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2021.10.30

「自分の好きを表現して、見る人と対話したい」ネクストブレイクなアーティストKAZUSA MATSUYAMA

注目が高まる現代アートにおいて、“次に来る”アーティストは誰? ポップさと不思議な匿名性を併せ持った油彩画で人気を集めているKAZUSA MATSUYAMAさんの素顔に迫ります。

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写真/トヨダリョウ 文/アキヤマケイコ 取材協力/小倉正裕(@oggyogubone)

「好き」を追求し、挑戦を続けるKAZUSA MATSUYAMA

▲ アートスペースの「WHYNOT.TOKYO」での展示。
現代アート、特に近年では、ストリートカルチャーの影響を感じさせるアーティストとその作品に注目が集まっています。その渦中において、ネクストブレイクな日本人アーティストがKAZUSA MATSUYAMAさん。

抽象的でポップな人物描写の中に、人間の本質に迫る喜怒哀楽を感じさせる肖像作品群「Anonymous Portraits」(匿名性のある肖像画)シリーズで人気を集めるKAZUSAさんに、自身の創作とアートの楽しみ方について聞きました。
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「絵の道に進むつもりはなかった。でも、気づいたらこれしかなかった」

── KAZUSAさんは16歳で渡英されたそうですが、それは絵の勉強をするためでしたか?

KAZUSA MATSUYAMAさん(以下、KAZUSA) 最初は、普通の高校留学のつもりでした。イギリスを選んだのは、ブリティッシュロックやパンク音楽、ファッションが好きだったから。そこでできた友達と、日常的にギャラリーや美術館に通うようになって、いろんな刺激を受けました。英語もだんだん上達していくと、世界各国のアートの情報も入ってくるようになって。それで、将来に絵という道もあるんだなと思い始めたんです。

元々、家族ぐるみで絵や音楽が好きで、特に自分は幼い頃、暇さえあれば絵を描いていました。それがイギリスで文化やアートに触れているうちに思い出されて、本当に自分の好きなことはコレだったと思って。本気でやってみようと思ったんです。

── そこから本格的に美術の勉強をスタートされたと。
KAZUSA  現地の美術学校で、絵画だけでなく、デジタルやグラフィックアートも勉強しました。今でも型にとらわれない表現をしたいと思っているので、この時、色々な勉強ができたのは良かったです。ただ、最初から世界で活動することを視野に入れていていたのでイギリスでデビューしたかったのですが、そこはスムーズではなくて。美術学校を出て1年くらいして東京に帰って来ました。

── 2016年に帰国して、2017年に初個展ですから、東京ではかなり順調に?

KAZUSA そういうわけではなかったですね。最初、現代的な日本画をテーマに描いていたんですが、思うようにやれている感じがしなかった。いろいろ迷って、洋服やバッグにプリントするための絵など、頼まれたら何でも描いている時期がありましたが、そうこうしているうちに人物画を始め、だんだん今の画風になっていきました。
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「自分の原点に立ち返り、好きを追求したのが今の画風」

── 一見順調に思えても、KAZUSAさんご自身の中では葛藤や紆余曲折があったのですね。転機になった作品はありますか?
KAZUSA 昨年の個展で発表した「Darby」でしょうか。ダイアナ元妃が競馬を見ている風景を描いた大きな作品です。初めて1枚のキャンバスに3〜40人を描いたのですが、一人ひとりの性格やバックグラウンド、隣の人への意識などを想像して、それが表現できたと思った時に、自分自身で手応えを感じ、またそれが、現在の「Anonymous Portraits」シリーズの制作に繋がっていきました。

── 現在の画風で、評価されるようになったのはなぜだと思いますか?

KAZUSA デビューしてすぐは、どこか「上手い絵、他人に評価される絵が描きたい」という気持ちが先行していた気がします。でもうまくいかなくて、悩んで、「自分が本当にやりたいことは何か」って考えているうちに、人物画にたどりついたんです。

実は僕、子どもの頃は身体が弱くて、入院していた時期もあったんですね。人付き合いもうまくなくて、友達もいなかった。その寂しさを紛らわせるように、漫画とかカートゥーン調のイラストとか、人物ばかり描いていたんですね。「こういう友達がいればいいな」なんて空想しながら。だから今の画風はある意味、そういう原点に回帰していったというか。
KAZUSA 一方で自分自身は、留学したりアーティストとしてデビューしたりする中で性格が徐々に変わっていって、人付き合いが苦手ではなくなりました。むしろ今は、いろんな人との出会いに感謝できるようになりましたね。

子どもの頃に空想で描いていたものと、現在の人に対する興味が繋がって、「人間の普段見えない内面を表現したい」と思うようになり、今の画風が出来上がってきました。それは他人から評価されることじゃなくて、自分の好きを突き詰めていったこと。そうしていたら、だんだん認めていただけるようになった感じです。
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「見る人に想像してもらえる作品を描く。それが次の創作のヒントにもなる」

── 展示されている作品もそうですが、「Anonymous Portraits」シリーズでは、ポップで鮮やかな色彩で、人物もくっきりしていながら、表情ははっきり描かれていない。どういう狙いがありますか。

KAZUSA 描かれている人物はどんな人なのか、見る人に考えてもらいたいと思って、表情は想像の余地があるようにしています。もちろん、僕自身としては人物のストーリーは考えて描いています。なぜここにいて、何をしていて、どんなことを考えているのか。でもそこはあえて伝えません。聞かれれば答えますけれどね。
KAZUSA 例えばこの「peony」は、人物は若い男性で、背景は鮮やかでコントラストも強い。でも手には少し神秘的なpeony(芍薬)を持たせたりして、誰かを待っているのか、物寂しい雰囲気もあるようなないような……そんな想像をしてもらいたいなと思って描いています。ポージングやファッションは70-80年代の雑誌を参考にしていますね。

それから、「Anonymous Portraits」シリーズでは、背景に直線の棒を描いたり、影を付けず遠近のない描き方をしたりしているのですが、それもこの人はどんな場所にいるのか……とか色々と想像してほしいからです。

── 色々と計算ずくの余白なんですね。

KAZUSA ただ、自分が考えたストーリーと全然違う捉えられ方をしても、それはそれで面白いです。ギャラリーなどでお客さんにそういう感想やお話を聞くことが、次の作品にも生きてきますし。
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「アーティストと直接話せるのが、現代アートの醍醐味」

── 今後、どのような作品を作っていきたいですか。目標はありますか?

KAZUSA 多くの人、特に海外でも作品を見てもらいたいですね。今後、韓国国際アートフェア(KIAF)や ART FAIR TOKYOへの出展が決まっていて、「Anonymous Portraits」シリーズを全て展示する予定です。NY、東京、韓国などで個展の話もいただいています。

また、今はキャンバスに描くのがメインですが、このシリーズを立体にできないかなと試行錯誤もしていますし、ファッションが好きなので、服にペイントすることもやってみたいと思っています。

── 最後に、現代アートのアーティストの作品に興味がある、触れてみたいと考えている人に、その楽しみ方を教えていただけますか。

KAZUSA まずは、気楽にギャラリーに足を運んでみてほしいですね。美術館と違って、ふらっと入れるギャラリーはたくさんありますし、作者が在廊していたら話しかけてみるのもいいかもしれません。中には嫌がる人もいるかもしれませんけど、自分は先ほども言ったように、作品について話をするのは楽しいです。

同じ時代をともに生きているアーティストと話せるのは、現代アートならではの醍醐味じゃないでしょうか。設営とか照明とか、展示の仕方についてギャラリーの人に聞くのもいいと思います。作品の見え方が深まって、より楽しめると思いますよ。

● KAZUSA MATSUYAMA(かずさ・まつやま)

1992年東京生まれ。16歳でイギリスに留学、美術学校等を経て、画家として活動を始める。2016年に帰国。2017年に個展「和」を開催。その後、国内外のギャラリーで作品が展示され、徐々に注目を集める。2020年から、油彩による肖像作品「Anonymous Portraits」(匿名性のある肖像画)シリーズを発表、コレクターから一般の美術愛好家まで、幅広くファンを増やしつつある。今後は、10月の韓国国際アートフェア(KIAF)、2022年東京アートフェアへの出展が決定。ほかにNYも個展が予定されており、ますますの飛躍が期待されている。
Instagram/@kazusamatsuyama

■  WHYNOT. TOKYO

美術家・髙屋永遠が主宰するアートスペース。国内外の現代美術の美術作家、キュレーターや研究者と協働して展示企画、作品販売、作家の活動紹介を行う。美術や関連する領域のワークショップや勉強会なども定期的に開催。

住所/東京都目黒区五本木2-13-2 1F
営業時間/木、金、土、日 13:00〜19:00
定休日/月〜水 (祝日不定休)
お問い合わせ/info@whynot.tokyo
HP/https://whynot.tokyo/

Instagram/@whynot_tokyo

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