2017.08.24
倉石一樹が選ぶ「ドライブの鉄板アルバム」13枚【試聴可】
「adidas Originals」のコラボで有名なデザイナーの倉石一樹さんのドライブ&ミュージックとは?!
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インタビュー・文/栗原 聰(音楽ジャーナリスト) special thanks/Apple Music
最近では イタリアのスポーツ・ブランド「Kappa」とのコラボレーション「A.FOUR LABS meets POSH ISOLATION for KAPPA」も手がける氏のドライブ&ミュージックとは?
普段はクルマにあまり乗らないという倉石さんの愛車はスバル。その理由は?
「ロングドライブするときといえば、スノーボードに行くときですね。新潟へはよく自分で4時間ぐらい運転しています。そういうときにはスバルは丁度いいんですよね。音楽ももちろんドライブ用に用意しますよ」
趣味のスノーボードは、バックカントリーを楽しんでいるという本格派。
「スキー場では滑らないんです。知り合いが雪上車でスノーボーダーを山頂まで連れていく、CATツアーをやっているんですよ。その彼はプロのスノーボーダーなんですけどね(笑)。それが楽しくて、いまは毎年そればかりです」
原宿界隈の人たちに密かに流行っているというCATツアー。
その醍醐味は、一度味わったら病みつきなのだそう。
そんな倉石さんのドライブミュージックはブリティッシュロックが中心なのだそうですが、同乗する人によってはいろいろ考えないといけない場面も?!
「ミュージシャンの友達もまあまあ多いので、そういう人たちをクルマに乗せるときはちょっと気を遣います(笑)。友人ですか? 例えばストーン・ローゼズのイアン(・ブラウン)とか。彼は音楽の好き嫌いもはっきりしているし、ミュージシャンによっては仲がいいとか悪いとかもあるので(笑)」
イアン・ブラウンとドライブとは、さすがの人脈です!
どんなきっかけで知り合ったのか、気になるところですが……
そう、倉石さんはジェイムズ・ラヴェルとのコラボワークでも有名なのでした。
A BATHING APE®で働いていたころ、Mo’ Wax時代のジェイムズと『A BATHING APE® × UNKLE』という名義で数々のプロダクツを生み出しています。
というわけで、好きなのは、もちろんストーン・ローゼス。
特にマンチェスター勢は好きなバンドが多いそうです。
「だいたい好きですよ。ニュー・オーダー、ジョイ・ディヴィジョンも好きですし、スミスも好きだし、オアシスも好きだし。ほかにも有名にはならなかったけど、いいバンドをイアンとかマンチェスターの人が教えてくれたんですよね。ストックホルム・モンスターズっていう人たちとか、今回も選曲に入れてます」
「スノボに行くとなると出発するのが早朝か深夜だったりするので、最初はあんまりテンション高いのは聴かなかったりしますね。シガー・ロスとか、キース・ジャレットとか、あとはインストのノイ! とか、わりと静かめなのから始まる感じです。それで、眠くなってくるとストーン・ローゼスとかオアシスとか歌えるようなものにしたり(笑)で、最後にもうちょっとポップなリバティーンズとかストロークスとかを聴いてテンションを上げていく感じです(笑)」
最後に夏場のドライブは?と聞いてみると。
「たまにフジロックに行くくらいかな(笑)」
ロングドライブの鉄板アルバム13枚
1971年にドイツで結成されたロック・プロジェクト。パンクやニュー・ウェイブ、エレクトロ周辺など、後のアーティストに大きな影響を与えた。
「ドライブだから「Drive (Grundfunken)」がいいのかな、と(笑)。これはタイトルも合ってたんで。ほとんどインストなので、朝にかけていけますね。ORANGE RANGEのNAOTOとバンドをやってるんですけど、インストのバンドをやろうとなって、ノイ!みたいなバンドがいいんじゃないかな、と。2人とも好きだったバンドなので、こういうのがいいんじゃない? と2人でやり出したんですよね」
ロンドン出身のロック・バンド。2002年のファースト・アルバムは「リバティーンズ宣言」、続くセカンド・アルバムには「リバティーンズ革命」なる邦題が付いていた。
「これもギター感が好きで。作られたバンドって言われてたんですよね。みんな知らない人たちが集まって。でも、すごくいいと思う。ミック・ジョーンズがプロデュースしてたんで、クラッシュっぽさもあって、僕はずっと好きでした。ファースト・アルバム(『Up The Bracket』)が一番良かったかな。ドライブでも合いそうな、こういうちょっとポップな感じで……だいたいリバティーンズってくるとストロークスを思い出します。僕のリストも、このリバティーンズがくると次はストロークスですね」
ニューヨークをベースに活動するロック・バンド。当時のガレージ・ロック・リバイバルの代表格でもある。2013年に発表された5枚目にあたるアルバム。
「ストロークスもファースト・アルバム『Is This It』から好きでした。ファーストが出たころがA BATHING APEで働いていたときで、事務所でよく聴いてましたね。イギリスじゃないバンドですごくよく聴いてたのがストロークスだったんですよ。あと、ストロークスもリバティーンズも両方解散というか、休止してて、リバティーンズのピート・ドハーティはベイビーシャンブルズを始めて、これはこれで好きだったんです」
リバティーンズのピート・ドハーティが率いるロック・バンド。プロデューサーにスティーヴン・ストリートを迎え、2007年に発表されたセカンド・アルバム。
「ピート・ドハーティはソロも好きだったし、ベイビーシャンブルズも好きでしたね。よくわかんないですけど、このアルバムのどっかの曲にイアンが関わってるみたいで、クレジットされてました。けっこうアルバムを出してますけど、この2007年のアルバムが好きですね」
「Sandinista!」The Clash
「クラッシュはNEIGHBORHOODのシンちゃん(滝沢伸介)がよく聴いていた印象がありますね。で、イアンと知り合ってからも、イアンもすごい好きだったんですよね。僕がクラッシュの何か好きだって言ったら、7インチのを探してくれて、買って送ってくれたんですよ。ふつうのシングルなんですけど、ちょっと古かったんですよね。何だったっけな?……「This Is Radio Clash」かな。これのシングルを探して送ってくれたんですね」
「Love In The Time Of Recession」The Durutti Column
「マンチェスターのファクトリー所属のものは一通り聴いてたんで、ドゥルッティ・コラムはそのなかでも特に。何か流しておけるのが多いので、わりとドライブじゃなくとも聴ける、万能なタイプですね。これはちょっと新しいやつで、トニー・ウィルソン(ファクトリー創設者)が死んだときに作った曲(“In Memory Of Anthony”)で、いいなと思って、よく聴いてますよ。すごく悲しい。歌ってるんですよね。これは好きでよく聴いてます」
ジョイ・ディヴィジョンを経て、1981年に活動をスタートさせたマンチェスターのロック/テクノ・バンド。シングルを集めたベスト・アルバム。
「ベスト盤です。クルマでかけることも多いですね。僕の友達にも好きな人が多いです。「Blue Monday」とか「Ceremony」とか、古いのもいいですよね。僕はジョイ・ディヴィジョンよりもニュー・オーダーを聴いてますね。(ジョイ・ディヴィジョンは)暗いんで(笑)。わりとポップな方が運転するときはいいのかなと」
80年代に活動したマンチェスターのロック・バンド。オリジナルはファクトリーから1984年にリリース。ニュー・オーダーのメンバーがプロデュースに参加していた。
「ハッピー・マンデーズみたいなんですけど、ハッピー・マンデーズほどは売れなかったんですよね。すごい好きで。イギリスの友達がハッピー・マンデーズとかが好きだったら、これもたぶん好きだよって。その人、アディダスの人で、一緒にマンチェスターのハシエンダに行った思い出があります」
マンチェスターという地名を有名にしたロック・バンドが、1989年にリリースしたファースト・アルバム。来日公演も記憶に新しい。
「ローゼスを入れましょう。やっぱりこのファースト・アルバムが一番いいと思いますよ。ローゼスは僕はほんと一番好きです。クルマのなかでも一番聴いています。ローゼスがくると、次はオアシスを思い出しますね」
ギターのノエルとヴォーカルのリアムのギャラガー兄弟を中心に結成。1995年に発表したセカンド・アルバムからも多くのシングル・ヒットが生まれた。
「ほんとコピーじゃないけど(笑)、ローゼスの真似してますからねバンドの姿勢。でも、それもリアムとかすごい好きだって公言して真似してるから、いいなと思います。曲自体はそこまで影響を受けてなさそうだし。このセカンド・アルバムが一番好きですね」
デーモン・アルバーン、グレアム・コクソン、アレックス・ジェイムズ、デイヴ・ロウントゥリーによって1991年にデビュー。『13』は1999年に発表された6枚目のアルバム。
「「Coffee & TV」が入ってるのはこれかな……『13』が意外と好きなんですよ。これが出たときにフジロックに来てて、僕も観たんですけど、グリーンステージでやっていてすごく良かったですね」
ブラーのデーモン・アルバーンのソロ・アルバム。ブラーの作品の他、ソロ作品の他にもゴリラズをはじめ、さまざまなプロジェクトを手掛けている。
「うん、デーモンが好きですね。デーモンのソロ・アルバムもすごい良かったですよ。僕はフランク・オーシャンとかあまり聴かないんですけど、フランク・オーシャンっぽい気がするんですよね。意外と好きですね。オアシスよりもブラー派でしたから」
アルゼンチン・ブエノスアイレス出身のアーティスト。レイ・ハラカミや高橋幸宏、原田郁子(クラムボン)、相対性理論ら、日本のアーティストとも多く共演している。
「最後に最近聴いてるので入れておくと……なんか流しておけばいい気分という一枚です。運転するときは、あんまり邪魔にならないのか、歌えるようなポップなものが好きなんだと思います。わりと淡々としてる方が馴染みますね。ちょっとメロディーがあるやつとか、ですね」