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2018.06.15

旅慣れたオトナに「ジオパーク・ツーリズム」のススメ

ジオパークという言葉を頻繁に耳にします。SNSの普及もあり、絶景を訪れ記録をすることが旅の目的になりつつある今、ジオパークはそのひとつの指針です。2016年に『下北ジオパーク』として認定され、注目を浴びる本州最北端の半島、下北半島を訪れました。

CREDIT :

取材・文/前田陽一郎(LEON.JP)、撮影/yOU(河﨑夕子)、kana、佐々木信宏 

ジオパークという言葉をご存知でしょうか。
『日本ジオパークネットワーク』のHPによると<ジオパークとは、「地球・大地(ジオ:Geo)」と「公園(パーク:Park)」とを組み合わせた言葉で、「大地の公園」を意味し、地球(ジオ)を学び、丸ごと楽しむことができる場所>とのこと。この活動は『世界ジオパークネットワーク』と連携しながら『ユネスコ世界ジオパーク』へと繋がっています。関東近郊では伊豆半島が『ユネスコ世界ジオパーク』に認定されたことでニュースにもなりましたね。
この日本ジオパークに2016年に認定され、にわかに注目を集めているのが本州最北となる『下北ジオパーク』です。
仏ヶ浦/下北ジオパーク/下北半島
自然が作り出した、世界的に見ても稀有な光景と、そこで育まれた文化や生態系が残る『下北ジオパーク』写真は佐井村のジオサイト、仏ヶ浦
ご承知のとおり、海外の旅慣れた旅行者たちは旅そのものに冒険的要素を求める傾向にあり、ここ数年の“日本ブーム”は様々な要因はありながらも、多分にヨーロッパでは見ることのできない景色や風習を目にする機会を求めているものです。そんな彼らの“冒険”のひとつの指針となっているのがジオパーク巡りなのです。
『下北ジオパーク』を構成するのは青森県むつ市、大間町、東通村、風間浦村、佐井村の5つの自治体。この5つの自治体に近隣の横浜町が加わり、今回、複数のメディアを招いて『shimokita GEO-DINING〜下北ジオダイニングin仏ヶ浦』と題したダイニングアウトイベントが開催されました。
下北/下北ジオパーク/shimokita GEO-DINING〜下北ジオダイニングin仏ヶ浦
『shimokita GEO-DINING〜下北ジオダイニングin仏ヶ浦』の舞台となった仏ヶ浦。もちろんこの日だけの特別な設えです。下北の魅力を伝えたいという地域の努力と理解によって実現した特別なイベントでした

※今回のイベントで考案されたメニューはむつ市内の以下の店舗でいただけます。
※ただし、各レストランで提供できるメニューが異なりますので、お問い合わせください

アグレアーブル 青森県むつ市小川町2−17−1 TEL0175-23-9114
レストラン&ワインバー パザパ 青森県むつ市小川町2-10-1 TEL0175-34-9707
鮨割烹 東寿し(あずまずし) 青森県むつ市横迎町1-2-40 TEL0175-22-2031 

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東京から東北新幹線七戸十和田駅までおよそ3時間。そこからバスで最初に目指すのは本州で最大面積を誇る菜の花畑で知られる横浜町です。
バスでの移動中、最初に気づいたのは国道を走りながらもほとんど信号がないこと。また、適度なアップ&ダウンとカーブのあるなだらかに続く道は、まさにドライブルートに最適だということ。今回はメディアツアーということで貸切バスでの移動がメインながらも、プライベートで訪れるなら新幹線で近隣まで来て、あとはレンタカーでドライブして回るのが最高でしょう。
そんな快適なルートを45分ほど走ると菜の花畑が散見しはじめ、同時に巨大な風力発電の風車群が自然の景観のなかに現れます。聞けば横浜町には現在22機の風車があり、今後12機を追加する予定で、自然エネルギーの街としての開発を進めているそう。
下北/下北ジオパーク/横浜町/菜の花
巨大な風車と菜の花のコントラストが不思議な光景を作り出す。
ところでこの下北地域が日本ジオパークとして認定されたのは、日本列島を形成する4種類の地質が半島内で結実していること、日本列島に分断された太平洋と日本海が海峡で繋がる海の交差点であることなど世界的にも稀有な地形によるところが大きい。また、ジオパーク認定の重要なファクターである風土や文化、生態系も色濃く残っていて知れば知るほどに興味深い。
下北ジオパーク/東通村/郷土芸能
東通村能舞 岩屋青年会による勇ましい能も披露された。二人の武者が合間見える状況を演じるものだが、どこかコミカルな仕草も見られ、かつての庶民の娯楽の香りを残す
恐山/下北ジオパーク/下北半島
イタコで知られる恐山も下北ジオパークのなかのジオサイト。ところで恐山は曹洞宗の山岳信仰の重要地で、イタコたちとは宗教上の接点はない。しかも、現在知られるイタコはただ1名のみ。メディアによって作られた恐山のイメージから、ようやく本来の山岳信仰の形へと戻りつつある。
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アウトドアダイニングが開催される佐井村の仏ヶ浦は、下北ジオパークのクライマックスとも言えるジオサイト(ジオパークを構成するポイント・スポット)ですが、この奇怪な地形は火山灰など火山噴出物が凝結してできた堆積岩の一種である凝灰岩によるもの。この凝灰岩が水と風の侵食を受けて現在の形となっているそうです。
さらに、荒海の(勝手な)イメージを抱いていた海は、この仏ヶ浦の岩石群周辺はとても穏やかなうえ、驚くほどの透明度です。おそらく海だけを写真に残したら、その青い海水は南国のそれと見紛うでしょう。事実、帰京後にインターネットを検索したところ、やはりインスタグラム上には(#仏ヶ浦)で数千枚の投稿があり、そのどれもがまるで南国のよう!
仏ヶ浦/下北ジオパーク/下北半島
透明度の高い水の底にはいたるところに雲丹が自生している。夏でも海水浴の習慣がない浜辺はまさに自然のまま
かつて大阪(大坂)を出港し日本海を舐めながら津軽海峡をくぐり、函館へとその航路を進めた北前船。その航路開拓には困難を極めたと言います。それでも船商人たちがこの海と地域を目指したのは、豊かな海産資源にほかなりません。もちろんそれは今なお健在ですから、食通の舌を満足させるだけの良質な海の幸を目的に下北を訪れて見るのも一興かと。
何より大人のオトコとしては、司馬遼太郎の小説『菜の花の沖』さながらに、菜の花の先に広がる陸奥湾を眺めながら、悠久の時を感じ入ってみることをオススメします。
インスタ映えから、通なグルメ、そしてロマンを求めて。実は下北ジオパークは多彩な目的に十分応えてくれる、なかなか興味深い半島です。

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