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2020.03.02

食いしん坊がいつかは西オーストラリア・パースを目指すべき6つの理由

大自然とグルメを一度に楽しめる旅は大人にとっての最高のリフレッシュ。さらにいい波があってワインが美味しいとくれば、いっそう気分がアガるものです。西オーストラリ州のパースは、まさにそんな環境に当てはまる旅先。そこで、未知なるパースの美味しさをジャンルごとにリポートいたします!

CREDIT :

写真・文/大石智子

直行便で行ける新たなパラダイス、パースへ

近年、世界中の美食家たちがメルボルンやシドニーのレストランを訪れており、オーストラリアの食文化が盛り上がりをみせています。2017年には「世界のベストレストラン50」がメルボルンで開催され、同イベントはその後のオーストラリア国内の飲食業を大きく刺激したでしょう。

そんなオーストラリアにおいて、正直、謎エリアともいえるのが西オーストラリア州。これまで日本からは直行便がなかったこともあり、未開拓となっていた人も多いはず。とはいえ西オーストラリア州は国土の約1/3を占め、美しい海と森に囲まれた豊かな食材が溢れる地。プレミアムワインも多く生産し、州都パースではワインと美食のペアリングを提供するファインダイニングも増えてきています。

そのタイミングで嬉しい話が、昨年9月からANAが成田空港からパースへの直行便(約10時間)を毎日運行するようになったこと。というわけで、ぐっと身近になったパースへ行ってまいりました。現地フーディーの方からのおすすめやSNSでリサーチした店など、計9泊で訪問した店は35軒。そこで、6つのトピックスごとに厳選情報をご紹介していきます!
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1.    パースで一番のファインダイニング「WILDFLOWER」が刺激的!

▲西オーストラリア州固有のブッシュフードを使用した前菜の盛り合わせ。
真っ先に紹介したいのは、「コモ・ザ・トレジャリー」というホテルのメインダイニング、「WILDFLOWER(ワイルドフラワー)」です。西オーストラリアの先住民族の間では季節は6つに分かれ、ここはその季節ごとに旬の食材を使ったメニューを提供するレストラン。ブッシュフードと呼ばれる森に育つ地域固有の植物を多用しているのが面白いのです。

メニューを開けば口にしたことのない食材がたくさん目につき、オリジナルカクテルもブッシュフードを使ったものが揃います。さらに、自家製トニックやモクテル(ノンアルのカクテル)にまでブッシュフードを使用し、本気のほどが伺える。

筆者は寝起きでこの店へ行ってしまったため、まず一杯目はネイティブタイムの入ったモクテル“Bloody Aperitivo”をオーダー。ネイティブタイムはかつて先住民がお薬としても使っていたハーブで、それを知ってか身体が浄化していくような心地に。爽やかな香りに癒されます。
喉が潤ったところでコース料理をいただきます。ひと皿目はフィンガーライムやジェラルトン・ワックスというワイルドフラワーが添えられた生のホタテ。海の旨味とライムの酸味、花の香りが融合して美味なのですが、これが地元のリースリングとぴったんこに合う! ワインを飲んでさらに食材がまとまる感じです。

一番のお気に入りだったのは豚肩ロースと、地元のマルベック/カベルネ・ソーヴィニヨンの組み合わせ。豚に添えられていたのはネイティブクランベリーのマントリーやワイルドフラワーからとった蜂蜜で、それらとワインの果実味が繋がる瞬間がたまらない。 

さて、ここまで読んで「知らない植物の名前ばっかりでワケわからん」という方もいらっしゃるかと思います。実は、私も食べている時は“謎だけど美味しい”という状況でした。しかし、このディナーには続きの体験がありまして、翌日、郊外にある「マーリンアップ・アボリジナル・ギャラリー」まで西オーストラリアの森でとれる食材を見に行ったのです。

そこでは植物の授業のようにブッシュフードがたくさん出てきて、口にして味や香りも試せる。「これ昨晩食べた!」と食材の実態が掴めて、謎解きのようにディナーの内容がクリアになっていくのです。というわけで、「WILDFLOWER」と「マーリンアップ・アボリジナル・ギャラリー」はセットで行くことを強くおすすめします!
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2.「State Building」がぜんぶ美味しい!

一軒目にエースをもってきてしまいましたが、実は「WILDFLOWER」がある複合施設「State Building(ステイトビルディング)」は計13軒の飲食店を併設していまして、すべてレベルが高いのです。そもそも、建物のデザインがとても格好よく、聞けば140年の歴史のある元政府機関をリノベーションした施設とのこと。赤レンガの外観もメインホールも趣たっぷりで、いるだけで気分がいいのです。
しかも、この建物に入っているホテル「コモ・ザ・トレジャリー」をデザインしたのは、あのケリー・ヒル。旅好きならご存知かもしれませんが、ケリー・ヒルといえば、数多くのアマンを設計したホテル建築界の巨匠。「アマン東京」もそうですね。彼がデザインする空間に魅了され、アマンの虜となった旅人は数知れず、かくいう筆者もファンであります。

そのケリー・ヒルは実はパース出身で、晩年、故郷に造ったホテルが「コモ・ザ・トレジャリー」なのです。ホテルのオープンは2015年で、ヒルは2018年にパースで75年の生涯を閉じました。それを聞いたら一度はここに泊まりたいですよね。

そんなホテルでは前述の「WILDFLOWER」のほか、オステリア「POST」で朝食をいただきました。ほか、ビル内ではバンコクの「ナーム」をアジア一位のレストランに導いたデイヴィッド・トンプソンのタイ料理「Long Chim Perth」に、ローカル食材&ワインのレストラン「Petition Kitchen」、同じ系列の「Petition Wine Bar」にも満足。

朝のコーヒーには「TELEGRAM COFFEE」、お土産には「The Honey Cake」がおすすめです。ほんと、このビル内で食事をしていれば間違いなくて、世界中の複合ビルのなかで一番好きかもと思うほど、居心地のよい場所なのでした。
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3.「西オーストラリア・グルメ・エスケープ」がワイン天国!

西オーストラリアに行って欠かせないのはワインのお買い物。実は筆者、計12本のワインを買って日本に戻ってまいりました。我ながらよくスーツケースに入れたものです(課税済)。そのうち5本はパースからクルマで約30分のワインの名産地、スワンバレー内の「Sandalford Estate」で行われた「Gourmet Feast In The Valley」というイベントにて購入。

同イベントは西オーストラリアで今年も行われるフードとワインの祭典「西オーストラリア・グルメ・エスケープ」の企画のひとつ。ブドウ畑を隣にワインのテイスティングと即売会を行うため、計20ものワイナリーが集まりました。その大半が会場となった地域スワンバレーからのワイナリーで、スワンバレーは約40軒のワイナリーが点在する地。ワイン造りの歴史も長く、「Sandalford Estate」においては1840年創業の老舗です。

ワイナリーの他にフードトラックが8軒、地元のチーズやコーヒーの生産者のブースが30軒並び、会場は大賑わい。家族連れも多く、緑のなかで子供は走りまわり大人はワインを飲むという超ハッピームードで、雰囲気にのせられてワインが進む進む!

気分がいいなかでテイスティングをするもんですから、つい買ってしまうのです。ちなみに5本購入といっても約1万円! 手ごろに美味しいワインを手に入れられるのもパースの旅の醍醐味です。
また、10日間で50以上のプログラムを開催する「西オーストラリア・グルメ・エスケープ」は、パース市街でもスペシャルなイベントを複数実施。私が参加したのは、仏シェフのピエール・コフマンとシドニーのギヨーム・ブラヒミのコラボディナーで、彼らの料理に西オーストラリアのワインを合わせる晩餐でした。招致するシェフは年ごとに変わりますが、地元のセレブ気分でドレスアップするディナーに参加したい人におすすめです。
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4.街歩きのちょい飲みスポットも充実

パースの人々にとってワインは生活の一部と言っても過言ではないですが、そもそも、みんなお酒を飲みながら仲間と話す時間が大好き。ニーズが多いからか、街は飲兵衛に嬉しいスポットばかりなのです。

散歩していればバーに当たる状態で、ストリートアート散策をしていて辿り着いたのは「Cheeky Sparrow」。女性バーテンダーさんが作るエスプレッソのカクテルが逸品でした。

会社勤めでも仕事が終わるのが早いため、17時を過ぎるとバーは地元のビジネスマンで賑わいますが、なかでも人が多かったのが「Bobeche」。ノリのいいバーテンダーさんが作ってくれたバラのカクテルがアペに最適で、ここはディナー前に調子がアガるバーですね。
また、ウイスキー好きが盛り上がるのは「Varnish on King」のウイスキーとベーコンのペアリングセット。内容は4種のテイストの違う特注ベーコンとそれに合うウイスキーを提供するもので、ベーコンの部位や薫香によってウイスキーが変わります。同じ肉と酒でも4つの組み合わせはかなり味わいが異なり、大人の実験のようで面白い。ベーコンのあとのウイスキーは食べる前より酒の旨味が引き出され、これはハマります。

他にも、飲茶と自社ブランドのクラフトビールが自慢の「Shy John」、看板のない隠れ家バー「Sneaky Tony’s」など、街には個性豊かなバーが揃いますので、ディナーの前後にぜひお試しあれ!
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5.オーストラリア独自のコーヒーカルチャーも必見!

東京にたくさんあってパースに1軒もない店、それは「スターバックス」。ちなみにオーストラリア国内には計50軒のスタバがあるのにパースには存在せず、その代わりローカル色の強いコーヒーハウスが街のいたるところで朝から営業しています。

浅煎りのサードウェーブコーヒーとも、日本の喫茶のコーヒーとも味は異なり、まず呼び名が独特。メジャーなメニューは以下の3品です。

・Short Black(ショートブラック)=エスプレッソ
・Long Black(ロングブラック)=エスプレッソのお湯割り
・Flat White(フラットホワイト)=エスプレッソにスチームミルクを注いだもの

つまり、エスプレッソがベースとなるコーヒーが地元流。コールドブリューコーヒーやプアオーバー(ハンドドリップ)もありますが、せっかくなら地元民的オーダーを。全般的に豆は深煎りが多い印象で、その硬派なフレーバーとミルクの柔らかさが混じったフラットホワイトは絶妙なバランス。あと、「La Veen Coffee Heritage」限定の“自家製アイスクリーム入りアイスカプチーノ”はヒットでした。

6.郊外にも美味しい遊び場がたくさんある!

最後にパースからクルマで30分ほどで行ける郊外のグルメ処をご紹介します。まずは広大なりんご畑のなかにある「CORE CIDER HOUSE」。ここは自家栽培のりんごで作るサイダー(フランスでいうシードル)のメーカーで、レストランやショップも併設。バリエーション豊かなサイダーが揃い飲み比べセットもあるので、ぜひお試しを。りんご畑をトラクターで巡る時間も楽しく、テラスでのランチが本当に気持ちがいいですよ!
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続いてはスワンリバーの河口に位置するフリーマントルという街。ここは植民地時代に建てられたコロニアル調の建物が並ぶノスタルジックな雰囲気の街でして、カフェやレストランも充実。

おすすめは「Bread in Common」というベーカリー併設のレストランで、オーガニック素材にこだわり窯で焼く美味しいパンをいただけます。特に酵母の香りのするサワードウは、噛むほどに粉の味をしっかり感じられる逸品。歴史ある建物をリノベーションして作った内装もめちゃくちゃ格好いいですよ。
きれいな海を見ながらのランチなら、市街からクルマでほんの15分で行けるトリッグビーチへ。サーフスポットとしても知られるスポットで、地元民にサーフィンとセットで慕われているのが「Island Market Trigg Beach」というレストラン。ターコイズブルーの海を間近に眺めながらのブランチが最高であります。さらにそのきれいな海に集まるパースのサーファーは上級者が多く、見ていて飽きません。飽きないどころか、ヘブンです。


以上、パースとその近郊のご紹介でした。振り返ってみると、「半年くらい住みたい!」と思うほど居心地のいい街。自然豊かで人も穏やかで、海もきれい。そんな直行便で行ける未知なるパラダイスで時間を過ごせば、最高のパワーチャージとなること間違いありません。

http://www.nonbiri-perth.com

● 大石智子(おおいし・ともこ)
出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、毎月海外に渡航。スペインと南米に行く頻度が高い。柴犬好き。SDエイバルファン。Instagram(@tomoko.oishi)でも海外情報を発信中。

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