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2020.10.10

奈良1300年の伝統を新解釈した最新ホテル「ふふ 奈良」に泊まってみた

京都からクルマで約1時間の奈良。これまでは京都に滞在しつつ、奈良の寺社・名所をめぐる急ぎの旅が多かったように思えます。宿泊するとしても、古色然とした高級旅館が主流。それが今年は2つのラグジュアリーホテルがお目見え。新たなる奈良の楽しみ方が広がりました。

CREDIT :

文/古関千恵子

▲ 奈良公園内に開業した「ふふ 奈良」。早朝の春日大社へ散策へ出られるのは、滞在しているからこそ
これまでは京都からの日帰り旅が主流だった奈良ですが、そんな急ぎの名所めぐりだけではもったいない2軒のホテルがお目見えしました! 

最初にご紹介するのは、カトープレジャーグループが世界を見据えて展開する「ふふ」ブランドの「ふふ 奈良」。この地に受け継がれる伝統に、モダンな解釈を加えたラグジュアリー系の宿です。建築やアート、食、あらゆる場面で、奈良のエッセンスを感じます。そして、明治・大正期の文化人が愛した庭と、21世紀のランドスケープアーキテクトが手掛けた庭、ひとつのホテルの中で時空を超えた日本の庭園美を体験できます。

新旧の庭園を愛で、すべての部屋の露天温泉に憩う宿

▲ ロビーラウンジ。窓の向こうに宮城俊作さんの現代の庭園が
春日大社から徒歩圏内。「ふふ」ブランドとしては3軒目となる、こちら。名勝奈良公園内に広がる4000坪もの敷地では、歴史的な庭園「瑜伽山園地(ゆうがやまえんち)」と人気ランドスケープアーキテクトによるモダンな庭園、新旧の庭が楽しめます。
▲大木を生かしたロビーカウンター。背後の額縁は栄山寺の梵鐘の拓本
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歴史的な庭園は、明治から大正にかけて財界で活躍した山口吉郎兵衛の別邸跡地で、かつて画家や茶人が交流した文化が育まれた場所。茶室や石橋などが再現され、奈良公園に追加指定されました。当時のままの石灯篭や石垣、竹林の間を抜ける石の階段、ひっそり佇む茶室や池など、風雅な散策が楽しめます。
▲ 山口吉郎兵衛さんの庭園を再現した瑜伽山園地
一方のモダンな庭園は、ランドスケープアーキテクトの宮城俊作さんが手掛けました。石・木・土・水を使い、19種の植物が1年を通して彩を添えています。ロビーラウンジ前にあるので、滞在中に幾度となく前を通り、時に足を止め、ソファに座って鑑賞する機会があるでしょう。
▲ 文化人が交流した茶室を再現
今をときめく隈研吾さんを招いた建築は、古都に伝わる技巧を取り入れた現代の数寄屋。随所で目にする奈良格子や大和張り、高さを押さえた軒に茶室のような侘び寂を感じます。インテリアはシルクロードの終着点である奈良にちなんで、アジアン調。テーマカラーの墨色とグレーのシックな色使いに、アクセントの真鍮が華やかさを添えています。調度品や配置など、同じ部屋は2つとありません。
▲ 茶室では華道体験も。初心者から上級者までコースがあります
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全室に露天温泉。30の客室はいぶし銀な色使いのアジアン調

▲ 広さ121.3平方メートルの、ハイエンドなふふラグジュアリープレミアムスイート
5タイプに分かれる客室は30。エントリーレベルで広さ70平方メートルもあり、テラスだけで30平方メートルとゆったり。

全室のテラスに置かれた温泉の露天風呂は、滞在のハイライトともいえるアイテムです。この場所に温泉はないものの、ゲストに疲れをとってほしいと、奈良県内から運び湯を敢行。その心づかいが嬉しいじゃありませんか。湯船は二人で入っても余裕の広さがあり、足湯や寝湯の位置などが微妙に異なり、これも同じ形はありません。
▲ 緑の息吹を感じるテラスの露天風呂。温泉です
アメニティに数種類の和漢植物が入った袋「和漢の香りの湯」も用意されています(VIPルームには薬湯も)。これをあらかじめ温泉に付けておくと、夕食後や翌日に、水分をたっぷり含んだ和漢植物の香りがお湯から立ち上がります。暖かい季節はミント系、寒い季節はシナモン系と、時期にあわせて香りも変化。加えて、防水テレビもあるので、ゆっくりじっくり温泉が楽しめます。
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▲ ベッドサイドでライトのコントロールができます。わかりやすいのが、ありがたい
ユニークなのは、1階の一部の部屋にある「掘り込みリビング」。一段低くなった畳敷きのリビングを囲むようにローソファが配置されています。和室特有の“座する”動きを生かしたスペースで、座る場所によって見える高さが違い、畳に大の字に寝転ぶのも、心地いいものです。
▲ 墨色とグレーがテーマカラー。ちなみに、奈良は墨の生産量が日本全国の9割を占めます。パウダーエリアは床暖房
ミニバーの中身のうち、タグの付いていないものはフリードリンクです。お茶の産地・月ヶ瀬のかぶせ煎茶「気宇」や水だし茶、オリジナルブレンドのコーヒーなど、飲み物にもこだわりが感じられます。
▲ 幼少期を奈良で過ごした松岡信夫さんによる、春日山をモチーフにした鉄錆のアート作品
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奈良は生薬発祥の地。和漢植物をハーブのように効かせた食と酒

レストランは竹林を下りて行った麓にある2階建ての一軒家。日本料理の「滴翠(てきすい)」と、鉄板焼きの「久璃(くり)」が入っています。宿泊していないウォークインのゲストも、こちらは利用できます。
▲ 日本料理「滴翠」はすべて個室。庭園を眺めながら、食事を
「滴翠」はすべて個室で、鷺池や日本庭園などの景色が楽しめます。料理は生薬発祥の奈良とあって、和漢植物の大和当帰(やまととうき)や芍薬(しゃくやく)が香りを効かせたハーブのように使われています。
▲ 香りもしっかり味わいたい「大和牛 和紅茶焼き」。調味料はすべて手造り、手間ひまかけてます
ディナーは9品からなり、メインの大和牛の和紅茶焼きは、柿の葉や当帰の葉でいぶし、和紅茶に絡めて焼き上げ、赤ワインと赤みそで3日以上煮込んだ蓮の実ソースや、シンプルに塩やわさびでいただきます。香りが肉に移り、深い味わいの中にカラダを整えるような爽やかさを感じます。
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▲ 朝食からテンションがあがります。一見、食べきれないように思うけれども、ひとつひとつ楽しんでいただくうちに、ぺろり
朝食は大和野菜のスムージーからスタート。地元の食材を豊富に使った料理は小鉢7種に焼き魚2種、納豆汁などがずらりと並び、色とりどりの器の美しさとあいまって、朝から華やいだ気分。ほうじ茶で炊いた大和茶粥のやさしい味わいが、しみじみと美味しいです。
▲ 手前が「夢久」、奥が奈良のクラフトジン「橘花ジン」を使った「緑穂」
「BAR蓮」は、一枚板のカウンターとソファ席があり、こちらは宿泊ゲストオンリー。奈良のクラフトジン「橘花ジン」とシャンパン、グラスの縁に大和当帰が付いた「緑穂」やシャルトリューズを使った「夢久」など、オリジナルのカクテルをぜひ。日本のウィスキーも、貴重なビンテージが充実しています。
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ふふ 奈良限定の薬湯を取り入れたトリートメント

▲ 植物美容学と最新テクノロジーを融合させたシスレーがプロデュースする「SPA by sisley」。和漢植物の名前が付けられたトリートメントルーム
スパは西日本では初の100%シスレー社が監修した「SPA by sisley」。ユニークなのは、ここだけのオリジナル「薬湯付きふふ 奈良限定コース」。はじめに薬湯に浸かって血流を促進し、禅の呼吸法で心を安穏な状態に導き、いくつか設定された時間内で好みの施術(ボディやフェイシャル、スクラブなど)をカスタマイズします。
▲ 自分が目指すゴールに向けて、時間内でボディやスクラブ、ヘッド、フェイシャルなどを組み合わせてカスタマイズ
また、スパに併設した貸し切り風呂では製薬会社が調合した薬湯が体験できます。チェックイン時にまずは予約を!

朝早く起きたなら、ホテルの地の利を生かして、春日大社や東大寺二月堂まで散策してはいかがでしょう。朝の静謐な空気と古都の趣、これは奈良に滞在しないと味わえません。
▲ スパに併設した貸し切り温泉。1組1回60分、利用できます

■ ふふ 奈良

住所/奈良県奈良市高畑町1184-1
HP/https://www.fufunara.jp/
予約・お問い合わせ/TEL 0742-81-7738

●1室2名利用時2名料金 税サ込・入湯税別
・スタイリッシュスイート 7万7000円~
・プレシャススイート 9万9000円~
・ふふラグジュアリープレミアムスイート 19万8000円~

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