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2025.10.26

あなたはどこまで体験したことがありますか? 海外の珍フード体験記

今回は数多くの海外渡航経験をもつ筆者が出会った、驚きの食を紹介。なかなかにハードなものもございますゆえ、そちら方面に弱い方は閲覧注意でお願いいたします!

BY :

文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト)
CREDIT :

イラスト/溝呂木 陽

岡崎宏司の「クルマ備忘録」連載 第269回

海外で出会った「!?な食べ物」

イラスト 溝呂木 陽 海外で出会った「!?な食べ物」
旅と食べ物の話はつきものだが、家内との旅では「面白い話」になるような食べ物の記憶はほとんどない。

家内は好き嫌いが多く、「変なモノ?」には絶対手を出さない。それに対して、僕はといえば、未知のものが好きなので、変なものでも興味をそそられ、手を出すことが多い。

また、家内との旅は、ごく少数の例外を除いては、LA、サンフランシスコ、パリ、ミラノ、ウィーン、ロンドン、ミュンヘン、、、と、ほとんど伝統ある有名都市ばかり。
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もちろん、僕も分厚い歴史と物語のある大都市は好きだから、喜んで行く。こうした街は、食べ物にも不自由はしないし、好きなものも必ず見つかる。快適な旅ができる。

前述したように、家内のオーダーするメニューはまともなものだけ。未知の物や、いわゆる「ゲテモノ」の類には一切手を出さない。

一度だけ、、シンガポールでだったかと思うが、、家内が変わったメニューをオーダーしたことがある。カエルだ。

当時は(1970年代後半頃だったか?)、日本でもカエル料理は流行っていて、周りがみんな食べていたので、家内もなんとなく違和感がなくなっていたのだろう。

日本で食べていたカエル料理は、足(後ろ足)だけ。家内は当然、そのつもりでオーダーしたのだろうが、その時はなんと、全身がほぼそのまま出てきた。むろん、内臓は抜かれていたが、、。

当然、家内は絶句し、呆然とし、すぐに違うメニューをオーダーした。なので、「カエルの姿焼き!?」は、すべて僕に回ってきた。
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僕も、流石に姿焼きは気味が悪かった。でも、我慢して食べてみると味は悪くなかった。とはいえ、それ以来、家内はもちろん、僕もカエル料理は注文しなくなった。

変な食べ物、奇妙な食べ物には、世界のいろいろな場所で出会ったが、いちばん多かったのは中国だろうか。

自分一人とか、日本人同士の旅なら、当然、好きなメニュー、当たり障りのないメニューを選ぶ。だが、仕事で中国の会社から招待されたような時は、相手が用意してくれたメニューをいただくことも多くなる。

その結果、どんなものに出会ったかというと、、あれこれあるが、、とくに強く記憶に残っているもの、強いショックを受けたものの筆頭はゴキブリだ。

中国には食用に育てたゴキブリがあり、衛生的にも問題はない。だが、皿にどっさり盛ったゴキブリの唐揚げが目の前に出されると、やはり「ヤバイ‼」。

日本通の人なら、「よろしかったらどうぞ。いい土産話になりますよ(笑)」といった優しい勧め方になるが、そうでないと、けっこう強引に勧めてくる。
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客の立場としてどう振る舞うかは難しいところだ。、、が、「新し物好き、チャレンジ好き」の僕としては、せっかくの機会を「有り難く⁉」、あるいは「仕方なく⁉」受けて、箸を伸ばした。

ツヤツヤ ピカピカの唐揚げは、不気味だったが、高級料理店だったのが幸いしたのだろう。不潔感がなかったのには助かった。

もちろん抵抗はあった。だが、こうした場合躊躇は禁物。だから、一気に口に入れた。噛むとカリッ、パリッとした食感。中は空洞的で、ネチャッとした内臓らしきものは感じなかったので救われた‼

家に帰って、家内に「ゴキブリ食べたよ!」といったら、「私は絶対、中国には行かないわよ!」、「しばらくは側に寄らないで!」と、強烈なパンチが飛んできた。

蛇は、メキシコやアメリカ南部で何度か食べた。うれしくはなかったが、さほど抵抗もなかった。テキサスの砂漠の中にある「ガラガラ蛇」を売りにするレストランにも行った。

店の入り口にあるケースには多くのガラガラヘビがとぐろを巻いていたが、明るく広く清潔感のあるレストランだったので、ほとんど抵抗感なく入れたし、注文もできた。
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僕は油で揚げたメニューを注文したが、皮は剥かれているし、味は淡白なので、「鶏肉みたいだな」と思いながら、抵抗なく食べた。

メキシコやアメリカ南部の砂漠地帯をはよく旅をしたし、ガラガラ蛇への恐怖心は常に持っていた。万一噛まれた時の、緊急用解毒剤も常に携帯していた。

なので、鶏やカエルの肉に似た優しい味? には、ちょっと気が抜けたような感じもした。

そんなことで、ガラガラ蛇はOKだったが、インドネシアで食べた、マムシを折り畳んで串刺しにした姿焼き? にはビビッた。

話はスペインに飛ぶが、ここでも面白い体験をした。食べたのは、豚の腹子の丸焼きだが、炭火でじっくり焼き上げ、パリパリに焼けた皮とジューシーな肉は美味しかった。

腹子の丸焼きはテーブルの前の台に置かれ、それを熟練した料理人が切り分けて、われわれの皿に配ってくれる。

そこで突然、ことは起こったのだが、料理長が、「ここでいちばんの年長者はどなたでしょうか?」と声をあげた。
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みんなの顔が一斉に僕に向いた。たしかに、僕が最年長なのは間違いなかった。で、僕は、料理長に向かって手を挙げた。

料理長は、「ありがとうございます! では、お名前をお聞かせください」というので、僕はすぐ名を名乗った。

すると、「オカザキさま、あなたは非常にラッキーです。この子豚のいちばん貴重な部位は、最年長のあなたのものです。どうぞ、前にお進みください」と、僕を壇上に招いた。

貴重な部位ってどこ? 僕はたぶん、キョトンとした表情で壇場に上がったに違いない。

で、その答えを聞いて驚いた。なんと、豚の腹子のいちばん貴重な部位とは鼻の先端部だった。つまり、最年長の僕にはその部分が与えられ、僕は食べなければならないのだ。

周りのみんなは「おめでとうございます!」とか、「年長者って、やっぱり世界中で大切にされるんですね!」、、とか、好き勝手ことを口走り、拍手しながら大笑いしている。

落ち込んだ僕を前に、みんなは「さぁ、最年長者の強さと凄みをみせつけましょう!、、と大喜びで煽り立てる。
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料理長から手渡された小さな鼻はとにかく気持ちが悪い。でも、この地方では「めでたいこと!」なのだろうから、受けるしかない。

料理長から手渡された鼻先を握った感触は、やはり「コリコリ、グニャグニャ」で気持ちが悪かった。

躊躇すればするほど食べられなくなるので、僕は「行くぞー‼」と大声を挙げながら、口に入れ、必死の思いで何度か噛んで一気に飲み込んだ。味などわからない。僕はひたすら、お茶を飲み、口から味を、痕跡を消そうと必死だった。

恐ろしい経験はもう1度ある。ゴキブリと同様、中国の会社に招かれた時のことだ。

食事は順調に進み、とくに驚くようなこともなかった。、、のだが、終盤に差し掛かった頃、「恐怖の事件⁉」は起こった。

テーブル中央の火鉢の上に蓋つきの壺が持ち込まれ、載せられた。けっこう大きめの丸い形状の壺だった。

「これは本日最後の料理です。貴重な料理で、、お喜びいただけたら幸いです!」と主催者が述べた。、、で、やはり最年長の僕が壺の蓋を開けるよう促されたのだが、、。
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蓋を開けた途端、僕は気味悪さと怖さで絶句し、身体も硬直したような感覚になった。

壺の中には、毛の生えた頭のようなものが入っていた。「これは?」と恐る恐る僕が問うと、主催者はサラリと、、「猿の頭部です。頭の上の骨を取ると、脳みそが出てきますので、お召し上がりください」と、、、。

僕は瞬間、恐怖で硬直状態になった。でも、僕は主賓でもあり、同行者に強く促されたこともあって必死の思いで最初に手をつけた。食べ物で、こんな思いはしたことのない恐怖感に襲われた。味もほとんど覚えていない。

猿の脳味噌料理は、17世紀の清朝時代に起源を持つとされる、貴重な料理と説明された。

現在の中国では法的に禁止されている。僕が体験したのは40年ほど前のことだが、当時も「動物虐待」的議論は高まっていて、すでに一般的ではなくなっていたようだ。

となると、僕が食べた店は(立派な中華料理店だった)闇市場的に、一部の特別な客だけに提供するような店だったのかもしれない。
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最近、日本食を好む外国人は増え続けていると聞く。が、「生卵、梅干し、イカの塩辛、納豆、頭や尻尾付きのエビ、、等々には、相変わらず、近づかない人が多いとも聞く。

ゴキブリ、子豚の鼻、猿の脳味噌などと比べれば、可愛い話だ。

最後が重苦しい話になってしまい申し訳なかった。でも、旅の話で食の話は欠かせない。皆さんはどんな食の体験をなさっているのだろうか。
岡崎宏司(自動車ジャーナリスト)
1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。

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