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2018.08.06

まさに絶海の孤島! 上陸困難度MAX級の「青ヶ島」に行ってみた

島巡りは海洋国日本ならではの楽しみ。誰でも気楽に渡れる観光島も多いですが、今回はハードルをMAXに上げてみました。行先は青ヶ島。東京都内なのに渡航は超困難。でも苦労を帳消しにする素晴らしい景色が待っていましたよ。

CREDIT :

文・写真/古関千恵子

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米国の環境保護NGOが発表した「死ぬまでに見るべき絶景13」に選ばれ、世界から注目を集める青ヶ島。“ダブルカルデラ”というユニークな地形に、夜空を埋め尽くす星、好事家に珍重される焼酎など、気になるキーワードが躍ります。これは行っておかないと! けれど“神のご加護がないと行けない”ともいわれる青ヶ島、果たしてたどり着けるか⁉

日本で唯一の「死ぬまでに見るべき絶景」

東京都・青ヶ島。八丈島から南へ約70キロ、伊豆諸島の中でも最南端に位置し、黒潮に洗われる絶海の孤島です。周囲約9キロの島はぐるりと断崖絶壁に囲まれ、数千年前と1785年の大噴火によって生まれた“ダブルカルデラ”という、世界的にも珍しい地形をしています。

米国の環境保護のNGO「ONE GREEN PLANET」による「死ぬまでに見るべき絶景13」に、日本で唯一選ばれたのが、富士山でも沖縄でもなく、この小さな青ヶ島。ただ、厄介なのは、運がよくないと、行けないのです。
もちろん本島からの直行便はなく、八丈島からの定期船の就航率も5~6割。ひとたび海が荒れてしまうと、2週間も船が入港できないことも。運航率8割のヘリコプターは1日1便、9席しかありません。夏は海が安定しているけれども、台風の危険もある、一か八かの勝負です。
東京竹芝桟橋から東海汽船に乗り、まずは八丈島へ。その前日は沖縄に台風が接近しているという天気予報もあったけれど、気にしないふり。とはいえ、やはり気になって東海汽船の船員さんに「青ヶ島丸、運航しますかね?」と聞いてみると、「欠航ですよ」と、ばっさり。あぁ、やっぱり。青ヶ島への道は甘くはありません。
で、しばしの八丈島観光。
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再チャレンジの翌朝は、「条件付き運航」。この“条件付き”というのが、かなり曲者で、わざわざ2時間半かけて島まで行っても、入港できずに戻ってくることも珍しくないとか。
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青ヶ島が近づいてきました! まさに絶海の孤島のイメージどおり。まだ上陸の保証はありません。
出港から2時間を経て、青ヶ島が目の前にそそり立っていても、まだ安心はできません。接岸して、タラップを渡って、上陸してようやく、ひと安心。
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岩盤を補強された、三宝港が近づいてきます。接岸できるでしょうか……。

トンネルを抜けてカルデラ内へ

青ヶ島は人口170人足らずの日本一人口密度の低い村です。住所はすべて“東京都青ヶ島無番地”。郵便物は名前で届くのです。宿のある集落は、島の北部にある岡部地区。
そこへは船の着く三宝港から約500メートルの青宝トンネルを抜けてカルデラ内に入り、外輪山の内側をぐるりと回ったのちに、ふたたびトンネルを抜けて外側へ出るルートです。いきなり、カルデラ内に突入です。
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三宝港とカルデラ内を結ぶ、約500メートルの青宝トンネル。このトンネルを抜けると、熱帯雨林のようなカルデラ内へ。
カルデラの内側は熱帯雨林の中を舗装道が走り、高台に上ると、ババロアのような形をした丸山がすぐ目の前に。
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石を積んで整備した大凸部の山道。
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カルデラ内から見上げたババロアのような丸山。
丸山の麓には、島言葉で“ひんぎゃ”という地熱で熱せられた水蒸気を利用した調理場所の地熱釜や「ふれあいサウナ」があります。ひんぎゃの温度や噴出量は日によって違うそうで、まるで島が呼吸しているよう。
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丸山の麓にある地熱釜。“ひんぎゃ”という地熱による水蒸気を使って、たまごやジャガイモなどを自由に蒸すことができます。
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約30分で、できあがり! 島の人も、ひんぎゃで蒸したジャガイモは「ひんぎゃ塩で食べるのが一番うまい!」とのこと。ひんぎゃ塩とは地熱を利用して作られた青ヶ島産の塩。
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ダブルカルデラを眺めるなら、海抜423メートルの島の最高地点、大凸部(おおとんぶ)へ。湿度の高い島の気候で、急な山道を上るのは、石を積んだ階段であっても、かなりハード。息を上がらせ、汗で視界がかすみつつも、一歩一歩と上り、頂上まで達した時の視界が開けた瞬間は、まさに感動の嵐です。ゆっくりと流れる雲の影が丸山の上を流れ、外輪山の向こうには茫漠とした大海原。あまりに現実離れをした美しさに、まるでおとぎ話の中の島のように思えてきます。
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尾山展望台から見下ろした丸山。ババロアのようなひだひだは植樹した椿がたまたま描いた模様だそう。ここは星空スポットのひとつ。

満天の星空をひとり占め

夜もまた、ハイライトが待っています。
周囲に島がなく、青ヶ島自体もネオンがないため、光害を受けない星空観察に絶好のスポットがいくつも。なかでもカルデラ内は、天文ファンの間で“星空コロシアム”と呼ばれる特等席です。外輪山に切り取られた星空は、黒い闇の部分が少なく感じるほど、星がびっしり。文字通りに“星くず”が頭上に降ってくるよう。天の川もくっきりと流れています。
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カルデラの中から見た「夏の天の川」。銀河が最も明るく太く濃い部分の、夏の星座として有名なさそり座・いて座方向。
1泊しかできなかったけれど、帰りも船で八丈島へ。これって、かなりの強運とのこと。運を使い果たしてしまったかもしれません。
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さらば、青ヶ島、また会う日まで。次回は早めにヘリコプターを予約しようっと。
星空写真/井川俊彦(C)『星の箱船・青ヶ島』公式サイトhttp://www.vill.aogashima.tokyo.jp/star/

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