2017.08.30
人気モデルSENが、メルセデスAMG SL63で首都高クルーズに出かけたら!?
雑誌、国内外のコレクション、CMなどで大活躍中のモデルSENさん。実は大のクルマ好きでも知られています。そんなSENさんとメルセデスの伝統を受け継ぐラグジュアリースポーツ、SL 63でドライブへ出かけました。
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写真/金田亮 取材・文/編集部
そんなSENくんとメルセデスAMG SL 63の試乗にでかけました。
若者のクルマ離れがなにかと話題の今、現在29歳のSENくんは何を感じるのか?
「オープンカーは街で乗りたい」
今回試乗して貰うのがメルセデスAMG SL63だと告げると、SENくんからそんな提案が。
GTの登場と、モデルライフの長さから最近ではあまり話題になっていなかったSLですが、あのガルウィングの300 SLを始祖とする伝統のモデルであり、メルセデス・ベンツを代表するラグジュアリースポーツです。
自然のなかのワインディングではなく、都会のなかを走りたいという、その理由を尋ねると。
「もちろん自然のなかで走らせるオープンは気持ちいいんですけど、オープンの魅力は街中でこそよくわかると思うんです。屋根がなくなると、いつもの街が違う街のように見えるでしょ。それってオープンじゃないと絶対味わえないじゃないですか」
写真やムービーの制作もこなすアーティステイックな一面も持つSENくんらしい視点。
そんなわけで、首都高クルーズに。
「ラグジュアリーなクルマはどう乗っていいか考えてしまいます(笑)」
つまり、ドライビングのダイナミズムを楽しめるクルマばかりを選んできたわけです。
そんなSENくんに、出自はライトウェイトスポーツながら、三代目以降ラグジュアリースポーツへと変貌を遂げ、その地位を不動のものとしているSLに乗って貰おうと思ったのは、ミレニアル世代のクルマ好きにラグジュアリーという価値がどう映るのか? に興味があったから。
当日、SLに対面したSENくんは開口一番。
「改めて見てみるとやっぱり格好いいですね。僕が乗っているとちょっとチャラいかもしれないですけど(笑)こういうラグジュアリーなクルマはどんな風に乗っていいのかちょっと考えちゃいます(笑)」
そう言いながらもボディの隅々をチェックするSENくん。
電動で開閉するハードトップを備えたSLは、クローズ状態ではだれもオープンモデルとはわからない流麗なフォルム。
現在のSLは6代目で、2011年末の発表(日本では2012年発売)。デザインとしては開発期間も考慮するとそれなりに時間を経たモデルながら、いまなお存在感と色気があり、ラグジュアリーなオーラを醸し出しているところは、さすがです。
「こういうクルマが似合うようになるのはいつなんでしょうね(笑)」
「クルマ好きは父譲りなんです」
首都高に入るまではコンフォートモードで走っていたので、AMGということをすっかり忘れていましたが、湾岸線の手前で試しにS+モードに入れてみると……、一瞬にして足は固まり、シフトプログラムも高回転型に。
このSL63はいわゆるカリカリのグレードではなく、上にはSL65というモンスターが控えています。といってもAMG開発の5.5リッターV8ツインターボエンジンは585PS、91.8kg・mのトルクをひねり出すから、相当なもの。
「サスペンションは結構ハードになりますね。でも、いやな堅さじゃないです。普通に走らせていると分からないけど、このモードで踏むとすごいエンジンを積んでいるんだな、って分かりますね(笑)」
趣味でカートもしていて、サーキットの走行経験もあるSENくん、ハイパフォーマンス車はお手の物といったところでしょうか。それにしても、イマドキの若者、といっては失礼ながら若い人でこれだけのクルマ好きは正直珍しいと思い、そのまま伝えると、こんなエピソードが。
そんなSENくんは、いまでも父親とバイクでツーリングに出かけたりもするそう。
クルマは文化である、と欧州ではよく言われますが、SENくん親子の話を聞いていると、そんな言葉がすごく身近に、そしてリアルに感じられます。
海ほたるに立ち寄ると、SENくんははじめてだったようで。
「千葉の撮影の帰りとかに通過しているだけで、ちゃんと見てまわるのは初めてです。先端(東京向き)の景色は気持ちいいですね」
東京湾の向こう側ではそろそろビルの明かりが瞬きはじめる頃合いに。
「280SLが実は気になっていました」
さすがはモデルのSENくん、絵になります。
「いや、でもやっぱり似合わないと思います僕には(笑)一瞬ですが、いわゆる高級といわれるSUVに乗っていたことがあるんです。でも、すぐに違うと思って手放したんですよね。そのときにまわりの意見が二分したんですよ。「えーもったいない!」という声と、「うん、似合ってなかったよ」っていう友人とがいて(笑)」
そんなSENくんの現在の愛車はスポーティな小型車。
もうかなり乗っているそうです。
「乗り換えるタイミングがよくわからないんですよ。どのクルマもすごくいいな、と思って乗っているので。でも、30代になったらもっと気軽にクルマと付き合ってみたいとも思うんですよね。車検も待たずに乗り換えるぐらいに」
そんな、SENくんがいま所有したいクルマはなんなのでしょう?
クルマ好き同士でドライブとなると、欲しいクルマ話で出てくる車種はキリがありませんが、280SLと190Eはかなり真剣に考えていたそう。
280SLは1971年から1989年間でなんと18年も作られたSLを象徴するモデル。アメリカンジゴロでリチャード・ギアが乗っていたのも同型の450SLです。
「カッコイイのはもちろんですけど、現実的ですよね。ボディもしっかりしているし、わりと最近のクルマだから壊れないでしょ(笑)」
「クルマは移動の道具。ドライブを目的には走らないです」
首都高を降り、ディナータイムで賑わう表参道に。
夜の街とはいえ、オープンにしたSL63はやはり目立つ様子。
街ゆく人、隣のクルマから視線が集中しています。
これぞラグジュアリースポーツのあるべき姿でしょう。
「印象に残るドライブといえば、数年前にアメリカを横断したんですよね。西海岸からNYへ向かったんですが、空港に着いたらまず安い中古車を買うところからスタートして(笑)」
なんだかBBSの番組『トップギア』のような旅ですが、道中さまざまな発見があったそう。
「そのクルマは途中で壊れちゃって大変だったんですけど(笑)。でも、旅の途中ですごい道と出会ったんですよ。コロラドのユーレイ辺りで偶然通った道が、“一億ロード”と呼ばれている山間のワインディングで、とにかく長くてすごいんです。名前の由来はゴールドラッシュ時に日本円で1億円くらいかけて作ったからだそうです。それともうひとつ、ケンタッキーで走ったドラゴンテイルという道。ここもすごくてコーナーが200以上あるんですよ。途中のとあるコーナーで通り過ぎるクルマやバイクを写真に撮っている人がいて不思議に思ったら、後でその人のサイトにアクセスすると自分のクルマが映っていて、気に入れば購入できるようになっていたんです。それもアメリカっぽいですよね(笑)」
「ドライブにいけば何か新しい発想が生まれるかも、とか思うんですけど、逆になにも得るものがなかったらどうしようってプレッシャーになっちゃうんですよね。だからというわけではないですけど、クルマには目的地があるときにしか乗らないんです。基本は移動の道具ですから。でも友人に会いにいくときや、ゴルフに向かうときにふと新しいことに気づいたり、出会ったりする。だからドライブは好きです」
そう言うSENくんに、今回のドライブの印象を聞くと。
「そうですね。今日走ってみて、次に買うクルマが決まりましたよ! 次はオープンカーに絶対に乗ります!でも、やっぱりSLは僕には似合わないかな(笑)」
クルマをとりまく環境が劇的に変化しつつある今。ミレニアル世代がクルマの何に価値を見いだすのかは、今後のクルマのあり方に大きく影響を及ぼすはず。そういう意味で、SENくんの欲しいクルマのなかに旧車とはいえ、280SLがラインナップしていたことは、意外な発見でした。
最後までラグジュアリーカーの象徴ともいえるSL 63を「自分には似合わない」と言い切ったSENくんですが、それはあくまで若い今の自分には似合わない、ということ。
もしかすると、ミレニアル世代のほうが、より俯瞰した視点でクルマと自分を見ているのかもしれません。
SENくんが次に何に乗るのか? とても気になるところです。
1987年生まれ。オーストラリア・シドニー出身。
モデルとして日本国内の雑誌やショー、広告やCMなど幅広く活躍し、
海外でもパリやニューヨークコレクションに出演した経歴を持つ。
また自ら写真や映像の撮影や制作も行うクリエイターとしても活動する。
インスタグラム:sen_mitsuji_official
BE NATURAL所属:http://www.bnm-jp.com/