• TOP
  • PEOPLE
  • 谷中 敦「普段から笑いのハードルを下げておけば、下ネタで爆笑しても大丈夫」

2021.10.27

谷中 敦「普段から笑いのハードルを下げておけば、下ネタで爆笑しても大丈夫」

コロナ禍によって人と人とのリアルな繋がりが大きく毀損され、コミュニケーションは大きな危機を迎えています。でも、こんな時だからこそ、我々オトナはいい笑顔を忘れてはならない。そんな思いを込めて皆で笑顔について考える特集です。今回は東京スカパラダイスオーケストラのサックスプレイヤーで俳優としても活躍する谷中 敦さんに話を伺いました。

CATEGORIES :
CREDIT :

文/長谷川あや 写真/トヨダリョウ ヘアメイク/高草木 剛

清潔感のある大人の色香を纏う、東京スカパラダイスオーケストラ(以下、スカパラ)の谷中 敦さん。日本人離れした濃厚な顔立ちは迫力満点。でも、その笑顔は温かく、そして爽やかです。本日は私服だという、そのファッションセンスも抜群で、とにかくカッコいい。まさに「モテる」50代の代表選手である谷中さんに、「笑顔」をテーマに話を聞いてみたところ、そのオープンで愛情深い性格が浮き彫りに!  ポジティブでハッピーな谷中節は、きっと明日を生きる活力を与えてくれます。……こんな友達、欲しいっ!

マスクをしていてもお客様が笑顔でいることはわかる

──スカパラは楽曲自体も、踊りだしたくなるような、ご機嫌なものも多い印象です。

谷中敦さん(以下、谷中) ありがとうございます。盛り上がってもらいたい、踊ってもらいたい、笑顔になってもらいたいという気持ちでずっとやってきました。高尚なものをやりたいという欲望がないわけではありません。でもライブは盛り上がってもらってなんぼ、お客様に心を開いて欲しい、明るい気持ちになってほしい。

9人全員が同じ思いでステージに立ち、9人全員がお客様一人ひとりのことを気にかけています。メンバーとは、ライブが終わったあと、「3列目の右端でずっと腕組みして座っていたおじいさん、最後は笑ってくれていたよ」、なんて話をよくするんです。そしてそんな笑顔に出会えた時は大盛り上がりです(笑)。

──生のライブ、そしてスカパラの底知れない力を感じます。ライブに行きたくなってきました(笑)。

谷中 先日、20年来の友達がライブに来てくれて。前のほうにいたのでステージ上からもよく見えたのですが、彼、僕が今まで見たことがないような笑顔を浮かべていたんです。長い付き合いですが、彼のあんな表情は初めて見ました。ライブってこういう奇跡が起こる場所なんだ、僕たちはこんなにも意義のあることをやっているんだと気付かされました。
──そのライブも、コロナでは大きな影響を受けたかと。

谷中 ほんの少し前まで、満員電車のように人がひしめき合うなか、踊って歓声を挙げてくれてくれるお客様の前で演奏をするのが日常でした。でもコロナ禍でそういう景色は見られなくなってしまいました。コロナ禍でのライブでは、お客様はマスクをしていますし、声を出していただくこともできません。でもマスクをしていてもお客様が笑顔でいることはわかるし、声が出せないぶん手が痛くなるくらい拍手してくれます。そんなお客様にも心から感謝していますし、これまでがいかに幸せだったかを痛感します。コロナが終息したら、そんな風にいろいろなことに感謝し、日常を楽しみたいですね。
PAGE 2

仕事の合間の楽しみを生きがいにするより、仕事自体を楽しんだほうがいい

──谷中さんのお話を聞いていると元気が出ます。常にポジティブなパワーに満ち溢れているというか……。

谷中 僕、“楽しむ”ことは人類の使命だと思っているんです。楽しみながら仕事をしている人って、めちゃくちゃ効率がいいじゃないですか。反対にストレスを抱えながら仕事をしてもなかなか集中できません。だから時間もかかるし、周囲との人間関係が円滑でなくなってしまうこともあると思うんです。重要なのはいかに仕事を楽しむか。仕事の合間の楽しみを生きがいにするより、仕事自体を楽しんだほうがいいじゃないですか。そして、仕事はもちろん、家族を築くことや友達との付き合いを楽しまないのは人生もったいないと思います。

──なるほど。たしかに、谷中さんのインスタを見ていると、交友関係の広さに驚かされます。「え、この人も友達だったの?」って。

谷中 人付き合いが大好きなんです。人間関係の摩擦や刺激は、僕の人生に必要不可欠なものです。例えば、大好きな友達に大好きな友達を紹介するのが楽しくて仕方ない(笑)。で、僕がいない時にそのふたりが僕の話なんかしてくれたらもう大喜びです。

メンバーともよく話をします。ご存知のようにスカパラはキャリアが長いので、フェスなどでは今や敬語を使われることがほとんど。そして、メンバーは男性ばかり9人ですから威圧感もあります。その9人が全員、笑顔もなく、真面目な顔をしていたら、さすがに怖いと思うんです(笑)。挨拶しに行きたくても、怖くて躊躇している若手もいるんじゃないか、と。そのことに気づいてから、それまで以上に笑顔を意識するようになりました。
PAGE 3

あなたの顔はあなたのものではなく、もう他人のものなんだよ

──では、谷中さんは普段からよく笑うほうですか。

谷中 笑うほうだと思います。

──谷中さんは目鼻立ちがはっきりしているので、真剣な表情だと「怖い」と思われることもあるのでは? って失礼ですよね(笑)。

谷中 大丈夫ですよ。たしかに、以前、「真顔だと怖いから笑っているほうがいいよ」と言われたことがあって。それで、笑顔を意識するようにしたら、いつの間にかいつも笑っている人になっていました(笑)。でも笑うのって少し恥ずかしい部分もあるじゃないですか。あんな楽しい時に笑わなかったのだから、こんなことで笑っちゃいけないという大人のプライドも出て来たりして。今はもう超越しましたが、僕にもそんな時代はありました。

──え、どういうことですか?

谷中 わかりやすい例でいうと、男友達と話している時は笑わないのに若い女の子と話していると大笑いするヤツとか、ちょっと恥ずかしいじゃないですか。対策は、普段から笑いのハードルを下げておくことです(笑)。ふだん笑わない人が下ネタで大爆笑したら恥ずかしいけれど、いつも笑っている人だったらなんとも思われません。

──確かにそうかもしれません(笑)。ちなみに鏡を見て表情の研究をされたりも?

谷中 それはやってないかな。でも、妻が結婚当初、「あなたの顔はあなたのものではなく、もう他人のものなんだよ」と言っていたのは今も印象に残っています。鏡で見ると自分の顔は自分のもののような気がするけれど、その自分以上に自分の顔を見ているのは他人だというわけです。そう考えると、仏頂面でいるのは失礼ですよね。

──谷中さんの顔は谷中さんのものではない、ですか。名言ですね!

谷中 僕も「いいこと言うなあ」と思いました(笑)。今、みなさんマスクをしてるじゃないですか。僕もそうなのですが、マスクをしていると、つい笑顔をさぼってしまうんですよね。目だけでも頑張ればいいのに油断してしまう。それに、いつの間にかマスクを付けた顔が自分の顔という感覚になっていて、最近、マスクを外した自分の顔を鏡で見た時、自分の顔でないような違和感を覚えてしまいました。人と話す時に使う顔の筋肉自体が衰えているのかもしれませんね。
──筋肉といえば、サックスなどの吹奏楽器は、演奏する時に表情筋が鍛えられそうです。すみません、勝手なイメージで言ってみました(笑)。

谷中 表情筋、確かに使っています。ただサックスって吹きながら笑顔になるのが難しい楽器なんですよ。昔、ポール・デスモンドというサックスの名手がいたのをご存知ですか。「君は笑わないね」と言われたポールが、「サックス吹きながらは笑えないよ」と切り返したという話があるのですが、お気持ちお察しします……。スカパラのメンバーは、わりと頑張って笑顔を作っているほうだと思うのですが難しいことは難しい(笑)。ただ、体で笑うというか、動くことで楽しさを表現するという手法もあるので、そのあたりは今後もっと突き詰めていこうと思っています。
PAGE 4

ここ数年の座右の銘は「博愛」です

──ちなみに、最近、笑顔が印象的だった人っていますか?

谷中 笑福亭鶴瓶さん、かな。人類愛にあふれるすばらしい人で、そんな人柄が笑顔にもにじみでています。鶴瓶さんは誰に対しても分け隔てなく接する方。僕もそうありたいと思っていて、ここ数年、「博愛」を座右の銘に掲げています。

──「博愛」、ですか?

谷中 そうです。座右の銘にしている人は少ないんじゃないでしょうか。だから、選んだというところもあります。「博愛」の精神でいると、いろいろな場面で緊張せずにいられるんですよ。たとえば、今、取材を受けているこの場所に一人でも苦手な人がいるとします。そうすると、別のスイッチが入るというか、やはり話しづらくなってしまうんです。それが、好きな人だけの現場ならめちゃくちゃ楽になるわけです。

今思えば、昔からそんな性格でした。大学入った時、「よし、友達を100人作るぞ」と、男をナンパしていましたから。服装で判断して、「君、ゴダールの映画好きだよね? 一緒に行こうよ」って。気持ち悪いですよね。でもそいつとはちゃんと仲良くなったんですよ。タクシーの運転手さんに、プライベートなことを事細かく話して、一緒に乗っていた友人が、「なんで初対面の人にあんなに自分のことを話すんだ」と驚かれたこともあります。僕、どんな人にも全部しゃべっちゃうんですよね(笑)。
──谷中さんのオープンなスタイル、そして笑顔が人をひきつけるんでしょうね。

谷中 僕は仕事柄、大勢の人の前で話す機会がたびたびあります。そんな時は、何分かに一度、ギャグを入れるようにしています。デビューして何年か経った頃、仏頂面で話をすると、聞いている人の集中力が切れてしまうことに気付いたんです。どんなにいい話をしていたとしても、集中力が切れるとすべてが同じに聞こえてしまいます。学生時代を思い返せば、理解していただけるんじゃないでしょうか(笑)。笑いの要素が入ることで集中力は確実にアップします。ユーモアと笑顔は、人類にとって絶対に必要なもの。そして、作り笑いではなく自然に出てくる笑顔の多さは、人生の充実度に比例すると思うんです。

●谷中敦(やなか・あつし)

1966年、東京生まれ。ジャマイカ生まれのスカを土台にジャンルにとらわれない音楽性で、“トーキョースカ”という独自のスタイルを築き上げた、東京スカパラダイスオーケストラ(通称スカパラ)のバリトンサックス担当。1989年にデビューを果たし、日本のみでなく、世界各国でライブを行う。スカパラは11月10日ミニアルバム『S.O.S.[Share One Sorrow]』をリリース、Tokyo Tanaka & Jean-Ken Johnny (MAN WITH A MISSION)や、ムロツヨシとのコラボ曲が収録されている。谷中自身はミュージシャンとしてだけでなく、俳優としても活躍中。今年もっとも話題を呼んだドラマのひとつ『大豆田とわ子と三人の元夫』では、松たか子演じるヒロインに求婚する、バツ3のイケメン社長を演じた。

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

LEON.JPの最新ニュースをお届けします。

SPECIAL

    RECOMMEND FOR YOUおすすめの記事

      RELATED ARTICLES関連記事

      SERIES:連載

      READ MORE

      買えるLEON

        谷中 敦「普段から笑いのハードルを下げておけば、下ネタで爆笑しても大丈夫」 | 著名人 | LEON レオン オフィシャルWebサイト