メルセデスベンツのノウハウが詰まった良質なハッチバック
メルセデス・ベンツ日本が2019年6月に発表した、新型メルセデス・ベンツBクラスに乗ったら、いまSUVに人気を奪われているというハッチバックも、まだまだ見るべきところがある、と確信させてくれる出来のよさだった。

3代目になったBクラスは、ひとことでいうと運転を楽しませてくれるクルマだ。ルノーのホットハッチ(高性能ハッチバック)のように、やたらトンガったスポーツ性とは違う。

エンジンは排気量から想像するより活発だ。最大トルクが1460rpmから4000rpmと広いバンドで出る設定だけあって、回転を上げていくと、ぐんぐんと加速していく感覚がいい。
ターボチャージャーを1基備えているだけなんだけれど、下の回転から比較的トルクがあって、ターボの作動域に入るときは感知できないほどナチュラルだ。
ステアリングは適度に重さを与えられていて、切り込んでいくときに独特の慣性をかんじさせるのが、CやEやSといったメルセデス・ベンツの後輪駆動のセダンにとくに強く感じられる伝統的な味つけと共通するものがある。

カーブでステアリングホイールを切ると、車体がゆったりと傾いていく。その過渡的領域というか、車両の動きは、他車では体験できないもので、とても強く印象に残る。
今回ひと足さきにフルモデルチェンジしたAクラス(基本プラットフォームを共用)でも似た感覚を味わったが、B180のほうが、エンジンのトルクをしっかり感じさせつつ、同時にしっとりした感触があり、より好ましいと思えた。
最新技術もしっかり搭載された大人の一台
実際に運転したとき、最初はコンフォートで充分だと思った。だが、途中でスポーツを選んでみたところ、上のほうの回転域でよりしっかりとトルクが出て、パワフルさを感じさせてくれた。これは、エンジンによる楽しさを味わうのに最適だった。
速度が上がると、しっかりと踏ん張るサスペンションシステムと、重めだがダイレクトな感覚を保ちつづけるステアリングホイールとの連けいがたいへんよい。Bクラスは基本的な性能が高いのだと知れる。

室内は空間的余裕がたっぷりある。後席はおとな2人に充分な広さだ。前席とのあいだのレッグルームやヘッドルームもたっぷりある。前席は、大きな液晶パネルを使ったMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザーエクスペリエンス)のインフォテイメントシステムをはじめ、新しい機能が斬新な雰囲気をもたらしている。

Bクラスが”いまっぽい”クルマだと感じるポイントのひとつは、「メルセデス・ミーコネクト」だ。スマート端末でドアの施錠と解錠が出来ることをはじめ、駐車位置検索、行きたい場所のデータを車載ナビゲーションに送れる「センド2カー」といった機能が使える。

歩行者や飛び出し検知機能つきのアクティブブレーキアシスト、前方にいる歩行者との衝突を避けるためステアリングホイール操作に車両が介入する緊急回避補助システム、渋滞最後尾の車両への衝突を避ける渋滞時緊急ブレーキ機能、車線逸脱を防止するアクティブレーンキーピングアシストといった運転支援システムも(一部はオプションで)用意されている。
価格は、今回試乗したB180が384万円(8パーセントの消費税こみ)、このあと、2019年10月以降に導入されるディーゼルのB200dは422万円(10パーセントの消費税こみ)となる。
ウィンドウグラフィクス(サイドウィンドウの輪郭)はGLCを思わせる
写真のB180はオプションの「AMGライン」装着
後席とハッチゲートのウィンドウをプライバシーガラスにするのはオプション
キャラクターラインを極力廃して面の張りで個性を出しているのが新型の特徴
ナビゲーションサービスなどで構成されるナビゲーションパッケージはオプション
写真の内装は「AMGレザーエクスクルーシブパッケージ」
写真は「レザーエクスクルーシブパッケージ」
「AMGレザーエクスクルーシブパッケージ」の後席
荷室は通常455リッターで後席のシートバックを倒すと1540リッターにまで拡大する(写真の左ハンドルは欧州仕様)
全長は4425ミリでAクラスより5ミリだけ長い
ウィンドウグラフィクス(サイドウィンドウの輪郭)はGLCを思わせる
写真のB180はオプションの「AMGライン」装着
後席とハッチゲートのウィンドウをプライバシーガラスにするのはオプション
キャラクターラインを極力廃して面の張りで個性を出しているのが新型の特徴
ナビゲーションサービスなどで構成されるナビゲーションパッケージはオプション
写真の内装は「AMGレザーエクスクルーシブパッケージ」
写真は「レザーエクスクルーシブパッケージ」
「AMGレザーエクスクルーシブパッケージ」の後席
荷室は通常455リッターで後席のシートバックを倒すと1540リッターにまで拡大する(写真の左ハンドルは欧州仕様)
全長は4425ミリでAクラスより5ミリだけ長い
● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト
慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。