ダイヤモンドウォッチをしないのは、日本人だけ？

これまではダイヤモンドウォッチ＝ギラギラしたイメージ、で敬遠されていた方も多いでしょう。しかし、メーカー各社によりダイヤモンドモデルは、"紳士がつける"輝きとして、さりげないデザインから華麗なスタイルまで、実に幅広いバラエティが叶えられるようになりました。

それにより、TPOに合わせて選ぶことでお洒落の幅を広げることが可能に。華やかな席だけでなく、あえてリラックスしたスタイルに合わせ、大人の余裕を醸すという使い方も大人にぴったりです。

というわけで、いま知っておきたいダイヤモンドウォッチ事情をまとめてご紹介いたします。

まず男性にとってのダイヤモンドとは、いかなる存在でしょう。紀元前から人類の歴史に登場したダイヤモンドは、そもそも男性のための宝石でした。ダイヤモンドの語源が"征服されざるもの"という意味を持つギリシャ語の“アマダス”にあるように、古来ダイヤモンドは、男性たちにとっては"強さ"を象徴する宝石として珍重されてきたのです。

そして例えば、中世の肖像画などでダイヤモンドが黒く描かれているように、ダイヤモンドが今のように光り輝くようになったのは、もっとずっと後のこと。14世紀にダイヤモンドを用いてダイヤモンドをカットする技術が開発されて以降、かつて力のシンボルとして男性が身に着けていたダイヤモンドは、研磨技術の進化と共にいつしか輝きという"美しさ"を新たに得るようになります。

希少性が高く、男性にとって力を示す宝石として崇められてきたダイヤモンドですが、研磨技術の進化と共にもたらされたこの溢れるほどの輝きが、現代においては男性よりもむしろ、女性たちの心を奪う結果となったのかもしれません。

しかし昨今は、宝飾よりも難しいとされてきた時計へのダイヤモンドセッティングの技術力が高まったことで、男性の道具である"機械式時計"の装飾の一つとして、つまりは男性もファッションの一部として、ダイヤモンドを気軽に着けられるようになりました。

そして昨今、ヨーロッパの男性のように日本においてもビジネスでダイヤモンドを着けてもおかしくないシーンが増えてきたのも事実です。例えば、仕事での社交。かつてはゴルフや会食に限られていましたが、最近では夫婦同伴のパーティなど、ブラックタイを着るようなソーシャライツ的な機会が増えつつあります。

正式な装いの袖口に収まる薄型時計に添えられたダイヤモンドには、やはりギラつき感は感じられないもの。そして果ては社交でのトーキングピースにもなるような、そんなエレガントなイメージへの変化が、男性にとっての新しい"装身具"として認められるようになった理由の一つでしょう。

かつ昨今、時計ブランドがダイヤモンドセッティングの技術を高めてきた一方で、宝飾をメインとするジュエラーが時計製作そのものに力を注いでいるという現状も、男性のためのダイヤモンドモデルをバラエティ豊かにした要因でしょう。

例えば、ハリー・ウィンストンのレトログラードを搭載したダイヤモンドモデル。ハイジュエラーによるダイヤモンドウォッチという信頼性と、コンプリケーションの個性が相まって、多くの男性を魅了しています。

では具体的には、どんなモデルを選ぶのがよいのでしょう？　シーンやテイスト別にご提案します。

さりげない輝きを求める人には、薄型二針のバゲットカットのインデックスモデルが最適。ブラックタイなどのスーツにもよく似合います。

ジュエリーと時計の両輪で活躍してきたショパールのタイムピース。バゲットカットのダイヤモンドは重厚感がありながら、比較的輝きが控え目なので、男性も付けやすいのです。

ブラックタイの装いには二針の手巻きがおすすめですが、こちらのスモールセコンド付きの自動巻きモデルは、厚さ3.3㎜の薄型ムーブメント搭載でフォーマルな場での汎用性も高く、普段のスーツ姿にもスマートに映えます。

薄型のドレスウォッチのベゼルにラウンドダイヤモンドを配した時計は、まさに定石。スーツとの相性は言わずもがなですが、シンプルなニットやシャツスタイルに合わせると俄然リッチさが高まります。

自社内に専任のジェムセッターを抱えるヴァシュロン・コンスタンタンのダイヤモンドウォッチ。ドーフィン型針とレイルウェイトラック、そしてギヨシェ文字盤などのクラシカルな佇まいにダイヤモンドが華やかさを添えています。ダンディな香りの漂う1本。

比類ない個性と輝きを求める方には、コンプリケーションとダイヤモンドのコンビネーションモデルを。袖口からちらりと覗いただけでも、鮮烈な印象を残します。

ニューヨークを代表するダイヤモンドジュエラー、ハリー・ウィンストンは、現在スウォッチ グループの一員として時計製作にも力を注いでいます。こちらは“ほかにはない個性”をアピールするダイヤモンドモデルといえるでしょう。

ハリー・ウィンストンのシンボルの1つともなったバイレトログラードに、バゲットカットとラウンドブリリアントカットの二種のダイヤモンドが施されています。かつ文字盤部分に希少な貴金属であるルテニウムクリスタルを用いることで、ダイヤモンドとの相乗効果で驚くほどの輝きに。