世界が注目する「クレドール」の薄型トゥールビヨン。美と技術を凝縮させた腕に載せるアートです

腕時計のプロたちが魅了された一本をリコメンドする本企画。今回、時計ジャーナリストの高木教雄さんが選んだのは、クレドールのゴールドフェザー トゥールビヨン限定モデル（GBCF999）です。

2016年にリリースされたFUGAKUに始まるクレドールのトゥールビヨンウォッチの最新作が登場しました。そのケース厚は、わずか8.6mm。薄型ドレスウォッチシリーズであるゴールドフェザーにラインナップするにふさわしい、時計界でも屈指の極薄トゥールビヨンの登場です。

トゥールビヨンを太陽に見立て、そこから12時位置のクレストマークに向かって飛翔する鳥の群を表したダイヤルを手掛けたのは、加賀蒔絵師の漆芸家、田村一舟氏。

トゥールビヨン近くの赤い鳥は、24金の薄板をカットして漆の上に置く切金（きりがね）の技法で、それら以外は白蝶貝と夜光貝を貼り付ける螺鈿の技法を駆使し、躍動感あふれる飛翔の様子が表現されました。

さらにケースバックに姿を見せるムーブメントも、螺鈿と高蒔絵、彫金によって優美なフェザーモチーフを表しています。

固定された歯車の上に、テンプと脱進機を収めたキャリッジが載るトゥールビヨンは、元来は高さが出る複雑機構です。にもかかわらず搭載するCal.6850の厚さは、わずか3.98mm。

これほど極薄ながら、約60時間という十分に長いパワーリザーブを実現してみせたのは、まさに驚きです。

またケースも裏蓋を一体構造とすることで、より薄型化を図っています。ここまで薄いトゥールビヨン・ムーブメントを組み立てるのは、極めて困難。さらに裏蓋が開かないため、一度ムーブメントをケースに収めたら、調整し直すには再び取り出しかありません。

だから組み立て時には歯車の噛合具合や精度などに一切不備がないよう念入りに調整しています。工芸的な技巧だけでなく、組み立て技術も世界に誇れる一本です。

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