2023.02.28
3年ぶりの海外旅行は「オーストラリアのケアンズに行かない?」
2023年春、久しぶりの海外旅行を計画している方にオススメなのが、オーストラリアのケアンズ。現在、新型コロナ関連の制限のない亜熱帯のリゾート地で、陸海空の大自然を思う存分味わってみるのもよさそうです。
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文/柳沢有紀夫(海外書き人クラブ主宰、オーストラリア在住国際比較文化ジャーナリスト)

まずは気になる新型コロナウイルス関連の入国制限に関してですが、現在、オーストラリア連邦政府は「ワクチン未接種者でも、隔離不要で入国可能」としています。行動制限に関しては各州の規則が優先されるので、事前の確認が必要ですが、1月31日現在、ケアンズのあるクイーンズランド州は入国や行動の制限はしていません。
ちなみに人口約540万人の同州の新規感染者数は「1週間平均」ではなく「1週間合計」で約5000人。人口が約2.6倍の東京都は「1日」で約5000人ですから、人口あたりの新規感染者数はクイーンズランド州のほうがだいぶ少ないです。
屋内でもマスクしている人は少ない
オーストラリアでは新型コロナウイルス全盛期には厳格な「州境封鎖」まで行われ、感染拡大防止に大成功。そのなかでもクイーンズランド州は昨年の規制緩和(ウイズコロナへの方向転換)までは、「新規感染者がほぼゼロ」の日々が数ヵ月にわたって続きました。行動制限が多かった分、日本よりも不自由だったかもしれませんが、対策的には大成功を収めたので国民たちの不満は現在にいたるまで少ないように見えます。
コロナ関連の話が長くなりました。では、そろそろ皆さまを亜熱帯の街・ケアンズにお連れしましょう。

海でいえば、ケアンズは世界最大のサンゴ礁地帯で、世界遺産にも指定されている「グレートバリアリーフ」の玄関口です。「いやいや、ダイビングとかはハードルが高いし」と二の足を踏まれる方もいるかもしれませんが、水中メガネとシュノーケル(呼吸用のパイプ)とフィン(足ひれ)だけつけて、酸素ボンベを背負わないシュノーケリングでも、美しいサンゴと熱帯魚が織りなすまさに「竜宮城」的な絶景が堪能できます。
海の中はまるでカラフルな森。ウミガメやナポレオンフィッシュといった「大物」と遭遇することもあれば、アジやイワシくらいの大きさの魚の大群と泳げることもあります。

グレートバリアリーフを訪れる場合は、船で沖合にある島かポンツーン(人工の浮島)へ訪れる半日または1日ツアーが一般的です。
世界遺産クイーンズランドの湿潤熱帯地域
「ジャングルなんて熱帯とかに行けばそこらにあるだろ~」と思われるかもしれませんが、ここがつくられたのはなんと約1億3000万年前の白亜紀。そのころの植物が今も生い茂っていて、「世界で最も古い場所」という表現もされます。別の言い方をすれば、「恐竜がいた時代にタイムスリップした気分を味わえる場所」です。

キュランダでは民芸店のある通りや蚤の市を散策したり、「キュランダコアラガーデンズ」という動物園(コアラ以外にもカンガルーやウォンバット、ワニなども飼育されています)を訪れたり。

そのあと「スカイレール」というロープウェイで下界に降ります。このスカイレールの総延長はなんと7.5キロ。竣工当時の1995年は世界最長で、ジャングルの上を行くロープウェイは、今のところ地球上でこのスカイレールだけです。これがまた絶景です。さきほど紹介したグレートバリアリーフのサンゴ礁は「海の中のカラフルな森」でしたが、こちらは逆に「森の海」とでもいうべき圧倒的な緑の世界です。

空や川のアクティビティーもたくさん


本当にもう陸海空のすべてで、優雅にもエキサイティングにも楽しむことができます。新婚でも、カップルでも、若いグループでも、家族連れでも、そしてシニアのグループでも、思い思いの方法で満喫できるのがケアンズです。
ただ1つ、亜熱帯のリゾート地として足りないのは、市の中心部付近にはビーチがないこと。でもこれには理由があります。実はケアンズ周辺の海には毒性の強いクラゲやワニが生息しているのです。その代わり市の中心部の海岸沿いに、「エスプラネードラグーン」という名の無料の「人工砂浜付きプール」が設けられています。

成田-ケアンズ直行便は週5便
便数については、ヴァージン・オーストラリア航空が2023年6月28日から羽田-ケアンズ便を毎日就航させると発表しています。日本に住む方々には聞きなれない航空会社かもしれませんが、オーストラリア国内ではカンタス航空に次ぐ規模の大手。そして注目は成田ではなく、羽田就航である点です。
同社は「2023年初頭よりチケットの販売開始予定」としていますが、1月31日現在未発売。6月末以降にケアンズ行きをお考えの方々は同社のウェブサイトを頻繁にチェックするといいかもしれません。
気になる点は、使用機材としてボーイング737-8型機が予定されている点。これは通路が中央に1本だけあり、エコノミークラスの場合、その左右に3席ずつという小さな機材で、基本的には国際線でも短距離の国際線路線に用いられているものです(JALはほぼ同系統の737-800型機を中国や韓国便に使用)。天井の低さなどの圧迫感も約7時間のフライトではちょっと心配です。
また、白人の多い国への旅行で不安なのは、「アジア人ヘイト」かもしれませんが、この点に関してもオーストラリア、とくにケアンズでは心配することはないと思います。もともと人種の垣根は少ないですし、新型コロナウイルス対策が世界でも1、2を争うほどうまくいったこともあり、誰かにストレスをぶつける必要もないからでしょう。
ヘイトも戦争もなくなり、世界中を楽しく行き来できる日が来ることを願いつつ。まずはオーストラリアに遊びに来てください。
