2022.10.19
突き抜けたカッコ良さ! 僕がマツダCX-60に惚れた理由
長年にわたって世界中のクルマを見続けてきた筆者が、マツダCX-60のデザインにひと目惚れしてしまったという。とにかくカッコ良くて非の打ちどころがないという猛烈な惚れっぷり(笑)。ロードスターとの2台持ちは単なる妄想で終わらないかも⁉
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文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト) イラスト/溝呂木 陽
岡崎宏司の「クルマ備忘録」連載 第195回
「マツダCX-60とロードスターの2台持ち」はオススメ!!
「直列6気筒+FR」ならではのロングノーズと、前後の短いオーバーハングがもたらすプロポーションにはホレボレする。
CX-60を見たのは、今回で4度目。だが、初めて見た時も、2度目も、3度目も、そして今回も、その「ホレボレ」度合いはまったく変わらない。見る度に「カッコいいなぁ!」と思い続けている。
まずはプロポーションに目を奪われ、心を奪われるが、少し落ち着いてくると、細部にまで行き届いた「造形の美しさ」に気付く。
デザインの専門家ではないので、細かいあれこれを語ることはできない、、が、「ここはイマイチだなぁ?」と思うところがない。
実車を前にして、デザイン部の方々ともいろいろ話したのだが、僕の口から出るのは褒め言葉ばかり。当然、デザイン部の方々もニコニコしっぱなし。
最後には「今後のためにお役に立てることをなにも言えませんでした。申し訳ありません」と謝らなければならない始末だった。もちろん笑いながら、、だが。
スポーティでスタイリッシュなプロポーションを、サラリと素のままに、そして若々しく爽やかに見せてくれるからだろう。
白だと光による陰影効果が薄れるのでは、、といった話も出るかもしれないが、CX-60にその心配はない。
彫刻的とも言える造形は、白のボディカラーでもクッキリした陰影を見せるし、ドラマティックで引き締まった輝きを見せる。
「Modern」系モデルに組み込まれる「切削加工:ブラックメタリック塗装」のアルミホイールも、白のボディにピタリと馴染む。
強いだけでなく、姿も装いも仕草も美しい陸上選手が、シンプルながら優雅なランニングシューズを履いている、、そんなイメージを思い浮かべてしまう。
スリーサイズは4740×1890×1685mm。だが、車両感覚が掴みやすいため、サイズの大きさをあまり意識させられないのもうれしい。
それに、緊張感あるデザインのボディは、白でもキリリと引き締まっていて、実際のサイズよりもコンパクトにさえ感じる。
気に入ったのはエクステリアだけではない。インテリアも気に入った。「かなり!」。
インテリアカラーは、白、タン、黒、グレージュの4種が用意されるが、ここでも気に入ったのは白。
僕はもともと、白のインテリアはあまり好まない。派手感というか、「見て見て!」感を印象付けられることが多いからだ。でも、なぜかCX-60の白は気に入った。
ダッシュボードアッパーとメーターパネルを初めとした黒の部分が、中途半端な黒ではなく、「しっかりした黒」であるのもうれしい。
さらには、クローム部分が「しっかりデザインされている」ことと、クロームの質感がいいことが、全体を引き締めている。
「Premium Modern」のインテリアのイメージをひと言でまとめるならば、「凛とした華やかさ」とでもいったことになろうか。
メーターパネルやナビ、スイッチ類とエアコンのルーバーが一体化されたコントロールパネル、センターコンソール、ドア周り、、みんないい。調和が取れていてカッコもいい。
ドライビングポジションもいいし、シートもいい。後席はちょっと座っただけだが、大柄な男4人でも楽々。シートもOKだ。
試乗したのは「e-SKYACTIV D 3.3」。直列6気筒 DOHC 24バルブ 直噴ターボのディーゼルエンジンと小型モーターによるマイルドハイブリッド。それに、トルクコンバーターレスの8速ATを組み合わせる。
変速はパドル操作でも行えるが、これは楽しい。ただし、このATの変速マナーは今後に課題を残している。
カンのいい人なら、アクセル操作なりパドル操作なりをうまく調和させ、スムースに気持ちよく走らせることもできるだろうが、、。
3.3ℓのターボディーゼル+モーターとなれば、強力な出足をイメージする人は少なくないだろう。、、が、そこは少し違う。
マツダ曰く、「意図的にトルクの立ち上がりを抑えて、環境性能 / 燃費性能を優先した」とのことだが、もう少しヤンチャ度は上げてもよかったような気がする。
マツダはいいクルマを作るけど、「真面目すぎるんじゃない?」、「少しハメを外してヤンチャをすればいいのに!」と思うことが時々ある。
FRベース4WDのハンドリングは、基本的には軽快で素直。車両感覚の掴みやすさも含めて、大きなサイズをあまり意識させない。
ステアリングでいちばん気になったのはフリクションだが、、ホイール径はもう少し小さめ、グリップは細め、操作力も軽めにした方が、CX-60のモダンな感覚にはより馴染むのではないか、、といった印象をも受けたことを加えておこう。
ま、こうしたあれこれは、時と共に改良/改善されてゆくはず。ゆえに、CX-60の魅力を基本的に損ねるものではない。
とにかく、CX-60のカッコよさ(直列6気筒+FRがもたらす感情的カッコよさも含めて)は、ある種、突き抜けている。
輸入車からの代替率が高く、輸入車ユーザーからの問い合わせも多いと聞くが、「そうだろうな!」と素直に思える。
ところで、本稿のタイトルは「CX-60 とロードスターの2台持ちはオススメ!」となっているが、心底、そう思っている。
僕は長年2~3台の複数台所有を続けてきが、仕事を縮小した5年前からは、「コンパクトで、楽しくて、実用性もバッチリ!」な1台所有に変えた。
これって、そうとう心惹かれる組み合わせではないか。
実は、CX-60に試乗した時、併せてロードスターの試乗もしたのだが、ほんとうに楽しかった。
2台を並べてみたのだが、相性は◎。CX-60とロードスターが互いを高め合い、素晴らしい眺めだった。
CX-60とロードスターの2台持ちが、「あり!」だということを身をもって実感した。
ここからは、「僕がこの2台を所有するなら、、」という妄想に入る。
CX-60は「XD-HYBRID Premium Modern」で決まり。ロードスターは「990S」にしたいところだが、ここは必死に我慢する。なぜなら、990SにはMTしかないから。
わが家は家内もクルマ大好きで、たいていのクルマは運転する。トラックなんかもって帰ればもう大喜びだ。
むろんMTも運転する。わが家のクルマ歴には、クラッチが重いもの、気難しいものも少なからずあった。でも、家内は文句も言わずに運転してきた。
とはいえ、歳を重ねるにつれて、さすがにクラッチは辛くなってきたようだ。とくに渋滞などに出会うと「きつい!」らしい。だから、ここは譲ってATにする。
CX-60 とロードスターにすれば、家内が主に乗るのは、コンパクトで取り回しのいいロードスターになるだろう。買い物など、日々の移動にしても楽しめるはず。
ボディカラー、、CX-60はもちろんだが、ロードスターも白で揃える。インテリアも白のレザーで揃える。
となると、着るものとのコーディネートはかなり難しくなるが、それも楽しめばいい。
ということで、CX-60 とロードスターの2台持ち、、妄想を膨らませてみたが、いかがだろうか。こんな2台がガレージに並んでいる姿は、想像するだけでワクワクする。
さて、皆さんの2台持ちはどんな組み合わせになるのか、、。大いに妄想を膨らませ、楽しんでいただきたい。
● 岡崎宏司 / 自動車ジャーナリスト
1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。