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2017.07.26

外国人旅行者に大人気! 最新のTOKYOゲストハウスに泊まってきた

写真(WIRED HOTEL ASAKUSA)/田尻陽子
文/Team.A
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インバウンド需要の高まりに合わせて、ここ数年、都心部に急激に増えているゲストハウスやホステル。ホテルや旅館業以外の業種も多く参入し、従来の「簡易宿泊所」の枠におさまらない、個性的なものが続々と登場しています。その理由は何か。どんな雰囲気で、どんな人たちが宿泊しているのか。識者に話を聞き、さらに実際に泊まって調べてみました。
 
「前提として、ゲストハウスやホステルは、投資が低くすむので、異業種が参入しやすい」というのは『月刊ホテル旅館』編集長の金澤達也さん。旅館やホテルほど法的な制約が厳しくなく、既存のビルを改修して作ることも可能。またシンプルな造りのドミトリーは、清掃やサービスの手間も少なくてすむといいます。
 
「そのぶん、最近のゲストハウスは、宿泊者同士の交流の場であるラウンジに力を入れる傾向にあります。ラウンジを広くし、外部の人も利用できるスタイリッシュなカフェやダイニングにしたり、イベントを行ったり。それで収益性も上がりますし、外食産業やデザイン会社の運営であれば、会社のイメージにアップも狙えます」(金澤さん)
UN PLANのカフェラウンジ内
UN PLANのカフェラウンジ内。グリーンが多く、癒される。奥のカウンターテーブルがレセプション
SNS時代で、デザインに特徴があったり、ユニークなイベントが体験できたりしたほうが、海外客から注目されやすいともいいます。
 
「こうしたゲストハウスは宿泊費がやや高めなので、“1円でも安く泊まりたい”という人は利用しないでしょうね。ホテルや旅館ではできない交流や体験を期待してわざわざ泊まりに来る、そんな新しい客層も見えてきます」(金澤さん)
 
ゲストハウスやホステルを利用するのは、若くてお金のないバックパッカー−—。そんなイメージは、当てはまらない場所になっているようです。

花街、神楽坂の裏通りにできたUNPLANは大人のためのゲストハウス

UN PLAN
早稲田通りから一本北に入ったところにある。1階は、テラスもある気持ちのよいカフェラウンジ
かつては花街もあった大人の街・神楽坂。そこに昨年オープンしたゲストハウス、UNPLANにまず泊まってみることにしました。
 
こちらの1階はシックなカフェラウンジ。訪れたのは休日の午後、宿泊客か外部客か判別できませんが、かなり賑わっています。カフェ内のMacが据えられた大きなテーブルがレセプションで、チェックイン手続きは、ここで行います。オープン過ぎるレセプションには一瞬戸惑いますが、後々、宿から出入りする際に、ここにいるスタッフに声をかけやすいことに気づきます。
UN PLAN 内観
「座る場所によって見える景色が変わるように」(オーナー・福山さん)、大テーブル席、カウンター席、ソファ席など、高さを変えた様々な席が用意されている
今回宿泊したのは、女性専用のドミトリールーム。ベッド内はシンプルですが、木目の壁床で落ち着きます。ベッドのヘッドボードには、薄型のセキュリティボックスがついていて、ノートパソコンやお財布程度なら収納可能です。コンセントもあって、充電も問題ありません。
 
ラウンジに戻り、ウエルカムドリンクのコーヒーを飲んでから、神楽坂商店街へ。休日は歩行者天国で賑やか。お洒落なブックカフェ、和菓子店、イタリア食材店など、バラエティに富んだ店が並び、そぞろ歩いていて飽きません。ゲストハウスに戻り、シャワーを浴びてベッドへ。コンパクトだけど、暖かみのある間接照明や木目の室内は、リラックスでき、ゆっくり眠ることができました。
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女性専用のドミトリー。ベッドというより個室に近い。窓があり、より〝部屋っぽい〝ドミトリーもあるという
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ドミトリー内。シンプルなつくりが、かえって広さを感じさせる。タオルかけやハンガーもついていて、機能的
宿泊者は朝、カフェラウンジで簡単な食事をとることができます。プライベートルームに泊まっているらしいアメリカ人青年とその親、30代くらいのアメリカ人女性が一緒。いわゆるバックパッカー風の宿泊客は見当たりません。ドミトリーの洗面室でも台湾人らしい女性と一緒でしたが、念入りにメイクをしていて、いかにも今時の若者という感じ。
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セルフサービスの朝食。パン、ゆで卵は食べ放題。ドリンクは2杯目から有料
オーナーの福山大樹さんは40代。若いころ海外留学をし、50カ国以上旅をした経験があると言います。

「旅先でいろんな人と交流したい、という気持ちは30代や40代でもあるはず。でも、そのくらいの年齢になると快適さも欲しくなる。そういう人のために、大人向けのゲストハウスをつくりたいと思ったんです」
 
そのために、ドミトリーはできるだけ個室感のある設計に。カフェラウンジは「無国籍」をテーマにして、どの国の人にも「ホームじゃないけど、アウェイでもない」感覚で、宿に戻った時にほっとしてもらえる空間を目指したのこと。
 
現在の宿泊客は外国人が8割。アメリカ人やオーストラリア人、台湾人、韓国人が多いそう。

「年齢層は高めです。スタイリストやカメラマンなど、クリエーターも結構いらっしゃいます」
 
日本人の客も、このホテルでどんどん交流を楽しんで欲しい、と福山さんは言います。

「いきなりお客さん同士、ではなくスタッフでもいい。外国人のスタッフが大半なので、神楽坂はもちろん、新宿・渋谷エリアも含め、彼ら目線で面白い場所を紹介してくれるでしょう」

◆ UNPLAN

住所/東京都新宿区天神町23-1
URL/https://unplan.jp
メール/booking@unplan.com
予約・お問い合わせ/☎03-6457-5171
 
●料金/ドミトリー4,500円~、プライベートルーム1室1万9,800円~

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客室とドミトリーの両方を備えたWIRD HOTEL ASAKUSA

本来、客室型のホテルと、ドミトリー型のゲストハウスやホステルは、客層が異なります。けれど、客室とドミトリーの両方を備えたゲストハウスも登場しています。ライフスタイルホテルの記事でも紹介しているWIRED HOTEL ASAKUSAです。こちらは、ホテルタイプの客室に泊まってみました。
浅草九倶楽部
浅草寺の北西、アーケード型商店街「ひさご通り」に面した同ホテル。ホテルがある「浅草九(ここの)倶楽部」ビルは、落ち着いたレンガタイル張りで、サイン類もモダンですがどこかノスタルジック。商店街にしっくり馴染んでいて、最初、通りすぎてしまったほどでした。
 
さらにこの日は、1階のカフェ&バー「ZAKBARAN」でイベントを開催中で、スタッフが浴衣で呼び込み中。年中お祭りのような浅草ですが、その“らしさ”を、ホテル自ら演出しようとしているのを感じます。イベントは、粋で個性的なグッズやフードを販売、オリジナルグッズが作れるワークショップも実施。台東区内や浅草の職人・アーティストも多く参加していました。
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江戸土産の「新吉原」と木版画の「直」のコラボブースで、地元の人が木版画の体験中
「ここで浅草カルチャーに触れ、今の東京も感じて欲しいんです」と、運営会社であるカフェ・カンパニー PRの加藤菜緒さん。地元の祭りに紛れ混んだような気分にさせてくれ、まさに目論見どおり、といったところです。
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「ZAKZAK MARKET(ザクザク市)」のように、宿泊者も地元の人も参加できるイベントが、定期的に開催されている
今回宿泊するのはホテルタイプのROOM902。テラス付きで、窓が大きく開放感たっぷりです。ACE HOTELのブランディングを手がけたデザインチーム「OMFGCO」も関わったという空間は、モダンななかに和の温かみを感じます。
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スーペリアタイプのROOM902。キングサイズベット、2名宿泊可。3万2,400円〜(税・サ込み。価格変動あり)
イベントにも参加していた革のプロジェクトブランド「TOKYO L」製の客室バインダーなど、地元の職人のプロダクトが効いています。キャビネットにはなぜか昭和のEP版レコードがディスプレイ。プレーヤーにかけると、猥雑な浅草(いい意味で)の空気がふわりと漂います。こんなところにも街の滞在を盛り上げる遊び心があります。
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懐かしの昭和歌謡のEPレコード。今夜のBGMはSEXYな夏木マリさんか、陽気にザ・ドリフターズ(荒井注時代)か…
休憩後、街を散策。“アンバサダー”と呼ばれる人たちが、ホテルから1マイル範囲で、オススメするスポットを紹介している「1MILE GUIDE」カードを利用しました。アンバサダーは国籍・年齢・職業もさまざまな東京の住人約50人。知っている場所でも自分にはない視点が新鮮で、カードを読むだけでも楽しめます。
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ずらりと並ぶ「1MILE GUIDE」。左下の黒いカードを表紙にして、リングで止めれば、オリジナルのガイドブックができる
「色っぽいイラストのせいか、カードの減りがなぜか早い」(フロントスタッフ・三浦剛さん)という銭湯もよさそうでしたが、小腹も空いていたので「ナポリタンが有名だが、実はガーリックライスがおいしい」(同・三浦さん)という喫茶店『ロッジ赤石』へ。
 
喫茶を出た後も、浅草は見る場所、飲む場所にこと欠きません。特に“泊まり”だと、時間を気にせず浅草の夜を満喫できます。その後ホテルに戻って、「デュクシアーナ(DUXIANA)」のベッドで爆睡。寝心地抜群で、目覚めも爽快です。
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全客室でスウェーデンの最高級ベッド「デュクシアーナ(DUXIANA)」を採用。実はドミトリーのマットも「デュクシアーナ製」だというから贅沢
客室とドミトリーが共存するのは珍しいですが、PRの加藤さんによると、

「街を楽しむ、という視点で多様な宿泊者が集り、自然発生的に交流が生まれていく場を目指して、あえてボーダレスにした」そうです。

実際にホテルで過ごしてみても、ホテルタイプの客か、ドミトリータイプの客か、一見では判断できませんでした。
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テラスからの夜景。キッチュな「花やしき」の電飾もなかなかオツ
現在、宿泊者の7〜8割が外国人観光客だそうですが、浅草を何度も訪れたことがある東京暮らしの自分でも、浅草という場所を深掘りしたくなり、また泊まってみたいと思えました。客室で浴衣に着替えてカップルで浅草散策、ドミトリーに友人同士で泊まって思い切り夜遊び、などさまざまな利用法も想像できて楽しめます。
 
今回は2つのゲストハウスを体験しましたが、「異業種からの柔軟な発想で、“泊まる+α”の魅力を提供する新タイプはまだ増えるでしょう」(前出・金澤さん)とのこと。
 
外国人観光客だけではなく、日本に住む我々にも、新しいホテルライフを楽しませてくれる存在になりそうです。
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レセプション横のスペースには、地元浅草や台東区の職人やアーティストとコラボしたプロダクトが販売されている

◆ WIRED HOTEL ASAKUSA

住所/東京都台東区浅草2-16-2 浅草九倶楽部
URL/http://wiredhotel.com/
メール/info@wiredhotel.com
予約・お問い合わせ/☎03-5830-7931
 
●料金/ドミトリー5,184円~、1万4,040円~(税・サ込み。季節により変動あり)

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