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2021.08.02

五郎丸 歩「クヨクヨするより笑っていたい」その精神力の秘密とは?

ラグビーというスポーツの素晴らしさを日本に広めたスーパープレーヤー・五郎丸 歩さんに、アスリート人生で得た不屈の精神の作り方を伺いました。そして、現役引退後の新たなチャレンジとは?

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文/長谷川 剛(TRS) 写真/トヨダリョウ スタイリング/久保コウヘイ ヘアメイク/清水恵美子

日本のスポーツシーンに活気を与えたラガーマンとして、ファン以外にも多くの人に強い印象を残した五郎丸 歩さん。35年のアスリート人生において、ジャパンラグビートップリーグではヤマハ発動機ジュビロの一員としてプレーし、2015年のW杯イングランド大会ではバイスキャプテンを務め、強豪の南アフリカチームを破る快挙を支えた名プレーヤーです。

2020年末に惜しまれつつも現役を引退しましたが、今後の動向になお注目が集まるホットな人物。現在は22年1月に開幕する新リーグに向け、マネジメントサイドからラグビーの新たな可能性を広げる活動を始めているとのこと。

まだまだ飽くなきトライを続ける五郎丸さんに、困難に打ち勝つ秘訣などを伺いました。

大事なのは、心の中を整理しておくこと

── 五郎丸さんの現役時代の活躍において、多くの人が記憶している得点のシーン。ゴールキックの成功率は、実に81.5%(2014年度)という高い成功率を叩き出していましたが、そのために具体的にはどんな取り組みをしていましたか?

五郎丸 キックの練習は日々続けていましたが、特別なメニューを導入していたわけではありません。ただ、キックの時に留意するすべての事柄を整理しておくように心掛けていました。整理が行き届いていないと、急に不安にかられることがあるから。大事な瞬間に精神を乱さないための準備はしっかりしていました。

その取り組みを意識したのは、大学1年生の頃。英国のスタープレーヤーであったジョニー・ウィルキンソンとの出会いがひとつのきっかけです。彼がプロモーションで来日した際に、幸いにも練習に立ち合えたんですけど、彼は1時間もの時間をかけてキック練習をしていたんです。世界的トッププレーヤーでもこんなに練習するんだ!って衝撃を受けました。

── その練習スタイルを五郎丸さんも取り入れた、と。

五郎丸 彼の練習を見て、常に自身の状態を細かくチェックしておくことが、ベストプレーの基礎になると気付かされました。とはいえ、キックの留意点って感覚的な部分が多いので、整理をするのも一筋縄ではありません。そこで文字に起こしながら、具体的に記憶していく方法を採りました。“ボールをセットする際はボールを二回転させてから置く。そして三歩下がって横に二歩ずれる”など……。かなり細かく書き起こす中で、あのルーティンが完成しました。

── 豪快に見えるプレーの中に、そんなに細やかな積み重ねがあったんですね。
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緊張をゼロには出来ないから、自分のルーティンをもつ

── 五郎丸さんがとる忍者のようなルーティン・ポーズは社会現象にもなりました。ラグビーになじみのなかった子どもや年配の人までがマネするニュースも流れていましたね。

五郎丸 そうですね。ただ、あのポーズによってキックが決まるわけではないです(笑)。キッズスクールなどでも子どもたちからルーティンのことをよく聞かれたんですけど、そんな時は「例えば、毎日同じ通学路を通っていたら緊張しないよね。でも、いつもと違うルートを行ったり寄り道したりすると、見慣れない景色に緊張するかもしれないし、事故に遭う確率も上がるかもしれない。それと同じことだよ」と説明していました。

── なるほど。確かに、いつもしていることだったら気張らずにできます。これは私たちの実生活に置き換えてもイメージしやすいです。

五郎丸 つまりは、不安要素を取り除いて平常心を保つ、ということ。成功体験を選び出し正しく行うことで、心の安定は高まります。それから、緊張をネガティブに捉える人が多いんですけど、大舞台では緊張するのが当たり前。だから緊張をゼロにするんじゃなくて、緊張した状況でもいつもと同じことが出来るようにルーティンを作っておくんです。
── 緊張を受け入れるということですね。続いて、チームをまとめ上げるコツについて伺いたいです。五郎丸さんはワールドカップではバイスキャプテンとしてチームを牽引する立場でしたが、目標を綿密に立てるタイプですか?

五郎丸 ひと口に目標と言っても色々な種類がありますよね。僕は目の前にある目標には全力で取り組みますが、いわゆる長期的なプランは立てていません。長期プランは予測不能な事態が起こった場合に、イチから練り直す必要がありますから。

それよりも短期的なプランをひとつずつ確実に積み上げていく方が合理的だと思ってます。短期的なプランは自分でコントロールしやすいし、成果もわかりやすいので楽しんで実践できるので。
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どうせ同じ時間を過ごすなら、クヨクヨするより笑っていたい

── そんな短期プランでも、予定通りコントロールできないこともあると思います。そういったシーンを五郎丸さんはどのように乗り越えてきましたか?

五郎丸 誰もが生まれてから死ぬまでの時間を生きるだけ、という考え方がありますが、僕は“どうせ与えられた時間しか生きられないのなら、ネガティブに考えているヒマなんかない”って思ってます。だから、常にポジティブに進む。たとえ失敗しても、その経験が次のステップの糧となる。ミスもチャレンジしたからこその結果であると前向きにとらえ、乗り越えるようにしているんです。

── そういったポジティブなマインドは、昔から変わらないのでしょうか?
五郎丸 いえ、子どもの頃はどちらかというとネガティブでした(笑)。結構クヨクヨ考え込むことも多かったと思います。でも、外国人選手と一緒に練習するようになって考え方が変わったんです。

ある日、過酷な練習が予定されていて、僕は“きっと死ぬほど辛い思いをするんだろう”って朝からものすごく憂鬱でした。でも、周りの外国人選手たちはあっけらかんとはしゃいでいて。そうしたら、不意に豪雨になって練習自体が中止になったんです。嫌だった練習はせずに済んだけど、同じ時間を僕はふさぎ込んでいて、外国人選手たちは笑って過ごした。そこから、クヨクヨしても損だって思うようになりました。
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マネジメントに携わることは、チャンスでありチャレンジ

──五郎丸さんは今後、チームをマネジメントする立場で活動していくと明言されていますが、なぜそういった進路を選ばれたのでしょう?

五郎丸 確かに、現役引退後に監督やコーチを目指す選手は多いですが、僕は新リーグを軌道に乗せていく方がチャレンジし甲斐があると考えました。新リーグの開幕によって、企業スポーツの側面が強かった社会人ラグビーはプロスポーツへと移行していきます。僕の所属するジュビロも会社名を外したチーム名になりました。

そして、プロスポーツになるためには新たな取り組みが不可欠です。例えばチケット販売ひとつ取っても、収益を出していく道筋を付けることが肝心。マネジメントサイドにはまだたくさんの課題があるんです。

そんなタイミングで、自分の世界観を込めながらリーグを発展させていけることは、大きなチャンスでありチャレンジ。また、自分たちのようなマネジメントサイドで働く人材を増やすことで、ラグビー選手のセカンドキャリアの選択肢にも繋がります。そういった取り組みにも多いにトライしていくつもりです。
── 現役時代から前向きなマインドで挑戦を続ける五郎丸さんですが、それはやはりチャレンジを続けることこそカッコいいと感じるからなのでしょうか?

五郎丸 やはり、何かに向って努力を続けることは素晴らしい生き方だと思っています。僕の周りにもそういう人がたくさんいます。とはいえ、大人としてのカッコよさを語る時には、もうひとつ別のスタイルがあるように思います。それはすべてやるべきチャレンジを終えて、余裕のある振る舞いができること。

チャレンジの真っ只中にいる人は、一生懸命すぎて周囲が見えなくなってしまうことがあります。でも、チャレンジを経た大人の男性は、頑張っている周囲の人たちにも優しい気遣いができるもの。そういったフォローまでキチンとできる人に出会うと、思わずカッコいいと感じますね。

● 五郎丸 歩(ごろうまる・あゆむ)

1986年福岡県福岡市生まれ。3才からラグビーを始め、 高校時代は3年連続で全国高校大会に出場。ポジションはフルバック(FB)、早稲田大学では、1年時よりFBのレギュラーに。その後所属したヤマハ発動機ジュビロでもチームの軸として活躍。2015年にラグビーワールドカップ2015の日本代表に選出。16年シーズンよりオーストラリアのスーパーラグビー所属のレッズに加入。2021年にそのシーズン終了をもって現役引退を表明。現在は新リーグにおいてジュビロをプロ団体として確立させるため、マネジメントの立場からチームを支えている。

五郎丸氏が「パワープレート®」公式ブランドアンバサダーに就任!

効率よく全身のワークアウトが出来るパワープレートは、世界のトップアスリート、セレブリティ、そして医療機関に選ばれている振動型のトレーニングマシン。この度、五郎丸さんが公式アンバサダーとしてパワープレート全製品の価値をイベントやSNSを通じて広めていくことになりました。五郎丸さんによれば「パワープレートはヤマハのトレーニングルームにあり、10年くらい前から活用していました。選手時代は、主にアップやリカバリーで使用していましたが、今回アンバサダー就任で改めて、パワープレートのメカニズムや機能性、それに合わせた活用法を知り、筋力トレーニングやストレッチにも非常に効果があると再確認しました。自分自身のトレーニング時間は選手時代よりも減ってしまうのが現実ですが、そんな時こそパワープレートは独自の振動によって、短時間で効率的にトレーニングを叶えられるのがうれしいです」とのこと。
HP/https://power-plate.co.jp/

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