4人のスペシャリストが語る今年の時計
S.I.H.H.やバーゼルワールドで発表されたさまざまな新作時計たち。もちろんそれらを発表するにいたるにはさまざまな開発ストーリーや時代背景、ブランディング戦略があるのが事実。
で、こちらではそんな裏話をご紹介。来年の話なんかもチラホラ!?
Person01 IWC
ハネス A. パントリ/IWCボードメンバー
そして70年代のIWCといえば、時計好きならご存知のポルシェデザインとのパートナーシップがあります。
「70年代後半から20年間でしたね。そこで生まれたひとつが時計界初のチタンケース。IWCにとって大変意義深いモデルでした。
そしてその後、原点回帰してパイロット・ウォッチの『マーク11』の進化版『マーク15』で大成功を収めました。時計は男性が身に付けることのできる唯一のアクセサリーだと思うので、そこに歴史や物語があることがとても大切なんです」
今年は、その歴史的名作パイロット・ウォッチのコレクションが全面刷新されました。
「90年代以降『ポルトギーゼ』や『ポートフィノ』『インヂュニア』など各コレクションをリニューアルしています。IWCはそういう歴史的モデルをもっているのが強み。これからも歴史を大切にして、あっと驚く進化をしていくと思います」
Person02 Richard Mille
ティム・マラシャール/マーケティングディレクター
ティム・マラシャール氏は生産計画や各国への出荷本数の配分のほか、提携するアスリート=パートナーの人選まで行っています。
しかしリシャール・ミルは新しい機能や性能を考え、それを実現するために技術開発をする。航空宇宙産業やF1で使用される最先端素材に着目するのもそのためなんです。つまり、ほかのブランドとはまったくアプローチが違います。そこがまさしく革新的で独創的なのです。」
そしてリシャール・ミルが、いま、力を入れているのが認定中古。
「2年前から始めたのですが、これは単なるビジネス以上の意味があります。まず、下取りや買い取りをすることで、中古の市場をコントロールすることができる。それはブランドイメージのコントロールであり、顧客サービスでもある。
また、リシャール・ミルは自社製品の修理を永続的に行っていきたいと思っています。50年後にも書類があれば修理し動くようにする。そんな価値あるブランドにしていくこと。それを目指し、実現させていきます」
Person03 Roger Dubuis
アルヴァロ・マッジーニ/クリエイティブディレクター
ロジェ・デュブイのクリエイティブディレクターのアルヴァロ・マッジーニ氏は広告やコーポレートアイデンティティなどブランドイメージ全般を手がけるキーパーソンです。
ピラミッドのような階段のステージにはオートクチュールのドレスを着たマネキンが立つ。ドレスのセレクトも、もちろん、マッジーニ氏が行ったそう。
「例えば、日本の茶道は、ただお茶を味わうだけではない、様式が美しいもの。それと同じように、時計をただショーケースから出すだけでなく、より美しく見せるのが私の仕事なのです」
「ロジェ・デュブイらしいリッチでエクスクルーシブな作品になったと思います。とにかく、名刺からショップまで、すべてのデザインが私の仕事。近々、日本にブティックをオープンしますので楽しみにしていてください」
Person04 OMEGA
ジャン=クロード・モナション/プロダクト開発担当副社長
「今後認定モデルをさらに拡充し、2020年にはコーアクシャル脱進機での認定80%以上を目指します。そのためにはレディスや中型ムーブメントを想定した審査カテゴリーを増やすことも検討しています」。
2016年のバーゼルワールドではクロノグラフ、スモールセコンドキャリバーも発表され、さらなるマスター クロノメーター搭載モデルが拡大しているオメガ。マスター クロノメーターがスタンダードな認定となる日は遠くない。