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2020.08.10

新型「マクラーレンGT」はひと言では語れない魅力的なクルマだった

「マクラーレンGT」は、本国イギリスで2019年5月に発表されました。日本では6月に発表されて以来、話題に。というのも、全方位型のクルマづくりをするマクラーレンの魅力がギュッと詰まった一台になっているからなんです。そんな魅力たっぷりの一台を東京から三重の賢島まで走らせてみました。

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取材・文/小川フミオ

▲「The Hiramatsu Hotels & Resorts 賢島」にてマクラーレンGT
外出したくてウズウズしているオヤジさん。ゴルフにも、あのコとの遠出にもぴったりのスポーツカーが出ましたよ。それがこの「マクラーレンGT」です。マシンとの一体感、心地良い走り、ゆとりあるラゲッジスペース、と魅力たっぷりな一台で、東京から賢島まで走ってみました。

いまの時代、なにをするにも単位は”2”ってことが多くないでしょうか。ゴルフだってツーサムがいいし、レストランだって”密”を避けるために、小さな個室だったり、カウンターなら2人ずつ、いわゆる”島”化しております。

そんな時代のドライブとなれば、2シーターに注目したくなりますよね。
▲走るその姿も美しいんです
「マクラーレンGT」は、クルマ好きのオヤジさんだったら、”前から気にしているヨ”なんて言われるかもしれません。そうなんです、じゅうぶん気にする価値があるクルマだった、とロングドライブをしてみて、よく分かりました。

GTっていうのは、グランドツーリングの略。クルマの世界では、長距離を走れる実用性も兼ね備えたスポーツカーを指すことが多いです。イタリア語を使ってグランツーリスモっていうのも、洒落てます。あれ、でも、シムゲームみたいですかね。

「マクラーレンGT」は、本国イギリスで2019年5月に発表されました。日本では6月に発表されて以来、話題を呼んでます。なにしろ、ゴルフバッグだって詰めちゃうマクラーレンなんですから。
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ステアリングホイールへの反応がいいので大きさは感じさせない
マクラーレンには「570GT」というやはり大きめの荷室を持ったモデルもあります。こちらの荷室容量はフロントとリア合わせて370リッター。対する「マクラーレンGT」は570リッターとだいぶ差があるんですよ。

「GT」のフロント部のトランクスペースは深くて、旅行にも向いてます。しかも、エンジンが入っているリア部にゴルフバッグがひとつ、縦に収納できる設計も採用。嬉しいではありませんか。

とはいえ、実用一辺倒ではないのです。ここンチのプロダクトはいつだって、奇想天外、いや独創的な美をまとったスタイル。嬉しい驚きを与えてくれます。ひとが乗るキャビンの背後に、巨大なエアインテークを兼ねたホイールハウスを備えたスタイルは他に類のないもの。オーナーの喜びになります。
「The Hiramatsu Hotels & Resorts 賢島」にて
「マクラーレンGT」が日本の公道を走り出したのは、2020年春から。私、そのころ一度乗ったことがあります。東京都内だったので、首都高を走っただけではあるものの、瞬発力のよさとコーナリングの安定性は期待どおり。加えて直進路での快適性に驚きました。

今回、さきに触れたように、2016年に伊勢志摩サミットの会場となった、三重の賢島(かしこじま)まで約500キロのドライブを楽しみました。

自動車の記事を書いていると、するっと”楽しみました”という表現が出てきてしまいます。英語だと”クリシェ”(常套句)といって、プロには嫌われる表現ですね。でも、ほんと、このクルマでは、楽しかった、というのがぴったりなのですよ。
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ディヒドラルドアは乗降性がよい
ここでさらっと「マクラーレンGT」のおさらいをしておきましょうか。ディメンションは、全長4683ミリ、全幅2095ミリ、全高1213ミリ。はい、低く幅広いです。

マクラーレン車のアイコンである前ヒンジで上に跳ね上がるディヒドラルドアも採用されていて、乗り降りはけっこう楽チン。女性ウケも抜群の、流れるようなスタイルは、「雨滴や鳥の羽など自然がつくる美に影響を受けている」という、デザインディレクター、ロブ・メルビル氏の言葉を想起させるんですね。

ホイールベースは2675ミリで、たとえば同じマクラーレンのなかでもサーキット志向が強い720S(2670ミリ)とあまり変わらない。でもセッティングは明らかに別ものです。
「The Hiramatsu Hotels & Resorts 賢島」の風呂温泉つきの「エグゼクティブダブル」 (写真提供=THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 賢島 HIRAMATSU HOTELS)
マクラーレンのプロダクトの特徴のひとつが、乗り心地のよさ。720Sでも、うねった路面はともかく、ちょっとゴツゴツしているような路面なら、うまく凹凸を吸収してくれます。自動車用語だとコンプライアンスっていうんですが、細かなショックをこなすのが上手なのですよ。

「マクラーレンGT」は、上記のように、ホイールベースこそほんの少し長いだけなんですが、乗り心地はさらに快適でした。

東名高速だと、昔からの区間は舗装が荒れていて、ときどき、”やっぱりスポーツカーだから多少はガマンしなくちゃな”と思う場面もあります。それに対して、第二東名のきれいな舗装路面では、吸いつくように走ってくれるんです。
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レストランでは2人用のスペースを用意してくれる (写真提供=THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 賢島 HIRAMATSU HOTELS)
しかも静かです。いま欧州や米国でも騒音規制が敷かれています。どんなカッコいいスポーツカーでも、「クオーンッ」とか「バリバリバリッ」ていう音を高らかに立てて走れなくなっているのですね。そのせいもあります。

それでも「GT」でちょっといい音聴きたいなと思ったら、ブリッピングといってアクセルペダルを瞬間的に深めに踏み込んでみるといいでしょう。シビれるような排気音が聞こえてきます。でも基本的には静か。エンジン回転が4000rpmを超えても、助手席の大事なひととの会話はフツウの声でオーケイです。

しかも、オーディオの性能がすばらしいのですよ。バウアー&ウィルキンスの高品位システムを搭載し、かつ、いわゆる音場づくりにも凝っています。そこが全方位型のクルマづくりをするマクラーレンの真骨頂だと思います。
朝食では英虞湾の眺めがよい (写真提供=THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 賢島 HIRAMATSU HOTELS)
私は、このクルマ、どんな音を聴かせてくれるのかな、というとき、よく、米国出身で惜しくも87年に他界してしまった天才的なベーシスト、ジャコ・パストリアスの曲をかけます。

「マクラーレンGT」は驚かせてくれました。ベースラインの輪郭がそれはそれはくっきりと。官能的に震えるジャコのエレクトリックベースの弦の一音一音が再現されるんですね。そんじょそこらの高級セダンもかなわない、と確信した次第であります。

長旅の友はよき音楽。音楽好きのオヤジさんだったら、同乗者にいい楽曲を聴かせてあげてくださいな。インテリアも凝ったカーブを多用し、まるでギリシアやローマ時代の女人像の肌のようです。
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伊勢エビの炭火焼きにアメリケーヌソースという、この日のディナーの魚料理
「ラグジュアリーの通念を塗り替える斬新なアプローチをとりました」とマクラーレンがするインテリア。「世界最高水準のソフトグレインレザーとソリッドアルミニウムが採用され」ているのも、同社の自慢です。

手触りのいいレザーが張られているし、凝ったアンビエントライトによる演出も。同乗者はうっとりすること請け合い。いい音と官能的なビジュアル。ぜいたくな移動空間です。

冒頭で、2人という単位でのオペレーションが増えていることに触れました。賢島で泊まった高級ホテル「The Hiramatsu Hotels & Resorts 賢島」も、COVID-19の時代に新しい快適を提供しようと努力してくれているのです。
松坂牛のサーロインのスライスに、桃とブルーチーズを添えた、この日のディナーの肉料理
名古屋から東名阪・伊勢自動車道を使って2時間少々のドライブです。伊勢神宮を左にみながら、緑のトンネルのように樹木に囲まれた、くねくねっとした道を通っていくと、空が開けた、気持ちのよい場所に。英虞湾(あごわん)が眼下に広がる景色は、ロングドライブのごほうびです。

ここんちは、全8室。ホテルのスタッフはベルもレセプショニストも、すべて、高級フランス料理で知られる「ひらまつ」の社員。一流レストランのサービス修業を経験しています。そこもひと味ちがう点であるのですよ。

「地元の食材をなるべく使います。加えて、松坂牛や伊勢エビなど、近隣の名産品も楽しんでもらいます」。内外でフランス料理の修業をしてきたイケメン、今村将人料理長の料理を、ふたりのためのスペースで食べられるのが、「The Hiramatsu Hotels & Resorts 賢島」の魅力であります。
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「The Hiramatsu Hotels & Resorts 賢島」の今村将人料理長
朝夕食ともに、海の景色を楽しみながら、2人用スペースで提供されます。そういえば、贅沢に大きなバスタブが設置され、英虞湾の眺めを堪能しながら入浴できちゃう部屋もあります。ここでは、二人のための楽しみが存分に味わえるのですね。

「マクラーレンGT」は1483キロと比較的軽量な車体に、3994ccのV型8気筒ツインターボエンジンを搭載。7段の2ペダル変速機を介して後輪を駆動します。最高出力は620馬力(456kW)、最大トルクは630Nm。怒濤のパワーですな。

室内のコントローラーでクルマのキャラクターが選べるようになっているのは既存のモデルと同様。センターコンソールに設置されたドライブモードセレクターを回すんです。「H」(ハンドリング=サスペンション)と「P」(パワートレイン)と二つあって、に、それぞれ「ノーマル」「スポーツ」それに「トラック」(サーキット)という制御が設定されています。
やや窮屈に見えるかもしれないけれど実際は乗員のための空間はたっぷり
私の好みは「P」ではエンジンレスポンスがよい「スポーツ」で、「H」は「ノーマル」であります。山道で飛ばしちゃおうかなというときは「スポーツ」でダンピングを締め上げて、というのも大アリ。さらにこのクルマでサーキットまで、と欲張るオヤジさんには、「トラック」モードもある、とお伝えしておきましょう。

価格は2645万円から。じつは、マクラーレンがこの「GT」で入っていくマーケットは、けっこうな激戦区であります。「ポルシェ911カレラ(GTシリーズはのぞく)」をはじめ、「アストンマーティンDB11」「フェラーリ・ローマ」「AMG GT」それに「レクサスLC」など、ずらずらっと個性派が思いつきます。

2人のための楽しみがこんなにある。それこそすばらしいことだと、クルマ好きは思うのであります。
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● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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