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2021.05.07

いま、アメリカで注目される、環境に配慮した“ビーガンレザー”って?

コロナ禍で刻々と変化するアメリカの現状をニューヨーク在住のLEON特派員の菅 礼子がお届けする本シリーズ。先月はアースデーだったこともあり、環境問題に関するニュースを見ない日はないほどでした。今回は急激に市場を伸ばすビーガンレザーについてレポートします。

CREDIT :

文/Reiko Suga

アメリカは2月にバイデン政権が誕生し、パリ協定に復帰するなど、国として環境保全に急ピッチで取り組んでいます。ジェネレーションZ世代が人口の最大ボリュームを占めることもあり、SNSなどで環境問題に関する投稿を目にしない日はないほどです。

アメリカ人の多くはプラントベースミート然り、洋服然り、ダイアモンド然り、購入する際にそのプロダクトの生産背景や従業員の雇用状況などを厳しくチェックします。確かに、私の周りでもカリフォルニアが山火事になればワインをカリフォルニアの小規模ワイナリーから購入して応援をしたり、アジアンヘイトがあればアジア人オーナーのレストランに食事をしに行くなど、消費行動を通して自分の意識表明をしているのは明確です。

特にエグゼクティブの男性たちは環境に配慮して「今日はプラントベース肉に切り替えよう」とか、「彼女にジュエリーを買う際は子供を不正労働させていないジュエラーのダイアモンドを買おう」などとか、地球を思っての消費アクティビズムをしているので、人間的にかっこいいなと感じてしまうもの。どんな手を使ってでもお金を稼ぐ!というより、みんなが幸せに、環境にいいことをしてお金を稼ぐということをしていきたいものです。
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環境問題を無視したお買い物は時代遅れ!?

ブラッドリーカクタスのスニーカー「CLAE」
さて、最近注目しているのがビーガンレザーです。サイエンスの力を駆使してフルーツや植物からレザーを作り出すもので、リアルレザーに比べて環境負荷が少ないということで注目を浴びています。

アメリカではこうしたビーガンレザーを作っているスタートアップも多く、オピニオンリーダーとなるようなブランドは次々とビーガンレザーを取り入れています。時代背景を無視して環境に悪いものを買うという行為は今の時代の流れにはちょっとそぐわないように感じます。

注目はキノコ菌を使用したレザーです。サンフランシスコにほど近いEmeryvilleのバイオテックスタートアップBolt Threads社が開発した人工レザーの「マイロ」は「アディダス」のスタンスミスにも最近用いられた素材です。個人的にも今年スタンスミスを新調したのですが、ビーガンレザー製にしました!

アディダスはマイロやビーガンレザーのスタンスミスを発売しているほか、完全循環型モデルで100%リサイクル可能なウルトラブーストを発売するなど、会社としてもサステナビリティな取り組みに力を入れているんだなと感じます。

話はそれましたが「ステラマッカートニー」もこのマイロを用いて人工レザーのコレクションを発表していて、今後もマイロの導入を進めていくそうです。Bolt Threads社はアディダスやケリング、ルル・レモン、ステラ・マッカートニーなど、サステナビリティへの意識が高い企業とすでに戦略的パートナーシップを結んでいるというので、今後多くの商品でお目にかかれそうです。
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キノコ菌「マイロ」から作られたスタンスミス
▲ キノコ菌「マイロ」から作られたスタンスミス。
▲ 約2週間ほどで成長する素材ということで、本革よりも成長にかかる歳月も少ないのが特徴。
個人購入したビーガンレザーのスタンスミス。サイドに「Vegan」マークがありました。
▲ 個人購入したビーガンレザーのスタンスミス。サイドに「Vegan」マークが付いていました。
上述したマイロではないものの、「エルメス」もアメリカのスタートアップ(こちらの会社もBolt Threads社同様、Emeryvilleに拠点を置いています)My Coworks社とコラボレーションし、開発した人工レザー「シルヴァニア」を使用したバッグを発売しています。

大手ラグジュアリー企業は真のラグジュアリーを突き詰めるからこそ、地球環境にも配慮したものづくりをしているなと感じます。ちなみにこのMy Coworks社は女優のナタリー・ポートマンなども出資をしている企業なんだとか。

キノコ菌は無限に再生可能なため、自然にかかる負荷も少ないとされているので、今後多くのブランドが取り入れていきそうな予感。キノコ菌から作られた人工レザー以外に気になっているのがサボテン由来のカクタスレザーやフルーツから作られたレザーです。
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My Coworksとしては初の自社素材を使って作られたエルメスのバッグ。Photo by My Coworks
▲ My Coworksとしては初の自社素材を使って作られたエルメスのバッグ。Photo by My Coworks
マイロ培養の様子
▲ マイロ培養の様子。

サボテンやぶどうから作ったレザースニーカーも

カリフォルニアはロサンゼルス発のスニーカーブランド「CLAE」は、サボテンレザーから作られたブラッドリーカクタスを販売。こちらは日本でも購入が可能です。

サボテンは成長過程でほとんど水がいらない他、生産の際に出る二酸化炭素を通常の皮革素材を使った場合と比較して約80%削減できるという地球に優しい素材。こちら、アウトソールも100%天然のゴムでできていると言います。見た目もクラシックなローテクスニーカーで可愛らしいですね。
ブラッドリーカクタスのスニーカーの日本での販売価格は2万900円 (税込)
▲ ブラッドリーカクタスのスニーカーの日本での販売価格は2万900円 (税込)。オンラインから購入可能。
▲ 女性とのペア購入もできるデザイン。
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フルーツ由来のレザーも最近見かけるようになりました。個人的に最近気になっているバイオテック企業の「PANGAIA」からも、ぶどうを使ったレザーのスニーカーが発売されました。

こちらの企業は100%オーガニックコットンやバイオベース、再生ペットボトルなどのリサイクル素材、生地の仕上げ処理にペパーミントオイル処理をすることで抗菌・消臭効果を発揮し、洗濯回数を減らすことができる素材を開発をしています。特許も取得しているのですが野生の花が持つ天然由来の化合物からダウンを作るなど、科学者・研究者集団が素材開発から徹底してエシカルにこだわっているなんともマニアックなブランドです。

それでいてカラフルなフーディーは今のカジュアルな気分に合っているのでついつい欲しくなってしまう。こちらの企業も村上隆氏とコラボをするなど注目のブランドで、日本でも青山にある「ファーストハンド」のショップで一部購入が可能です。

ぶどうを使ったレザーのスニーカーはイタリアのワイン産業から出たぶどうの廃棄物(皮、種子、茎など)とリサイクルされたゴムのソールを用いたものです。軽量で通気性がいいのもポイントだと言います。こちらも欲しい!
「CLAE」スニーカーはブラックとホワイトの2色展開。アメリカでの販売価格は$195
▲ スニーカーはブラックとホワイトの2色展開。アメリカでの販売価格は$195
▲ ホームページにはこの商品を買うとどれだけ地球への負荷が軽減されるかなどに加え、素材の特徴などが細かく書かれています。
こうしてみると、リアルレザーの良さを知っていながら、ビーガンレザーをネクストチョイスとして選べるって素敵なことだなと思います。では〜。

● 菅 礼子(Reiko Suga)

LEON編集部で編集者として勤務し、2018年に渡米。現在はニューヨーク在住、LEON特派員。ニューヨークのライフスタイルの情報から世界中の旅の情報までを執筆している。

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