• TOP
  • CARS
  • 名車の面影が息づくクルマ【後編】

2020.06.14

【ドライバーズサロン】よく見りゃココがあの由来

名車の面影が息づくクルマ【後編】

編集部の視点から見たちょいマニアックな話からとっておきの新車情報まで、読めば誰かに話したくなるクルマのネタ帳です。今回のテーマはクルマの世界における過去のアーカイブの復刻やオマージュについて。その後編をお送りします。

CREDIT :

文/藤野太一、近藤高史(本誌)

ファッションの世界で昨今、よく耳にする過去のアーカイブの復刻やオマージュ。普遍を愛し、当時のモチーフや 流行をアレンジして取り入れるのはよくある手法です。では、クルマの世界ではどうなのでしょうか。実は調べれば調べるほど、多くのデザインや意匠が過去の名車を彷彿させてくれるのですよ。

時代が変わっても変えてはいけないもの

前編(こちら)では傑作デザインを復刻することの難しさについてお話した。
そしてスポーツカーにも、約56年間、8世代にわたって変わることなく丸いヘッドランプや基本的なスタイリングを踏襲し続けているモデルがある。ポルシェ 911だ。1964年に初代が誕生して以来、後軸より後ろにエンジンを搭載し、後輪を駆動するRR方式であることも一貫している。丸いヒップが特徴的なスタイリングは、その駆動方式がゆえだ。

現在、ポルシェのデザイン部長を務め、2015年からはフォルクスワーゲングループのデザイン統括責任者も兼務するミハエル・マウアー氏に、ポルシェのデザイナーにとって911をデザインすることに、どんな意味があるのかたずねてみた。

「モデルごとの進化の速度は、ブランドの立ち位置によって変わります。デザイナーの役割はプロフェッショナルとしてアドバンスし改良することであり、それは911であっても変わりません。現代から次世代、そして次次世代へ。我々がデザイナーとしてやってきたことは、これまでも、これからもずっと変わらないといえる。ただし、これほどまでに長い歴史をもつ911のような、そしてブランドの核となるモデルを手がけることは、やはり通常の業務とは違う、と言わざるをえません」

他方で日本のメーカーは、リバイバルモデルをあまり良しとしない傾向にある。ポルシェ 911のように50年を超えるような長い歴史をもつ車名も、トヨタであればクラウンとカローラ、日産であればスカイラインとフェアレディZなどがあるが、いずれもデザイン面で見れば代を重ねるごとに大きく変容している。クラウンといえばコレ、スカイラインといえばコレ、という普遍的なデザイン要素は現行型を見てもほとんど思い浮かばない。

以前、トヨタには1960年代のFJ40型ランドクルーザーのオマージュであるFJクルーザーというモデルも存在したが、それも一代限りで終了となった。戦後の日本は都市計画や住宅に関してスクラップ&ビルドを繰り返してきた歴史があるが、クルマづくりも同様といえるのかもしれない。
PAGE 2

◆ ポルシェ 911

50年以上継承される"フライライン"

【Old】 ポルシェ 911

▲長くフラットなフロントフード、峰のあるフェンダー、鋭い角度で上がるフロントウインドゥ、リヤに向け緩やかに流れるルーフライン……。いわゆる“フライライン”は、初代から最新世代まで50年以上にわたって継承されている普遍的なデザイン要素だ。

【New】 ポルシェ 911 カレラ 4S

▲昨年8世代目にフルモデルチェンジした911(タイプ992)では、真一文字のリヤランプは70年代のGシリーズ(通称930)にインテリアは初代911にインスパイアされたという。

[Spec]

全長×全幅×全高:4519×1852×1300㎜ 
エンジン:3.0リッター 水平対向6気筒ツインターボ 
最高出力:331kW(450ps) 
最大トルク:530N・m 
価格:1804万8148円(税込)〜/ポルシェ(ポルシェカスタマーケアセンター)

ヘリテイジあってこそ生まれるインスパイア

さて今後、自動車の電動化が進んでいくなかで、モーターやバッテリーなどは部品の共通化がさらに進むことになる。内燃エンジンの吹けあがるフィーリングやエキゾーストノートでは差別化できなくなる一方で、デザインによる他ブランドとの違いを出すことの重要性は増すことになる。前述のビートルの生産をやめたVWは、ワーゲンバスこと「タイプ2」をモチーフとした電気自動車「I.D.BUZZ」を2022年に生産開始するとアナウンスしており、またあくまで想像だが、そのプラットフォームを活用して再びビートルの復活が期待される。
 
電動化によって大衆ブランドのクルマは白物家電化し、プレミアムブランドのクルマはますますラグジュアリーアイテム化するとした時に、ブランドの個性をアピールするために重要な役割を担うのは内外装のデザイン、質感、そして長年にわたって築き上げてきたヘリテイジということになる。そしてヘリテイジあってこそのインスパイアであり、それがいかに重要か、よくわかるというものだ。

ブランドの栄光が現行車に生きて

◆ アルピーヌ A110

伝説のラリーカーを現代に完全再現

【Old】 アルピーヌ A110

▲かつてアルピーヌはルノーのエンジンなどを活用しスポーツカーをつくる小規模カーメーカーだった。1963年に誕生したのがA110で、リヤエンジンのRR駆動方式でラリー界を席巻する。1973年にルノー傘下となり、その後一度は 市販車からその名が消えたが、2016年に復活計画を発表した。

【New】 アルピーヌ A110 ピュア

▲2017年に復活した新型A110は、先代のDNAを受け継ぐ軽量2シータースポーツ。新型では駆動方式はRRではなく、ミッドシップとなっている。最高出力を292psにまで高めたハイパワーヴァージョンの「A110S」も追加された。

[Spec]

全長×全幅×全高:4205×1800×1250㎜ 
エンジン:1.8リッター 直列4気筒ターボ 
最高出力:185kW(252ps) 
最大トルク:320N・m  
価格:826万円(税込)〜/アルピーヌ(アルピーヌ コール)

PAGE 3

◆ アウディ

クワトロ生誕40周年の証をいまに

【Old】 アウディ スポーツクワトロ

▲1980年に登場したアウディ初の4WDスポーツが“クワトロ”。これをもとにWRCのホモロゲーションマシンとして販売されたのが“スポーツクワトロ”。ブリスターフェンダー、そしてボンネット先端に設けられた3分割のスリットが、ハイパフォーマンスカーの証となった。

【New】 アウディ R8 クーペ

▲いまや世界でも稀少な自然吸気のV10エンジンをミッドシップに搭載。 最新モデルではフロントに3分割スリットが刻まれるようになり、新型A1や今後 登場予定のRSモデルにも、このスリットが採用されている。

[Spec]

全長×全幅×全高:4430×1940×1240㎜ 
エンジン:5.2リッター V型10気筒 
最高出力:456kW(620ps) 
最大トルク:580N・m 
価格:3001万円(税込)〜/アウディ(アウディ コミュニケーションセンター)

◆ メルセデス AMG

グリルに秘めた伝説のレースでの優勝

【Old】 メルセデス300 SL(レース仕様)

▲1952年、メキシコで開催されていた、当時世界でもっとも過酷といわれたパナメリカーナロードレースに、SLクラスの初代にあたる300 SLを ベースとしたレーシングカーを開発、参戦し優勝を果たす。その後、300 SLは伝説となり、特徴のひとつが垂直ルーバーのフロントグリルだった。

【New】 メルセデス AMG C 63 クーペ

▲連綿と続くメルセデスのモータースポーツの栄光を受け継ぐものとして最新のAMG GTに採用が始まったAMG専用ラジエターグリルは現在、最新のAMG顔として、C 63をはじめさまざまなモデルに用いられる。

[Spec]

全長×全幅×全高:4750×1875×1410㎜ 
エンジン:4.0リッター V型8気筒ツインターボ 
最高出力:350kW(476ps) 
最大トルク:650N・m 
価格:1355万円(税込)〜/メルセデス・ベンツ(メルセデスコール)

◆ ビー・エム・ダブリュー

クーペであることを謳うCピラーのエンブレム

【Old】ビー・エム・ダブリュー3.0CSL

▲1960年代、型式「E9」と呼ばれるスポーツクーペが登場した。これをベースとしたレースカーが当時のツーリングカーレースで大活躍。Cピラーに掲げられていたBMWのエンブレムは一躍脚光を浴びることに。レースホモロゲーションモデル3.0CSLは、いまではマニア垂涎の的だ。

【New】 ビー・エム・ダブリュー X2 xドライブ20i M スポーツ X

▲X2、X4、X6といった偶数ラインはBMWのSUVクーペを意味するもの。なかでもX2はもっとも新しいモデルであり、“クーペ”であることを強調するためCピラーには名車3.0CSを彷彿させるエンブレムを配置している。

[Spec]

全長×全幅×全高:4375×1825×1535㎜ 
エンジン:2.0リッター直列4気筒ターボ  
最高出力:141kW(192ps) 
最大トルク:280N・m  
価格:531万円(税込)〜/BMW(BMWカスタマー・インタラクション・センター)

2020年6/7月号より
※掲載商品はすべて税抜き価格です

■ お問い合わせ

アウディ コミュニケーションセンター 0120-598-106
アルピーヌ コール 0800-1238-110
BMWカスタマー・インタラクション・センター 0120-269-437
ポルシェ カスタマーケアセンター 0120-846-911
メルセデスコール 0120-190-610

登録無料! 最新情報や人気記事がいち早く届く! 公式ニュースレター

人気記事のランキングや、Club LEONの最新情報などお得な情報を毎週お届けします!

登録無料! 最新情報や人気記事がいち早く届く! 公式ニュースレター

人気記事のランキングや、Club LEONの最新情報などお得な情報を毎週お届けします!

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

Web LEONの最新ニュースをお届けします。

SPECIAL

    おすすめの記事

      SERIES:連載

      READ MORE

      買えるLEON

        名車の面影が息づくクルマ【後編】 | 自動車 | LEON レオン オフィシャルWebサイト