2016.10.13

その価値を決めるのはあなたの耳 Vol. 01

コンピューターと工作機械の進化によって、時計の品質レベルは格段に向上しました。そして"効率化"‌"工業化"の波を受け、スイス製のトゥールビヨン機構さえも100万円台で発売できる時代に突入しています。

しかしそんな潮流のなかにあって、今でも人間を介さなくては製造できないのが「ミニッツリピーター」モデル。人の耳だけが製品を完成へと導くことができる……。そんな特別な時計なのです。

Brand01

Audemars Piguet[オーデマ ピゲ]

美しい音色を豊かに響かせる

歴史的アーカイブを参照し、人間にとって心地良い音を科学的に解析することでたどり着いたモデル。腕に時計をのせた時にもっとも美しく響きます。

日常的環境でも充分聞こえます

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ロイヤル オーク コンセプト・スーパーソヌリ 価格未定
美しい音色を豊かに響かせるために考案された最新のミニッツリピーター。極めて論理的に導かれた時計ではありますが、ゴングとハンマー、そして音響板のバランスによって音色が変化するので、必ず担当者が耳で確認しながら何度も微調整を行い“心地よい音”を作り出しています。ちなみに発生する音の大きさは、一般的なリピーター搭載腕時計の約10倍にもなるそう。手巻き、Tiケース(44㎜)、ラバーストラップ/オーデマ ピゲ(オーデマ ピゲ ジャパン)
理想の音色を求め、オーデマ ピゲでは過去の自社製リピーターを研究。

19世紀の懐中時計は音が大きいけどノイズが大きく、20世紀の腕時計は音がピュアなのに構造的に音がこもるというように、それぞれの時計の構造で変化する音の特性を割り出すことで、理想とするミニッツリピーターを検証していきました。

こうして生まれたのが『ロイヤル オーク コンセプト・スーパーソヌリ』。

最大の特徴は音を鳴らすゴングを音響板に取り付けたこと。その結果、豊かで澄んだ音を奏でるだけでなく、防水性も高まることで、高価な時計なのに日常的に使えるというメリットもあります。
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円状のゴングを銅を含む合金で作った音響板に直接取り付ける。空洞で響かせる手法はギターの音響構造を引用しており豊かな音を響かせる。
ちなみに音響板の上には中空構造のケースバックがセットされ、その空間でさらに音が大きく反響する仕組みになっているので、雑踏の中でも美しい音色を楽しむことができるでしょう。

この時計はもはや“楽器”と呼ぶにふさわしいレベルに達しているのです。
クローディオ・カヴァリエール氏

クローディオ・カヴァリエール氏

クローディオ・カヴァリエール氏

オーデマ ピゲ グローバル ブランド アンバサダー

数々の時計ブランドを経て2007年にオーデマ ピゲに入社。プロダクト開発分野でトップを務めた後現在は“アンバサダー”としてオーデマ ピゲの魅力を顧客に伝える活動を行っています。

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Brand02

Patek Philippe[パテック フィリップ]

歴史と伝統に裏付けされている

数々の複雑機構を開発したパテック フィリップ。そのなかでももっとも価値のある機構とされるのがミニット・リピーターであり、歴史は1845年に遡る。

シンプルも複雑も、どちらも得意

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右●Ref.7000/時価 左●Ref.5216/時価
右●2011年に発表した同社初の女性用ミニット・リピーター。自動巻き、18KRGケース(33.7㎜)、アリゲーターストラップ、左●3つの超複雑機構を搭載しているハイエンドモデル。手巻き、18KRGケース(39.5㎜)、アリゲーターストラップ/ともにパテック フィリップ(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター)
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シースルーバックとなっており、時を奏でる様子を観察可能。Ref.5216に搭載されるトゥールビヨン機構は、裏側からしか見えない奥ゆかしい設計になっています。
パテック フィリップにおけるミニット・リピーター(同社ではこう呼んでいます)の歴史は、1845年に始まります。

多くのモデルが作られてきましたが、特に傑作とされるのは1910年にメキシコの貴族レグラ公のために作られた懐中時計で、なんと5つのゴングを使って美しいチャイムを演奏したそうです。この貴重なタイムピースは丹念に修復され、現在はパテック フィリップ ミュージアムに所蔵されています。

そして修復の際に得た膨大な知識と経験の蓄積を、現代のミニット・リピーター作りにも生かしているのです。

極上のダイヤモンドとケース仕上げ

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Ref.5307/時価
窓式の永久カレンダー、トゥールビヨン、ミニット・リピーターを搭載。ベゼルには40個のバゲットカットのダイヤモンドをセッティングし、インデックスにもダイヤモンドを使っています。ラグ横は彫金で手仕上げし、細部まで美しい表現にこだわりました。手巻き、Ptケース(41㎜)、アリゲーターストラップ/パテック フィリップ(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター)
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手彫金で仕上げを施したケースの横にあるスライドピースを上に押し上げるとミニット・リピーター機構が作動し美しい音を奏でてくれる。
パテック フィリップのミニット・リピーターはバリエーションが豊富で、現行品に限っても14モデルがラインナップ。

トゥールビヨンや永久カレンダーと組み合わせたり、小ぶりな女性用モデルを作ったりとさまざまなスタイルを提案しており、最高峰ブランドにふさわしい陣容となっています。
写真/鈴木 泰之
文/篠田 哲生

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