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2026.01.10

芸道55周年。70代コンビ、ザ・ぼんちが若手に混じって、今もお笑いのてっぺんを目指す理由とは?

1980年代に日本を席巻した漫才ブームをど真ん中でけん引していたザ・ぼんちが、今また注目を集めています。きっかけは昨年の『THE SECOND~漫才トーナメント』でグランプリファイナルに進出を果たしたこと。若手に負けず今も観客を笑いの渦に巻き込むそのパワーの秘密とは?

CREDIT :

文/牛丸由紀子 写真/土屋崇治 編集/鎌倉ひよこ、森本 泉(Web LEON)

ザ・ぼんち おさむ まさと WebLEON お笑い 吉本


80年代に日本に大旋風を巻き起こした漫才ブーム。それまで寄席でおじいちゃんたちが楽しんでいた漫才が、ゴールデンタイムのTV番組となって全国に放映され、流行りの衣装に身を包んだ漫才師たちがアイドルのように若い子達に追いかけられる。そんな時代をけん引していたのが、漫才コンビ「ザ・ぼんち」だ。2025年に“芸道55年”を迎えながら、今なお賞レースにチャレンジし結果を出し続けている彼らが、いかに現役でいられるのか。その秘密に迫るインタビュー。

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ベテランだからこそ飛び込むアウェイの世界

── 2002年に再結成後もずっと活動を続けていらっしゃいますが、昨年5月に開催された『THE SECOND~漫才トーナメント』でグランプリファイナルに進出を果たしたことを契機に、まさに再ブレイクと言える活躍をされています。お笑い界のレジェンドとも言われるザ・ぼんちが、なぜあえて中堅コンビとともに予選から『THE SECOND』に挑戦しようと思ったのでしょうか?


ザ・ぼんち まさとさん(以下まさと) 今回いきなり若手と一緒のステージにというわけではなく、それまでも全国の若手が出ている劇場にいっては、常に力試しをしていたんです。


ザ・ぼんち おさむさん(以下おさむ) 若手の笑いに興味があったし、お客さんがどんなところで笑うのか、そんなことも敏感に感じ取れるので、事務所にお願いして学園祭にも参加させていただいてました。だから『THE SECOND』も、とにかく試しに出てみようという感じだったんです。

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まさと 最初は2024年の1回だけ出場するつもりだったけど、今回応募する時に、ちょうどおさむさんのおもしろいギャグがあったんです。僕はそれをどうしても若い人に見てもらいたかった。もちろん、当日もちゃんとハマっていましたね!


おさむ 改めてアウェイのところに行くわけですけど、お年寄りやったら僕らのこと知っているから、ある程度笑いも計算できるけど、若い方はどんな笑いが起きるのだろうと思ってね。僕は理屈抜きで猪突猛進だから、とにかくぶつかるだけ。訳も分からんロケットが爆発して、バ──ンと飛んでいく感じなので、軌道はどこに行くかもうわからない(笑)。それでええと思っています。

── それでも、80年代の漫才ブームをけん引したザ・ぼんちは昨年芸道55周年。まさかお笑いの世界で確固たる立場を築いた大御所が、賞レースに参加するのは驚きでした。


まさと 立場なんてないですよ。ベテランがおさまってる場合やないと思うんです。ベテランだって、若い人の漫才見て勉強せなあかん。僕は若い人みたいにしゃべくるのは上手じゃないけど、僕らは僕らの戦い方でぶつかっていけばええんじゃないかと。


この仕事、ただ頭の中で考えていてもわかんないんです。実際に舞台上がって、お客さんの反応見てやっとわかる。だからチャレンジすることが大事。チャレンジせんかったら、何も傷つかないですけど、進歩はないんです。

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50歳からのスタート、過去を超えた“ザ・ぼんち第二章”へ

── チャレンジといえばおふたりにとってこれまで最大のチャレンジは、50歳の時の再結成だったのではないかと思います。一般的な企業で言えば、50歳といえばがむしゃらに突っ走ってきた時代が過ぎ、仕事上の立場も確立している頃。あえて新たなステップを踏み出す不安もあるでしょうし、しかもおふたりの場合はブームが去って大成功の後の凋落を自分たちも世間も熟知している中での再挑戦です。どんな思いがあったのでしょうか?


まさと やっぱり年齢もありますし、ふたりとも非常に重い決断だったと思います。僕もザ・ぼんちを解散後、別のコンビを結成しましたが、そのコンビを解散した時には、漫才は卒業という気持ちになってましたから。でも、とにかくチャレンジしようという気持ちが強かったんです。


おさむ 最初はめちゃくちゃ不安でしたよ。他の仕事もしていましたけど、漫才をやるなら他の仕事も辞めて打ち込まないと絶対無理だと思いましたし。でも結局、漫才が好きなんです。決断して漫才1本に絞ったから、今の結果に繋がっているんやないかと思います。

まさと もちろん再結成しても、正直5~6年はやっぱりうまいこといけへんかったんです。でもここでやめてもうたら、今まで頑張ってきたことまで全部壊れてしまう。壊したくなかったら、ここでひと踏ん張りして頑張らんと絶対あかんという気持ちになったんです。そうやって頑張って続けてきたら、不思議なことに60歳ぐらいからは前とは全然違う“おっさんの漫才 ザ・ぼんち”ができてきたんです。

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── それはあの漫才ブーム時代のザ・ぼんちとはまったく違うものに?


まさと 別もんですね。もうまったく別の人たちだと思ってください。


おさむ その通り。僕は昔のぼんちより、今のぼんちの方が好きなんですよ。昔の漫才見るとおもろない(笑)。 でも今の自分の漫才を見ると、自分で自分を大笑いしてしまう。それを見た嫁さんからは『そんなに自分を笑って、頭おかしいんちゃうか』とよく言われるんですけど……(笑)。でもそれほど今の方がおもろいんです。


まさと 昔のプライドが……なんて言う人もいますが、やっぱり今が大事。昔があるからと偉そうにしてたらダメですし、過去の話はもうやめてほしいくらい。それより、今が面白いですねって言われたいんです。

── 地道に続けてきたからこそ、まったく違う今があるということですね。


まさと 50歳でコンビ復活して、22年間しんどい時はありましたけども、ここでしんどいは言えないだろうという気持ちでやってきた。どこまで踏ん張るかだと思っています。そういう意味では『THE SECOND』に出て、今やっといい風が吹いてきたと思っています。

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おさむ うん、いい風吹いてますよ。目の前のお客様の中には、嫌なことがあったり悩んでいたりしている方もいるかもしれない。でも僕たちの漫才を見て『なんか知らんけど、嫌なこと忘れた』と一瞬だけでもいいから思ってくれればうれしい。それだけで幸せなんです。その基本を積み重ねてきたのが今やと思います。


おさむ でも今こうやって話していたって、3年後どうなるかはわからない。それが芸の世界ですからね。でもがんばっていれば、またてっぺんに行けることだってある。思ったようにならんことを、自分でなんとか打ち砕いて登っていく。だから人生面白いんですよ。


後編(こちら)に続く。

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▲ ぼんちおさむ(左)と里見まさと(右)。

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ザ・ぼんち

1972年に高校の同級生であるぼんちおさむと里見まさとでコンビ結成。緻密に練り上げられたテンポの良い掛け合いとギャグを交えた漫才で爆発的な人気を得て1980年代に巻き起こった漫才ブームの原動力となった。一方、親しみのあるキャラクターと歌や芝居もこなす多芸さで、ドラマやバラエティなど、芸人の枠を超えた活躍を見せる。コンビで出したシングル曲「恋のぼんちシート」は80万枚の大ヒットとなり、漫才師として初の武道館ライブを開催。その後、長期のコンビ休止期間を経てともに50歳の時に活動を再開。ベテラン然とするを良しとせず、チャレンジし続けることを信条に若手と同じ舞台に立つことは勿論、学園祭に出演するなど時代と真正面から向き合っている。チャレンジの一環として挑んだコンビ結成16年以上の漫才師による大会『THE SECOND 〜漫才トーナメント〜』にも出場、2025年グランプリファイナルのステージにおいて全盛期さながらの勢い溢れる漫才を披露、圧倒的な存在感で会場を大いに沸かせた。2025年には東京と大阪で「ザ・ぼんち芸道55周年記念単独ライブ~漫才はとまらないッ~」を開催。2026年1月30日には里見まさとが今までの漫才人生を振り返り出会った人々・思いをつづった書籍『漫才の一滴~笑吉が教えてくれた「念、縁、運」』(発行/ヨシモトブックス、発売/ワニブックス、税込1800円)を発売。

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