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2020.04.26

復活のフレンチスポーツカー「アルピーヌ A110S」は大人がゾクゾクしちゃいます❤︎

ルノーのスポーツモデル作りをベースとしていたアルピーヌ。1995年にその活動を休止していたが、月日を経て2016年に復活。日本でも人気が高いこのフレンチスポーツカーに新たに加わった、よりスポーティな「アルピーヌ A110S」の実力をリポートする。

CREDIT :

取材・文/小川フミオ

大人にこそ味わって欲しい、官能的な走り

アルピーヌ A110S
ホイールのリム径は18インチ
スポーツカーは若者のためのものではない。と、あえて言い切ってしまいましょう。スポーツカーに乗れるのは、おとなの特権です。社会のなかでどう振る舞えばいいかよ~くご存知のオヤジさんこそ、はやる気持を抑えてスポーツカードライビングを楽しむのにふさわしいのですよ。

なかでも、シブいオヤジさんにぴったりのスポーツカーがあります。フランスの「アルピーヌA110S」。ほんとはアルピンって発音するんですが、ここは日本の輸入元にしたがっていきましょう。社会的マナーを心得ているのもおとなの男ですから。

A110Sは、さきに発売されたA110のパワフル版として、追加されたモデル。A110は2017年に発表されたモデルで、A110Sは19年7月に登場。オリジナルの185kW(252ps)より212kW(295ps)へとパワーが上がっています。
アルピーヌ A110S
特別注文になるマットグレーの車体色
加速性能をみても、オリジナルが静止から時速100キロまで4.5秒であるのに対して、A110Sは4.4秒。数値的には微差ですが、実際に乗るとかなり駿足です。サスペンションも専用チューニングで、A110も十分いいんですが、より足がびしっと締め上げてあって、ワインディングロードとか走ると、かなりなもんです。

7段ツインクラッチ式変速機を備えていて、アクセルペダルを強めに踏んで加速するときは、シフトタイミングを遅らせ、パワーがたっぷり出る上の回転域まで使えます。最高出力は6420rpmでと高回転型なので、がんがんエンジンを回して走らせるガソリン車の楽しみが味わえるのですね。

アルピーヌについては、先刻ご承知のオヤジさんもいると思いますが、そもそもルノー車のディーラーをフランスで営んでいたジャン・レデレというひとが、フツーのルノー車のパーツを使いながら作り上げたスポーツカーです。
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アルピーヌ A110S
ヘッドランプの内側にあるキャラクターランプがオリジナルA110を彷彿させる

クルマ好きによる、クルマ好きのためのクルマ

スタートは1950年。最初はクルマ好きの趣味だろうと思われていたアルピーヌ車ですが、62年に現在のA110のオリジンともいえる、A110を作りあげました。リアエンジンのシャシーに、軽量なFRP製のクルマ好きのココロを直撃するカッコいいボディを被せたスタイルでたちまち話題に。

でもカッコだけではありません。オリジナルA110は、世界ラリー選手権でも優勝し、ルマン24時間レースも制覇してしまったのです。自動車好きオヤジだったレデレさんの面目躍如ですね。

レデレさんはお父さんが始めたお店でルノー車を販売するいっぽうで、自分でチューニングした車両でレースに出走。腕前もよかったようで、ミッレミリアというイタリアのレースではクラス2位に入賞したりしているんです。
アルピーヌ A110S
ルーフ中央部をブラックにしたりカラースキームもしゃれている
ついでだから記しておきますと、レデレさんがアルピーヌA106をパリの自動車ショーで発表したのは1955年。ボディはミケロッティ(フェラーリ、マセラティ、トライアンフなどスポーツカーのボディデザインを手がけてきたカロッツェリア)がデザインしていました。

このオリジナルのA110はいまに至るまで、世界中の自動車好きの憧れの1台です。あいにくFRP製なのでボディが割れたりと経年変化に強くなく、せっかくのフランス製スポーツカーなのに、ポルシェのように多くの個体がいまもクラシックカーイベントで活躍というわけにはいかないようです。

オリジナルと同じような操縦する喜びをいまふたたび、と始まったのが、現在のA110のプロジェクトです。当初ルノーでスポーツモデルを手がけるルノースポールは、英国でスーパーセブンなどを作るケイタラム(日本ではケイターハムと呼ばれてます)との共同でアルピーヌ社を立ち上げました。
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アルピーヌ A110S
シフトはパドルで
最終的にルノーはケイタラムが所有していた50パーセントの株式を取得し、アルピーヌ社は100パーセント、ルノーの子会社に。そのような経緯を辿ったあと、発表されたのが、この新しいA110なんです。

そのとき開発の指揮をとっていたデビッド・トゥイッグ氏は、現在、南京に本拠をおく中国のBEVのベンチャー、バイトンに引き抜かれてチーフテクノロジーオフィサーになっています。

現在のデザインディレクターはBMWでiシリーズなどを手がけたブノワ・ジャコブ氏で、CEOのダニエル・キルヒャート氏はBMWやインフィニティの中国でのオペレーションを成功させた腕前の持ち主。その布陣を見ても本当に良いモノがわかっているメーカーと言えましょう。話が横道にそれました。
アルピーヌ A110S
液晶を使ったメーター
新しいA110は1.8リッターエンジンをミドシップに搭載。メカニカルレイアウトは現代のスポーツカーの標準に合わせたものです。しかし、エレガンスを感じさせるスタイルはオリジナルを彷彿させます。

全長は4205ミリとかなりコンパクト(ちなみにたとえばポルシェ911は4519ミリ)。これがまたいいんです。先代A110は3850ミリしかなかったけれど、そのぶん凝縮感があったし、取り回しがよくて、実際にラリーではいい成績を残しました。そのDNAがしっかり引き継がれています。

ホイールベースは2420ミリで、ボディは全幅1800ミリに対して全高は1250ミリと抑えてあります。広くて低くて、カッコいい。重量配分はフロントが44パーセント、リアが56パーセントで、ドライバーは前後のほぼ真ん中に座るように設計されています。
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アルピーヌ A110S
D(ドライブ)N(ニュートラル)R(リバース)というボタン式のギアセレクター
英国やドイツのスポーツカーは重心が後輪のほうに近くて、そこを中心にフロントが回っていく、ちょっと古典的なドライブフィールですが、アルピーヌはクルマの中心軸にドライバーがいるので、よりナチュラルな動きが感じられるといえましょう。

変速機は、ドライバーの意思を汲み取って、速く走りたいと思っているときはエンジン回転域の上のほうを、ゆっくり高速道路を流していこうなんていうときは、早めにシフトアップしていきます。

7段のギア比は5速から上がオーバードライブとなっていて、燃費を稼ぐようになっています。でも最大トルクは2000rpmから発生するので、低速でも扱いやすいのも使い勝手のよさとなっています。

燃費はより実燃費に近いWLTCモードで高速ではリッターあたり15.8キロ。スポーツカーとしてはかなり良好ではないですか。市街地だと8.3キロで、太い低回転域のトルクの恩恵もあるでしょう。実用性にも富んでいるんです。
アルピーヌ A110S
ホールド性のいいスポーツシート(日本仕様は右ハンドル)
このクルマに街中で乗っているひとは、たいてい、おとな。いいトシをしたひとが、ちょっと洒落た格好をして、ステアリングホイールを握っている光景を見かけることが多いように思います。

あえて望みをいえば、本国では採用されているスマートキーが日本でも使えるようになっていると便利です。助手席のダッシュボードにカード型のキーをインサートしなくてはならないのが、ちょい不便。

なにはともあれ、楽しいスポーツカーが好きだけれど、これみよがしは嫌だなあ。という価値観の持ち主にぴったりのクルマかと。日本には右ハンドル仕様が輸入されていて、価格は899万円から。
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● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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