• TOP
  • CARS
  • 【試乗リポート】砂漠からサーキットまで、史上最速のレンジ。「レンジローバー・スポーツSV EDITION TWO」

2025.06.29

【試乗リポート】砂漠からサーキットまで、史上最速のレンジ。「レンジローバー・スポーツSV EDITION TWO」

2023年にデビューしたレンジローバー史上最速をうたう「レンジローバー・スポーツSV」の第2弾、レンジローバー・スポーツSV「EDITION TWO」が登場。600馬力オーバーのスーパーSUVは果たしてどんな乗り味なのか試してみた。

BY :

文/藤野太一(自動車ジャーナリスト)
CREDIT :

写真/ジャガー・ランドローバージャパン

ジャガー・ランドローバーのスペシャルモデル“SV”とは

レンジローバー・スポーツSV EDITION TWO
2023年以降、ジャガー・ランドローバー社は、「House of Brands」(ハウス・オブ・ブランズ)というブランド戦略を掲げている。ジャガーは100%電気自動車ブランドへと転身。そしてランドローバーはこれまでその傘のもとにレンジローバー、ディフェンダー、ディスカバリーなどをラインアップしていたが、それぞれが独立したブランドになるというもの。したがって現在ジャガー・ランドローバー社のラインアップは、ジャガー、レンジローバー、ディフェンダー、ディスカバリーという4ブランドによって構成されている。
そして、車名にあるSVとは、Special Vehicleの略でメルセデスにとってのAMGのような、ジャガー・ランドローバー社のハイパフォーマンスモデルやラグジュアリィなビスポークモデルなどの開発・生産部門である「SVO (Special Vehicle Operations)」が手掛けたモデルという意味だ。
PAGE 2
特別色のブルーネブラ。マット仕上げの藍色がえもいわれぬ雰囲気を醸す。ボンネットフードは軽量化のためカーボン製になっている。
▲ 特別色のブルーネブラ。マット仕上げの藍色がえもいわれぬ雰囲気を醸す。ボンネットフードは軽量化のためカーボン製になっている。
SVOは独自の塗装ラインを備えておりビスポークペイントをウリにしている。それだけにこの「EDITION TWO」のカラーリングも実に個性的だった。試乗車はブルーネブラというマット仕上げの藍色で、どこか染め上げたばかりのデニムを彷彿とさせるもの。
PAGE 3
さり気なくリアゲートに備わる白のSVバッヂがわかりやすい識別点。
▲ さり気なくリアゲートに備わる白のSVバッヂがわかりやすい識別点。
バンパーやグリルなどはSV専用のデザインとなっているが、英国車らしくアンダーステイトメントさをもって、それをことさら強調するようなことはしていない。ひとめでSVであるとわかるのは、リアゲートに貼られたSVバッヂくらいのもの。さらにいえば、ボンネットはカーボン製となっており、さり気なく軽量化が図られている。
▲ ステアリングのセンターパッドの下にみえる「SV」ボタンを押すと走行モードの切り替えが可能。SVモード時には赤く点灯する。
PAGE 4
▲ 適度なホールド感のあるボディ&ソウルフロントシート。シート内部には4つのトランスデューサーを内蔵し、ベース音を振動に変換し体へと伝達。微妙なニュアンスまで再現している。
インテリアは白と黒を基調とした上質な空間が広がる。シート素材はウィンザーレザーをはじめ、アニマルフリーのウルトラファブリックスも選択が可能。後者はレザーとなんら遜色ない質感、風合いのもので、自動車のみならず家具や航空機などで採用するケースが増えている。

ユニークな装備としては、前席に備わるボディ&ソウルシート。これはシートが音楽にあわせて振動するもので乗員が全身でサウンドを感じることができ、かつウェルネス効果もあるという。試してみたが体が振動と音に包まれる多次元オーディオ体験を味わうことができた。
PAGE 5

BMW M譲りの4.4ℓV8ツインターボは635馬力を発生!

BMW M謹製4.4リッターV型8気筒ツインターボは、最高出力635PS、最大トルク750Nmを発揮。
▲ BMW M謹製4.4リッターV型8気筒ツインターボは、最高出力635PS、最大トルク750Nmを発揮。
パワーユニットはレンジローバー史上もっともパワフルなもので、4.4ℓV型8気筒ツインターボに電気モーターを組み合わせたマイルドハイブリッドシステムを搭載。システム最高出力635PS、最大トルク750Nmを発揮する。これはなんとあのBMW M謹製のユニットで8速オートマチックを組み合わせる。車両重量は2.5トン超ながら0-100km/h加速はわずか3.8秒という。

そしてエンジンだけでなく、「6Dダイナミクス」とよばれる足回りもすごい。スタビライザーを廃して、油圧連動式ダンパーとエアサスペンションの組み合わせにより姿勢を制御する世界初の機構という。要は急加速やハードブレーキング、コーナリング時でも、ほぼ水平な姿勢を維持してくれる。いわゆるロールやピッチを制御してくれるものだ。それでいながらシステムとして軽量化を果たし、重量配分の最適化にも貢献している。
PAGE 6

驚異的な走行性能、その足元にはカーボン製の23インチホイールが

オプション設定される23インチのカーボン製のホイール。なかにブレンボ製カーボンセラミックブレーキがのぞく。
▲ オプション設定される23インチのカーボン製ホイール。なかにブレンボ製カーボンセラミックブレーキがのぞく。
加えて、ホイール&ブレーキもすごい。ホイールはカーボン製で23インチ、同等のアルミホイールと比べて約76kgもの軽量化を実現。さらにブレーキはブレンボ製カーボンセラミックブレーキでフロントキャリパーはなんと8ピストン。コーナーの進入でも前につんのめるような挙動はまったく起こらず、4輪が均等に路面をグリップし、ブレーキペダルに込めた力に応じてギューッと効く。狙った位置にピンポイントで停止することができる抜群のコントロール性をもつ。
PAGE 7
高速セクションでは抜群のスタビリティをもって苦もなくロングドライブをこなすGTカーのようだ。タイトなワインディングロードではステアリングホイールにある「SVモード」ボタンを押してみた。すると、車高が15mm下がり、エキゾーストノートが高まり、ステアリングやスロットル操作に対してよりダイレクトに反応するダイナミックな走行感覚を味わうことができる。先の6Dダイナミクスの効果もあって、大きさや重さを感じさせない軽快な走りはまるでスポーツカーのようだ。
ワインディングセクションでの「6Dダイナミクス」エアサスペンションの効果は絶大なもの。
▲ ワインディングセクションでの「6Dダイナミクス」エアサスペンションの効果は絶大なもの。
PAGE 8
ポルシェやランボルギーニやアストンマーティンなどスポーツカーメーカーがSUVをつくる時代になったけれど、オフロード4WD専業ブランドとして歴史を積み重ねてきたレンジローバーのそれはやはりひと味違う。盤石のオフロード性能を土台に、サーキット全開走行までを難なくこなすオンロード性能を成立させているのだから、ただただ感心するほかない。
▲ 全長:4970mm 全幅:2025mm 全高:1815mm ホイールベース:3000mm 車両重量:2560kg エンジン:4.4ℓV8ツインターボ(MHEV) 最高出力:635PS/6000-7000rpm 最大トルク:750Nm/1800-5855rpm 車両本体価格:2474万円〜
藤野太一(自動車ジャーナリスト)
大学卒業後、自動車情報誌「カーセンサー」、「カーセンサーエッジ」の編集デスクを経てフリーの編集者兼ライターに。最新の電気自動車からクラシックカーまで幅広い解説をはじめ、自動車関連のビジネスマンを取材する機会も多くビジネス誌やライフスタイル誌にも寄稿する。またマーケティングの観点からレース取材なども積極的に行う。JMS(日本モータースポーツ記者会)所属。写真/安井宏充

こちらの記事もオススメです

PAGE 9

登録無料! 買えるLEONの最新ニュースとイベント情報がメールで届く! 公式メルマガ

登録無料! 買えるLEONの最新ニュースとイベント情報がメールで届く! 公式メルマガ

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

Web LEONの最新ニュースをお届けします。

SPECIAL

    おすすめの記事

      SERIES:連載

      READ MORE

      買えるLEON

        【試乗リポート】砂漠からサーキットまで、史上最速のレンジ。「レンジローバー・スポーツSV EDITION TWO」 | 自動車 | LEON レオン オフィシャルWebサイト