2025.12.15
ヘアメイクアップアーティスト:向後信行
カルチャーとコーディネート!? 独自すぎる時計選びに注目!
時計はオトナの必需品であり、自身の足跡を雄弁に物語る記念品でもあるのです。時計単体に飽き足らず、時代時代のカルチャーを巻き込み自家薬篭中のモノとする達人クリエーターは、一体どんな時計を愛用しているのでしょう?
BY :
- 文/長谷川 剛
- CREDIT :
写真/高橋敬大(Table Rock) 編集/長谷川 剛(Table Rock Script)
時計選びの基準は、創造力を掻き立ててくれるかどうか

ということで今回は、時計に加え、まつわるアレコレをも深掘りする変則スタイルにてお届けします。ですが、よく考えると、これこそ“通”のあるべき姿かもしれません。まず初っぱなは、このトップクリエーターの“時計始め”からうかがってみました!

実はその道具箱は錺(かざり)職人であったお爺さんのものであり、そのなかにお父さんの遺品であるオリエント(画像左)がしまってあったと言います。
ですのでこちらの時計はカルチャーというより、どちらかと言うとファミリーのお話。しかし実に向後さんらしいこだわりとストーリーが詰まっています。

あまり裕福でなかった父は、恐らく背伸びをして手に入れたはずであり、だからこそ僕がしっかり引き継いでいこうと思っています。ですが、最近になり急に動かなくなってしまい……。
いろいろ修理に出してはみたものの、どうも故障箇所が意外な部分らしく、パーツが見つからないと言われました。どうしようもないので、新たにキングダイバーの後継に当たるキングマスター(画像右)を買い足すことに。もちろん父のキングダイバーは諦めてはいません。それが使えるように直るまで、こちらを代わりにしているということ。
キングダイバーもキングマスターもレアなモデルではありませんが、日本製らしい実直な剛健さが気に入っています」


ただしこのルクルトに合わせるアクセサリーは、あの頃のブラック的なゴールドが今もって自分の流儀。
その他、最近では和服にもこのルクルトを合わせて自分なりに楽しんでいます。繊細で緻密な金無垢のブレスレットは、意外なほど着物にもマッチします」
自分らしさを極めることで周囲も付いてくる

いわゆる渋カジのトレンドと並んで一世を風靡した、ゴシックなシルバーアクセサリーにハマっていくのです。A&Gをはじめクロームハーツやビルウォールレザーなどが台頭するなか、向後さんはバンソンのレザーライダーズにブーツカットのジーンズ、そしてウェスコのエンジニアブーツを履き、仕上げとしてシルバーアクセをトッピングしていたと語ります。


独自のセンサーのみを信じて収集を重ねる向後さん。なかにはユニークなレアモノも含まれます。その最たるコレクションが、ナイキのマイケル ジョーダン ゴルフ。これはちょうど1990年代中期、向後さんがゴルフにハマりだしたタイミングとほぼ同時期に、限定的に展開されたとされる珍しいシリーズです。

ゴルフグッズを揃えるなら、こういったモノが自分らしいと思い、色々と買い集めていくことに。長年ゴルフを趣味とする友人に聞いても、このシリーズの存在を知らない人が多く、PINGのOEM製であるパターなどは、今見せても珍しがられます(笑)。

今回この撮影を行った場所は、向後さんが手掛けるヘアサロンとはまた別の、完全プライベートなアトリエ。ヘアカット用のチェアや洗髪台なども備えられていますが、それ以上に膨大な向後さんのコレクションがひしめく趣味空間。

ただし向後さんは、どれに対しても単なる趣味レベルの収集では収まりません。実は向後さんはヘアメイクの他、アートディレクターやプロデューサー、それにスタイリング業もこなす、いわゆるマルチクリエーターでもあるのです。

時計ももちろんその目線にて選ばれていることは言わずもがな。プライスの高低ではなく、その時計がどれだけ創造力を膨らませてくれるかどうか。それが一番大事だと語ります。

● 向後信行(こうご・のぶゆき)
ヘアメイクアップアーティスト。1990年、日本美容専門学校専門科卒業後、「maniatis PARIS」、谷崎隆幸のアシスタントを経て1993年に独立。2006年目黒区の都立大エリアにヘアサロン「JANEiRO hair」をオープン。 2008年にマネージメント事務所「JANEiRO」を設立。雑誌、広告撮影に加え俳優やミュージシャン等のヘアメイクを手掛ける。その他、タレントプロデュースやアートディレクション業も並行して行う。














