2025.05.10
上手い運転と下手な運転はどこが違うのかわかりますか? 他 岡崎宏司、傑作エッセイ5選
自動車ジャーナリストのレジェンド岡崎宏司氏が綴る、人気エッセイ。日本のモータリゼーションの黎明期から、現在まで縦横無尽に語り尽くす人気長寿連載から特に人気だった5編をご紹介します。
- CREDIT :
文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト) イラスト/溝呂木 陽
人気連載「岡崎宏司の「クルマ備忘録」より
レジェンド自動車ジャーナリストが綴る、運転への思い
68年間の運転を終えた妻への想い

高校も同じ青山学院高等部。だが、高校の3年間の僕はバイクに夢中で、学校以外の時間のほとんどはバイク仲間と過ごしていた。
もちろんガーフルレンドはいた。でも、たまにお茶を飲んだり、映画を見に行ったりするくらいがせいぜいだった。
しかし、高等部を卒業すると、バイク仲間は将来を目指し、それぞれの道を選んだ。青山学院以外の大学を選んだ者もいたし、青山学院でも学部はバラバラに散った。
免許証取得後1週間の息子にロングドライブをさせてみたら……

その後すぐ小型4輪免許は廃止。普通免許に統一され、免許年齢も18歳に引き上げられた。つまり、僕は16歳から運転できたうえに、何もせず普通免許に格上げされたことになる。なんともラッキーだった。
僕は運転教習所には1度も通っていない。16歳になってすぐ免許試験場に行って試験を受け、一発合格した。
当時でも一発合格率は低かったが、それを16歳になったばかりの若輩者がやってのけたのだから、僕は得意満面だったはず。でも、教習所にも行かずに一発合格したのには、当然ワケがある。
高齢者になった今でもポルシェで箱根をそれらしく走らせられるのか?

その友人の愛車はポルシェ ボクスター。箱根を走るには、まさにドンピシャリの相性をもったクルマだ。
彼の仕事はメーカーのエンジニアであり、当然、クルマのあれこれにもすごく詳しい。だから、走るだけでなく、食事をしたり、お茶を飲んだりする時間のお喋りも楽しい。
そんな友人からの誘いだから、断ることなどあり得ない。、、でも、ひとつだけ心配というか不安なことがあった。
僕は高齢者であり、7~8年ほど前から「抑えて走ること」を常に自分に言い聞かせてハンドルを握っている。
上手い運転と下手な運転はどこが違うのかわかりますか? 【その2】

一般のドライバーには「コーナーを速く駆け抜けるテクニック」など必要ない。
必要なのは、広い視野で周囲に気を配る習慣をつけること。危険を感じたら、その危険からできるだけ速く、そして安全なアクションで切り抜ける技を身につけることだ。
とはいっても、一般のドライバーが、危機回避テクニックを身に付ける訓練を受けるような機会はほとんどない。
一般的な運転教習所での練習は、あくまでも基本中の基本を学ぶところ。高度な領域にまで踏み込み、その現象を実際に体感したうえでの対処法/危険回避テクニックを学ぶところではない。
上手い運転と下手な運転はどこが違うのかわかりますか?

「運転が上手い」と言われるのは、いわば「男の勲章」をもらったようなもの。誰もがそう言われたいと思っているに違いない。
僕が運転免許証を手にしたのは1956年。69年前のことだが、当時はまだ、女性で運転免許証を持っている人はごく限られていた。
僕は青山学院高等部だったので、男性より女性の方が多かったし、運転免許証をとる女性も多かった。やっぱり「青学って違うな!」とワクワクした気持ちになったものだ。