容量は71.4kWhから76.96kWhへとアップした。

▲ 2025年12月にマイナーチェンジした新型「レクサスRZ」。RZ550e F SPORTの駆動用バッテリーの容量は76.96kWhへとアップした。

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ここであらためて「バイワイヤ(by-wire)」とは、従来の機械的な結合のかわりに電気信号(ワイヤ)を送信して操作を行うシステムのこと。飛行機がルーツといわれ、現在はフライ・バイ・ワイヤと呼ばれる操縦システムが一般的。これは翼を動かす機構の物理的なケーブルやロッドを電気信号に置き換えることで機体の軽量化、燃費、安全性の向上を果たしている。

▲ RZのステア・バイワイヤのイメージ図。ステアリングシャフトとステアリングラックなどが物理的につながっておらず、電気信号によって舵を切る仕組み。

自動車の世界においてもアクセルやブレーキ、ステアリング操作などのバイワイヤ化が進んでおり、アクセル操作におけるスロットル・バイワイヤやシフト・バイワイヤなどはすでに一般化している。そして近年ではブレーキ・バイワイヤ、そしてステア・バイワイヤといったシステムが搭載されるようになってきた。


バイワイヤ化のメリットは飛行機の話にもあるように機構をシンプルに省スペース化、部品点数の削減により軽量化し、低燃費を実現できること。また安全性、操作性の向上なども挙げられる。


そしてブレーキ・バイワイヤやステア・バイワイヤが実現すれば、ブレーキペダルは足元にある必要もなく、ステアリングは丸い必要もないということになる。

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飛行機の操縦桿のようなステアリング

ステアバイワイヤ専用のヨーク型ステアリング。スポークの上部がないためメーターが見やすく視界がよいというメリットがある。

▲ ステアバイワイヤ専用のヨーク型ステアリング。スポークの上部がないためメーターが見やすく視界がよいというメリットがある。

そこで「RZ550e F SPORT」のステアリングはまるで飛行機の操縦桿やレーシングカーのようなヨーク型になった。試しにステアリングを左右に目一杯切ってみるとロックトゥロック(ステアリングの最大回転量)は右に半回転、左に半回転(正確には左右200度)しか回らない。要は手をはなすことなく両手でステアリングを握ったまま操作できるのだ。


一般的なセダンやミニバンのロックトゥロックは3回転半から4回転、スポーツカーなら3回転以下が目安で、最近は速度域によってステアリングギヤ比が可変するバリアブルステアリング(世界初はホンダ2000に採用されたものでロックトゥロックは従来のクルマの約半分の1.4回転)も普及しているけれど、いかに操作量が少ないかがよくわかる。

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このロックトゥロックが小さいということは、少ない舵角でクルマの向きが変わるので軽快に感じられるし、取り回しもよくなる。その一方で敏感になりすぎると高速走行時の安定性が悪くといったこともある。そのあたりはメーカーの味付けの妙というわけだ。


そこでバイワイヤとなると、切れ角はもちろんバリアブルにすることが可能だが、一方で物理的な結合がないため路面からの振動やタイヤがグリップしているリアルな手応えがダイレクトに伝わってこないということになる。そのため「RZ550e F SPORT」では必要な路面からのフィードバックを再現する仕組みが盛り込まれている。

ドライブモードは「ノーマル」「スポーツ」「エコ」「レンジ」に「カスタム」を加えた全5種類。モード切り替えはセンタースクリーンで行う。

▲ ドライブモードは「ノーマル」「スポーツ」「エコ」「レンジ」に「カスタム」を加えた全5種類。モード切り替えはセンタースクリーンで行う。

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走りだして、ステアリングを切ってみるととてもスムーズにノーズの向きがかわる。しかし、操舵フィールにもステアリングの戻りにも違和感のようなものは感じないし、路面からの情報もしっかりと伝わってくる。


高速走行時はレシオが変わり直進安定性も高く、ステアリングにそっと手をそえているだけでビシッと走る。それでいて車線変更の際はほんのわずかな舵角で横の車線へと移動できる。慣れてしまえば最小操舵で走行ができるので、疲労軽減にも役立つはずだ。

唯一、違和感を覚えたのは狭い駐車場などで何度も切り返しを行うような場面。そもそも左右に半回転しかまわらないのでステアリングを切る手間はないのだが、バックミラーやサイドミラーを見ながらの操作だと無意識に手がステアリングの上部を探してしまうのだ。まあそれも慣れの問題だし、基本的には自動駐車支援システムのAdvanced Parkを使ってねということかもしれない。

F SPORT専用の20インチアルミホイール。空力向上のためエアロカバーが備わる。

▲ F SPORT専用の20インチアルミホイール。空力向上のためエアロカバーが備わる。

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マニュアルの運転操作がエンターテインメントに

センターコンソールに配置された「インタラクティブマニュアルドライブ」を起動するためのMボタン。

▲ センターコンソールに配置された「インタラクティブマニュアルドライブ」を起動するためのMボタン。

ひたすらステアリングの話に終始してしまったが、「RZ550e F SPORT」は今回のモデルチェンジで従来モデルの「RZ450e」に対して全方位で進化を遂げている。


前後アクスルにそれぞれ最高出力227PS/最大トルク268Nmの駆動用モーターを搭載し、システム全体では408PSを発生。一充電走行距離(WLTCモード)は582kmにまで延びた。

「インタラクティブマニュアルドライブ」起動時の音響イメージ。4つのスピーカーを使って疑似サウンドを鳴らす。

▲ 「インタラクティブマニュアルドライブ」起動時の音響イメージ。4つのスピーカーを使って疑似サウンドを鳴らす。

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そしてこのF SPORTには、ステアバイワイヤに加えてもうひとつ「インタラクティブマニュアルドライブ」なる新機能も搭載された。本来的にBEVにはギアが必要ないことがメリットだが、このモデルにはあえてマニュアル操作感を演出しているのだ。

モーターの制御プログラムの仮想の8速トランスミッションを組み込んでおり、センタコンソールのMのスイッチを押すと起動する。ステアリングの左右に備わるパドルでシフト操作を行い、選択したギアやアクセル開度に応じてスピーカーから擬似エンジンサウンドが放たれる。


選んだギアによって車速の上限が決まり、シフトダウン時のブリッピングなど音だけでなく、シフトアップ時のトルクがいったん途切れるショックなど、まんま内燃エンジンのマニュアル操作が再現されていて、運転がとても楽しくなる。ノーマルモードにもどせば極めて静かでスムースで乗り心地よく、かつ速いBEVに瞬時に戻る。


いまやBEVも珍しくなくなったが、新安全技術のステアバイワイヤや新エンタメ技術のインタラクティブマニュアルドライブには新鮮な驚きや楽しさを感じた。おそらく次にくるのはこうした技術なんだろうと感じさせてくれる、近未来を先取りしたクルマだった。

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レクサス RZ550e F SPORT

■ LEXUS RZ550e F SPORT】

全長×全幅×全高/4805×1895×1635mm

ホイールベース/2850mm

車両重量/2140kg

モーター/交流同期電動機

フロント/リアモーター最高出力/227PS/227PS(167kW)

フロント/リアモーター最大トルク/268Nm/268Nm

システム最高出力/408PS

駆動方式/4WD

一充電走行距離(WLTCモード)/582km

乗車定員/5

車両本体価格/950万円


公式サイト

HP/https://lexus.jp

藤野太一(自動車ジャーナリスト)
大学卒業後、自動車情報誌「カーセンサー」、「カーセンサーエッジ」の編集デスクを経てフリーの編集者兼ライターに。最新の電気自動車からクラシックカーまで幅広い解説をはじめ、自動車関連のビジネスマンを取材する機会も多くビジネス誌やライフスタイル誌にも寄稿する。またマーケティングの観点からレース取材なども積極的に行う。JMS(日本モータースポーツ記者会)所属。写真/安井宏充

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