2017.06.01
「怖いけどすごい!」な日本の絶景【1】スリリングなあの場所は、リアル吊り橋効果がねらえる?
「月と恋は満ちれば欠ける」とは恋愛に関するポルトガルのことわざ。なんともシニカルではあるけれど、言い得て妙でもある。絶対などない男女関係において必要なものとは、安心感と刺激。この相反する2つのバランスが重要なのではないかと思うのです。
非日常なドキドキ体験がふたりの気持ちを刺激する
そんな絶景の数々の中から、「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」(三才ブックス)シリーズの著者である、絶景プロデューサーの詩歩さんが、刺激を求める男女にオススメの場所をセレクト。第1回は、なんとも不安定な吊り橋の危うさから、普通では味わえないドキドキ感が得られる、スリリングなスポットをご紹介します。
秘境にかかる蔓(かずら)の吊り橋、奥祖谷の二重かずら橋

徳島県西部、三好市の山あいに架かる吊り橋。かずら橋が2本並んで架かっており、通称「男橋女橋(おばしめばし)」とも「夫婦橋(みょうとばし)」とも呼ばれる。どちらの橋を渡るにしても、かなりの勇気と覚悟が必要かも。(写真提供/tomoka_mzkm)
「かずら(蔓)橋と名付けられているように、パッと見、植物の蔓で作られているように見えます。まずは、そのビジュアルにドキッとさせられるんです。女性ならば『切れない? 大丈夫なの?』と不安を覚えるのではないでしょうか。
さすがに今はワイヤーで固定されているので切れることはありませんが、足場の板の間隔が広くて、下が丸見えなので足がすくみますし、結構揺れるんです。女性が一人で渡るにはハードルが高いですね」
と詩歩さんがいうように、絶景&絶叫スポットとも呼べるスリルと刺激に満ちた橋。同行した女性に向かって腕を伸ばせば、ごく自然に手を握ってくるはず。
その手を強く握り返し、「俺に任せろ!」という思いを込め、しっかりと瞳を見つめてみたり。ハラハラドキドキを乗り越えて橋を渡りきったとき、2人の間に新たな感情が芽生えているかもしれません。
ロマンチックな景色とスリルが混在する、夢の吊り橋

静岡県、寸又峡を流れる寸又川を堰き止めて造られたダムに架かる、高さ8m、全長90mに及ぶ吊り橋。橋の中央付近で恋の願いをすると、その恋が成就するという伝説でも知られている橋です。非日常的な美しい景観、「夢の吊り橋」というロマンチックなネーミングに反して、渡る者を拒むようなスリルさを味わえる橋でもあるのです。(写真提供/y.trip.y)
「確かにきれいな眺望が味わえる場所ではあるのですが、この吊り橋はすれ違うのが難しいほど板の足場が細く、思った以上に揺れるので途中で歩けなくなる人、諦めて引き返す人もいるほどです。それと、橋に設置された看板に“定員は10名! 11名以上は危険!!”と書かれているのですが、明確な制限重量は書かれていないうえに、誰かが人数を数えているわけでもなく…。そんなスリルも味わえますね」
と、詩歩さんがいうように、先に紹介した秘境感満載の「奥祖谷二重かずら橋」とは異なり、ロマンチックな雰囲気を味わえる吊り橋です。
ただし、橋に足を一歩踏み出すまで、ではありますが。横に2人並んで歩くことはできないので、女性の手を取り、男性が前を歩く。その背中に何かを感じてくれることを期待しましょう。
不安定に揺れる吊り橋への恐怖感からか、橋の先にいる異性が自分を守ってくれる存在と意識してトキメキを覚える心理現象を「吊り橋効果」。と思っている方も多いのではないでしょうか。実は、「吊り橋効果」を検証するために行われた実験方法は少し違うのですが、そんな話はさておき、実際に「吊り橋効果」は存在するそうです。
ただし、ドキドキの理由を恋心と勘違いしてしまう心理現象は「錯誤現象」と呼ばれるものらしく、あくまでも一時的な勘違い。永続的に効果があるわけではないとのこと。勘違いから芽生えた恋愛感情を永続的にできるかどうかは、あなた次第です。
詩歩(Shiho)/絶景プロデューサー
1990年生まれ、静岡県出身。早稲田大学卒業。累計55万部を超える「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」シリーズの著者。旅行商品のプロデュースや企業タイアップ、講演活動なども行う。