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  • 世界の北の果てでサウナに入り、エクスタシーを味わった日のこと

2026.06.22

フィンランド・サーリセルカ

世界の北の果てでサウナに入り、エクスタシーを味わった日のこと

サウナの本場フィンランドへ行くなら、目指すべきは北極圏のイヴァロ。オーロラが舞う夜空、雪に覆われた森、そして火照った身体を冷やす極寒の空気。ラップランドのブティックホテル「Gáldu Hotel & Spa」で味わったのは、ただのサウナではなく、自然と一体になり、人と親密になるスペシャルな時間でした。

BY :

文・編集/秋山 都(編集者・ライター)
CREDIT :

取材協力/SLH スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド

世界最北限のアウトドアスパへ行ってみた!

ただいま、日本はちょっとした“サウナ狂想曲”のまっただなか。テレビをつければ芸能人が「ととのった」と目を閉じ、雑誌を開けば水風呂の温度談義。ホテル選びの基準も、「部屋が広い」より「サウナがいい」が優先される時代です。もはやサウナは、オヤジの健康法ではありません。感度の高い大人たちが、自分をリセットするためのラグジュアリーな時間になりました。


そんなサウナブームの本場といえば、やはり北欧、フィンランド。人口550万人ほどの国に、300万以上のサウナがあると言われるサウナ大国です。家にも、別荘にも、オフィスにもサウナがあり、疲れたらサウナへ、考え事をするときもサウナへ、人によっては大事な商談すらサウナで……Sauna Diplomacy(サウナ外交)という言葉があるくらいだから、サウナという密室がとても上手に使われているのだろうと拝察しておりました。

Gáldu Hotel Spa フィンランド

▲ 「Gáldu Hotel & Spa」の大きな窓から森を望める薪サウナ。

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Gáldu Hotel Spa フィンランド

▲ イヴァロまではヘルシンキ経由で。フィンエアーを利用しました。

そこで今回は、サウナを求めてフィンランドへ。目指すは、サウナ好きなら一度は行ってみたい“北の聖地”、イヴァロです。首都ヘルシンキからさらに北へ、1時間半ほど飛びますと、窓の外に見える景色は、だんだん世界の端みたいになっていきました。冬になれば、あたり一面に雪と針葉樹が広がる大地。夜は長く、空にはオーロラが(運がよければ)ゆらめきます。夏には逆に太陽が沈まない白夜……ここは壮大な自然を味わえる北極圏の玄関口とも言えるでしょう。


私が滞在したサーリセルカという地域は人口わずか500人ほどのリゾート地ということでしたが、世界中の旅人たちがこの地を目指してやってくるそうです。なんのために? それはもちろん、雪の森、オーロラ、そして火照った身体を冷やすアークティック(北極圏)の冷気……都市型スパでは絶対に味わえない本場の‟ととのい”を体験するために!

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スモール・ラグジュアリーなブティックホテル

今回、滞在したのはサーリセルカの「Gáldu Hotel & Spa」。ウルホ・ケッコネン国立公園に隣接し、大人のための隠れ家のようなホテルでした。コチラは100か国以上、700軒以上の独立系ラグジュアリーホテルから成るスモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド(SLH)に加盟していることからも、そのクオリティはお墨付きです。SLHの加盟ホテルの平均客室数は、約50 室とかなり小規模。そのため、それぞれの経営者の独自の理念やカラーが全面に押し出されているのが楽しみなのですが、この「Gáldu」も全31室とこぢんまりとしており、長期滞在にも適しています。

Gáldu Hotel Spa フィンランド

▲ 2024年にオープンした「Gáldu Hotel & Spa 」は、2階建ての全31室。こちらは大きな窓から森を望めるロビーラウンジ。

ちなみに“Gáldu”とは、現地のサーミ語で「氷の泉」や「コールドプランジ(冷水浴)」を意味する言葉。つまり、水風呂です。サウナ好きなら、この時点でちょっと反応しちゃいますよね。

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いざ、世界最北端のアウトドアスパへ!

ここでの主役は、やはりサウナ。「Gáldu Hotel & Spa」最大のウリは、“世界最北級のアウトドアスパ”ですから。雪の森のなかにサウナ棟があり、火照った身体でそのまま氷点下の空気へ飛び込むことができます。サウナは、ドライ2室とミストサウナで計3室。水風呂は2℃と16℃の2種ありましたが、もちろん、冷たいほうにチャレンジ。足からそろそろと水へ沈めていくと、最初は痛いのですが、不思議とだんだん感覚が研ぎ澄まされていくように感じました。この辺り、サウナ好きならみなさまご存知かと。

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Gáldu Hotel Spa フィンランド

▲ドライサウナが2室、ミストサウナが1室、冷水浴が2種、ほかに温水ジャクジーが備えられています。

いつものようにサウナ→水風呂→外気浴を繰り返し、最後にはサウナ→外気浴(取材時の4月はまだ気温が低く、外気浴だけで冷水を浴びたような気分に)を楽しんでいたときのこと。同行の友人(Rちゃんとしましょう)が軽くみぶるいをし、「あ、私、今イッたかも」というのです。あまりの意外な言葉に「えっ?」と聞き返しましたが、彼女いわく、「サウナの“ととのい”は女性のエクスタシーに近いんじゃないかな」と。う~ん、どうかな? 男女の違いはあるでしょうが、その気持ちよさって苦しい階段を上ったあとに爽やかな一陣の風が吹くような……感じ(?)。私は残念ながらサウナでその境地に達したことはないのですが、いつかは到達できるのでしょうか。サ道は長く険しいです(笑)。

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1日に何度でも好きな時に、好きなようにサウナ三昧

実はこのRちゃんと私はさほど親しいわけではないのですが、急にこのように踏み込んだ話をしたのも、やはりサウナの影響を受けたのかもしれません。というのは……とは後述することにして、まずはこの「Gáldu Hotel & Spa 」のサウナ以外のこともご紹介しておきましょう。まず客室ですが、いわゆる“映える北欧デザインホテル”とは少し違います。木の温もりを生かしたミニマルなインテリアは美しく機能的なのですが、その魅力は部屋の中よりも、むしろ窓の外に。

Gáldu Hotel Spa フィンランド

▲「 Gáldu Hotel&Spa」のスタンダードなゲストルーム。デスクがないので、仕事はロビーラウンジでしていました。

大きく切り取られた窓の向こうには、ラップランドの森と空が広がり、季節によってまったく異なる表情を見せてくれます。冬は雪化粧した針葉樹の森、運がよければオーロラが夜空を横切ることも。余計な装飾を削ぎ落とした空間だからこそ、自然そのものが主役になるのでしょう。テレビやスマートフォンから少し距離を置き、ただ景色を眺めるという、そんな贅沢な時間が流れていきました。

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ラップランドの山海の恵みを堪能する美食

旅先の食事はその土地を理解するための最も手軽な方法だと思いますが、「Gáldu Hotel & Spa 」のレストランで供される料理も、この土地ならではの風味を実感できるものばかりでした。メニューにあったのは、トナカイやサーモンなど北極圏の魚介、森で採れるベリーやキノコなど、ラップランド(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアの4カ国にまたがる北極圏の広大な地域)ならではの食材。とはいえ、伝統料理をそのまま再現するのではなく、北欧らしいモダンな感性で軽やかに仕立てられています。日本人である私たちがいちばん気に入ったのはやはり日頃から食べなれているサーモン。「どれにしようかな」と悩んだら、サーモンを選ぶことをおすすめします。

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サウナで変貌するフィンランドの人々

さて、さほど親しくなかったRちゃんがなぜ「イッた」などと超個人的な話をしだしたか、という話の続きですが、これはフィンランドサウナがもたらす特有の親密感ゆえだと思うのです。私は今回初めてフィンランドを旅したのですが、まず驚いたのはその“静けさ”でした。自然の中にいるから静かなのは当然のように思われるでしょうが、空港のラウンジや、レストランなど街中にいても、なにしろ静か。お店のBGMは無音か、かかっていても小さな音量。人々も小声でささやくような人が多く、大声でしゃべる人などは皆無。

ところが、サーリセルカ近郊の人気サウナ「Kiilopää (キーロパー)」を訪れた際のこと。ここはフィンランドでも珍しい大規模なスモークサウナがあることで知られ、この日も国内外からやってくる多くの人でにぎわっていました。スモークサウナとは、煙突のないサウナ室内に薪を焚き、サウナストーンと空間を直接温める伝統的なフィンランド式サウナですが、室内に充満する煙と熱気による深いリラクゼーション、まろやかな熱さが特徴。室内に入ると煙でほの暗く、しばらく目が慣れるまでそのまま立ち尽くしていたのですが、その時、耳に入ってきたのは人々のにぎやかな話し声と飛び交うフィンランド語。

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「え、フィンランド人ってこんなにおしゃべりだったの?」と驚く間もなく、話しかけられました。「ここ、空いているわよ」。見ると、奥に座っているビキニ姿のおばあさんが笑顔で私を手招きしていました。サウナ室には20代から推定70代まで老若男女がびっしりと座っていましたが、わずかな隙間を私に指し示してくれていたのです。どうやら、フィンランド人は公の場ではとても静かではあるものの、サウナでは一転、陽気でおしゃべりになるようなのでした。

Gáldu Hotel & Spa(ガルドゥ・ホテル&スパ) フィンランド

▲ 取材時の4月はギリギリオーロラが見られるかも? というタイミングでしたが、今回は残念ながら出会えず。「こんなに綺麗なんだよ」とホテルスタッフが見せてくれました。

記事冒頭でフィンランドではサウナ外交という言葉があると書きましたが、サウナは胸襟を開いて話し合う場でもある、ということなのでしょう。誰しもが半裸でくつろぎ、リラックスする場ですから、Rちゃんがうっかり私にヒミツを打ち明けてしまったのも、さもありなん。彼女とは東京でごはんを食べようと約束していますが、フィンランドで絶頂を迎えたことなど忘れたようにすました顔で現れるのでしょうね。また本音で語り合うためにもフィンランドへ行かなくちゃ。

Gáldu Hotel & Spa(ガルドゥ・ホテル&スパ)

Gáldu Hotel & Spa(ガルドゥ・ホテル&スパ)

住所/Viskitie 1, 99830 Saariselkä, Finland

TEL/+358 40 770 6709

URL/https://slh.com/hotels/galdu-hotel-and-spa


◆スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド 予約センター


電話(日本語対応)/0066-33-813-074

営業時間/月曜~金曜9:00~18:00(土日・祝日休業)https://www.slh.com/


スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド(SLH)は、世界100ヶ国以上、700軒を超える独立系ラグジュアリーブティックホテルが加盟する、世界有数のホテルブランドのグループ。 平均客室数約50室の小規模ホテルを中心に、その土地ならではの個性とおもてなしを提供。高い品質とオリジナリティを保つため、独自の評価基準を用い、定期的に審査を実施しています。

休日はこちらへのサウナ&美食旅、いかがでしょ?

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