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2019.12.15

【新型】ランドローバー ディフェンダーはどう変わったのか?

誕生から71年目にして初めてフルモデルチェンジされた本格クロスカントリー4WD「ランドローバー ディフェンダー」。あの無骨なマシンは、最新の技術でどう生まれ変わったのか? そのポイントを最も気になるデザインを手がけたジェリー・マクガバン氏に聞いた。

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取材・文/小川フミオ

気になるニューモデル

代官山に置かれた新型ディフェンダー(写真のモデルはプロトタイプ)
メルセデス・ベンツGクラスと双璧をなす、男心をくすぐるクロスカントリー型4WDといえば、英国のランドローバー・ディフェンダーだ。「自分の持っている土地をジープのように走りまわれるクルマが欲しい」と考えた男の手で1948年に開発され、以来フルモデルチェンジもなく21世紀まで生産されてきた。

男のこだわりが生んだディフェンダーが、いよいよフルモデルチェンジの時期を迎えた。71年目にして、というのがすごい。古い道具だって、機能が高ければずっと使えばいい、と、いかにも英国的に思える環境で愛用されてきたクルマだけある。

新しいディフェンダーが2019年11月に東京でもお披露目された。最初はラグビー・ワールドカップ2019大会の決勝戦会場にて。南アフリカ勝利のあとトロフィー「ウェブ・エリス・カップ」を載せて、日本代表チームのリーチ・マイケル主将の運転で、7万人を超える観客の見るなか、グラウンド外周を走ったのだった。
ランドローバーのデザインを統括するジェリー・マクガバン氏
後日、舞台を横浜から東京に移して、(ほぼ)最終生産型の公開となった。このときランドローバーのデザインを統括するチーフデザインオフィサーの英国人ジェリー・マクガバン氏も本社デザインセンターから来日。新型ディフェンダーの見るべきところを、教えてくれたのだった。

「ランドローバーは大きくいうと3つの柱で構成されています。洗練性のレンジローバー、多様性のディスカバリー、そして堅牢性のディフェンダーです。それでも10年前は、ランドローバーといえば4バイ4(4WD)の専門メーカーというイメージでした。私がデザインの立場から経営にも携わるようになって以来、デザインを武器に、そこからグローバル・パワーブランドへ変わっていこうと提案したのです」

ロンドンのサビルローにあるヘンリープール&Co.で仕立てたブルーの上下に身を包んだマクガバン氏が使った「パワーブランド」という言葉がおもしろかった。要するに、高い性能に裏打ちされたブランド力、ということだろう。花もあれば実もある、と日本語にすることも出来るかもしれない。
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ルーフをはじめ初代のイメージを活かした新型。写真/望月浩彦
「ディフェンダーも例外ではありません。かつては波打つようなプレスのボディパネルに、リベットむき出し。それに標準規格の丸型ヘッドランプや平板なウィンドウグラスというのがディフェンダーの特徴でしたが、次のモデルは、アイコン的な要素は残し、高い走行機能を持たせ、そのうえでブランドイメージに従って、新しいデザインを採用したのです」

新しいディフェンダーは、221kWの最高出力と400Nmの最大トルクを持つ1997cc4気筒ガソリンエンジンを搭載し、フルタイム4WDシステムが組み合わされている。ボディは2タイプ。2587ミリのショートホイールベースの「90(ナインティ)」は全長4583ミリ、全幅2105ミリ、全高1974ミリ(金属バネ仕様)だ。

もうひとつは、ホイールベースが3022ミリと長い「110(ワンテン)」。同じ出力の2リッターエンジンを搭載しつつ、ボディは全長5018ミリ、全幅2105ミリ、全高1967ミリだ。こちらは4ドアで、7人乗り仕様も用意される。
ラグビーワールドカップ2019の決勝戦の最後に登場。乗っているのは元ニュージーランド代表主将のリッチー・マコウ氏)
マクガバン氏が残した、いわゆるアイコン的なデザイン要素は、第一にシンプルなシルエットだ。「社内の笑い話があるんです。わが社のCEOでも描けるかたちを目指そうと」。マクガバン氏はそう言いながら、ルーフ後方に設けられた「アルパインライト」ウィンドウ、横開きのテールゲート、外付けスペアタイヤなど、オリジナルの特徴を活かした要素をあげる。

「ただし、初代がいくら個性がたったアイコン的なモデルといっても、今回のモデルチェンジが、安全基準を現代的にアップデートしただけのものとなっては、ブランドにとって意味がないと思います。時代に合わせつつ、次世代につながるデザインこそ、重要なのです」

現代的な要素として、ひとつは、極限環境向けに開発したと謳われる「D7x」アーキテクチャーの採用がある。軽量アルミニウムのモノコック構造は「ランドローバー史上最も頑丈なボディ」だそうだ。

車体はデザインスケッチから飛び出してきたような、なんというか未来的な雰囲気だけれど、いっぽうで、前後オーバーハングを切り詰めてオフロードにおけるアプローチアングルとデパーチャーアングルをかせぐ設計をとる。ツインスピードトランスファーギアボックスや、電子制御アクティブディファレンシャル、さらに、電子制御のエアサスペンションを利用して深い渡河性能を実現するなど、最新の技術をふんだんに使っている。
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リーチ・マイケル氏が運転手を務めていたのも話題に
インテリアも雰囲気たっぷり。「あえて金属がむき出しのようにするなど、ディフェンダーのイメージを活かしています」とはマクガバン氏の言葉だ。そのうえで、インフォテイメントシステムのモニターなど最新のデジタル技術の端末も、ディフェンダーのイメージを損なわないような専用デザイン。そのうえで、居心地がよさそうに見えるのだから、デザイン力が高い。

そういえば、ランドローバー車の最近のインテリアを見ていると、レザー離れというか、レザーが最高級という価値観からあえて離れ、ウールや植物繊維を使ったファブリックに注目しはじめている姿勢がみてとれる。マクガバン氏も「レザーからファブリックへというのは、最近の高級家具とも共通する傾向です」と語る。ラグジュアリーなプロダクトが好きなひとも、おぼえておくとよさそうだ。

実車の美しいボディを見ていると、このクルマでオフロードをがんがん走り回るのはなんとももったいないが、それをしないのもまた、宝のもちぐされのようで、もったいないという気もする。
110のリアクォーターパネルに取り付けられているのは濡れたものとかを収納するアクセサリーパックなるオプション
ひょっとしたら、自宅の車庫には、ゴルフにいくためのレンジローバーと、一人か、彼女と二人でオフロードを楽しみに出かけるディフェンダー90の2台を並べておくのが究極のぜいたくかもしれない。

新型はまず「DEFENDER LAUNCH EDITION」として15台の「90」(489万円~、レザーシートは613万7000円~)と135台の「110」(596万7000円~、レザーシートで7人乗りは745万1000円~)が用意された。先行予約は2019年11月3日にはじまり、すぐに完売してしまった。2019年11月18日(月)より期間限定で先行予約モデル第2弾「DEFENDER STARTUP EDITION」の予約受注を開始している。
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● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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