しかしそんな潮流のなかにあって、今でも人間を介さなくては製造できないのが「ミニッツリピーター」モデル。人の耳だけが製品を完成へと導くことができる……。そんな特別な時計なのです。
Brand01
Audemars Piguet[オーデマ ピゲ]
美しい音色を豊かに響かせる
歴史的アーカイブを参照し、人間にとって心地良い音を科学的に解析することでたどり着いたモデル。腕に時計をのせた時にもっとも美しく響きます。
日常的環境でも充分聞こえます
19世紀の懐中時計は音が大きいけどノイズが大きく、20世紀の腕時計は音がピュアなのに構造的に音がこもるというように、それぞれの時計の構造で変化する音の特性を割り出すことで、理想とするミニッツリピーターを検証していきました。
こうして生まれたのが『ロイヤル オーク コンセプト・スーパーソヌリ』。
最大の特徴は音を鳴らすゴングを音響板に取り付けたこと。その結果、豊かで澄んだ音を奏でるだけでなく、防水性も高まることで、高価な時計なのに日常的に使えるというメリットもあります。
この時計はもはや“楽器”と呼ぶにふさわしいレベルに達しているのです。
クローディオ・カヴァリエール氏
クローディオ・カヴァリエール氏
オーデマ ピゲ グローバル ブランド アンバサダー
数々の時計ブランドを経て2007年にオーデマ ピゲに入社。プロダクト開発分野でトップを務めた後現在は“アンバサダー”としてオーデマ ピゲの魅力を顧客に伝える活動を行っています。
Brand02
Patek Philippe[パテック フィリップ]
歴史と伝統に裏付けされている
数々の複雑機構を開発したパテック フィリップ。そのなかでももっとも価値のある機構とされるのがミニット・リピーターであり、歴史は1845年に遡る。
シンプルも複雑も、どちらも得意
多くのモデルが作られてきましたが、特に傑作とされるのは1910年にメキシコの貴族レグラ公のために作られた懐中時計で、なんと5つのゴングを使って美しいチャイムを演奏したそうです。この貴重なタイムピースは丹念に修復され、現在はパテック フィリップ ミュージアムに所蔵されています。
そして修復の際に得た膨大な知識と経験の蓄積を、現代のミニット・リピーター作りにも生かしているのです。
極上のダイヤモンドとケース仕上げ
トゥールビヨンや永久カレンダーと組み合わせたり、小ぶりな女性用モデルを作ったりとさまざまなスタイルを提案しており、最高峰ブランドにふさわしい陣容となっています。
文/篠田 哲生