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2018.06.24

ロレックスはなぜ売れ続けるのか?

一般に、高級時計と聞いて真っ先に思い浮かぶブランドが「ロレックス」ではないだろうか。なぜ数々の時計メーカーがあるなかで一人勝ちを続けられるのか。その理由を『クロノス日本版』編集長・広田雅将氏に伺った。

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文/広田雅将(『クロノス日本版』編集長) イラスト/Isaku Goto 協力/高級アンティーク時計専門店メルシーウォッチ

数々の時計メーカーがしのぎを削っているにもかかわらず、(一般的には)いまだに高級時計の代名詞と言えばロレックスだし、それは今後も変わらないだろう。事実、日本に限らず、ロレックスは世界中で売れている。

ではなぜロレックスは、今のような立場を築けたのか。いくつかあるその理由をあげていこうと思う。

1. 質を落とさずに価格を抑える生産プラン

ひとつは、時計の作りに比して、値段が控えめなこと。確かにロレックスは安くないが、質を考えれば驚くほどリーズナブルだ。ではなぜ、価格を抑えられたのか。

ロレックスはさまざまなモデルを発表しているが、ケースやムーブメントの種類は決して多くないことにお気づきだろうか。つまり、少ないモデルを大量生産することでひとつあたりの生産コストを抑え、質を大きく高めているわけだ。

例えば、ロレックスが採用する904Lステンレス。この素材はアレルギーが起こりにくく、傷もつきにくいが、価格が高く、加工も大変に難しい。しかし、大量生産することでロレックスはこの素材を、特別なモデルではなく通常ラインのモデルに採用することに成功している。
左が、代表モデル「デイジャスト」に大きな成功をもたらしたモデル「Ref.1601」(1950年代後半〜77年代製造)。そして右が、2005年に発売された「Ref.116234」。約50年を経てもデザイン面での違いはほぼは見られない。大きな変更を加えずにマイナーチェンジを加えていくことも価格セーブの大きな要因だ。
こうした生産方法を採用するメーカーが、アップルだ。アップルも、あえて製品のバリエーションを絞ることで完成度を年々高めている。

加えてロレックスは、大量生産の時計にうまく個性を加えた。時計というのはケースやムーブメントが同じでも、文字盤を変えるだけでまったく別の時計に見えるものだ。そこでロレックスは、ひとつのモデルに対して、さまざまな種類の文字盤を用意したのである。他人と被らないよう、モデルのバリエーションを増やすメーカーが多いなか、ロレックスは文字盤でそれをかわしたのだ。この戦略もまた「アップルウォッチ」のソレと似ている。さまざまなストラップを用意することで、同一のプロダクトに個性をもたせているのがその最たる例だ。これは2社の意外な共通点だし、ロレックスの先見の明と言えるだろう。

また、モデルにサブネームを設けるのも、ロレックスが広めた手法だ。同じような見た目のモデルに「バイセロイ」や「ロイヤル」、「スピードキング」というサブネームを与えることで、他のモデルとは違う印象を与えることに成功した。

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「売り方」にも成功の秘訣があった? 

2. 巧みなマーケティング術

そしてもうひとつが、販売戦略のうまさだ。1940年代以降、ロレックスは実用性に加えて、ライフスタイルとのかかわりを打ち出してきた。これは1969年のクォーツショックを受けて、70年代にロレックスが機械式時計に注力するようになって以降、いっそう顕著になった。
「もしあなたが明日ヨットレースに出場するならば、ロレックスをはめているでしょう」。この形式の広告は、シチュエーション別にさまざまなバージョンが作られた。69年代の広告より。高級アンティーク時計専門店 メルシーウォッチ 収蔵品
ダイビングに行くならロレックスを、ビジネスでもロレックスを、モータースポーツをする際もロレックスを……これにより、"ロレックスは汎用性が高い"というイメージを消費者に浸透させた。今では当たり前の広告戦略だが、ライバルメーカーが、ブランド名と製品、そして価格程度しか謳わなかったことを考えると、このやり方は画期的だった。

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さらにはサービスも充実させる!  

3. 販売店を味方につける修理体制の充実

加えてロレックスは、修理体制にも定評がある。今でこそ、各時計メーカーは修理体制を整えるようになったが、日本を例に挙げると、ロレックスはすでに1950年代から社内で修理する体制を整えていた。つまり、壊れてもちゃんと直せるようにして、時計を売ったのである。

きちんと直せるならば、販売店は安心して時計を売れる。結果、ロレックスは、世界中の販売店から歓迎される存在となったのだ。
今や、世界的なステイタスシンボルとなったロレックス。歴史をたどってその理由を考えると、その成功は当然だろう。良質なものを安価で提供し、巧みなマーケティング&ブランディングでイメージをコントールし、修理体制も整っている。今や多くのメーカーが同じ方法を採用しようと試みるが、パイオニアであるロレックスの優位は、当面揺らぎそうにない。ロレックスが売れるのも、納得ではないか。

■ 協力

高級アンティーク時計専門店メルシーウォッチ
URL/https://www.melsy.com/

■ 広田雅将 

1974年生まれ、大阪出身。時計専門誌『クロノス日本版』編集長。サラリーマンを経て2004年からフリーのジャーナリストとして活躍し、2016年より現職。関連誌含め連載を多数抱える。また、一般・時計メーカー・販売店向けなど、幅広い層に対して講演も行う。

高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos]

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