2025.09.20
筧 美和子インタビュー。「自分のダメダメなところも愛して、それでも日々アップデイトしながら生きていきたい」
『オオムタアツシの青春』(9月26日公開)で、映画初主演をつとめた筧 美和子さん。約1カ月にわたる福岡・大牟田でのロケのエピソードや、年齢を重ねてきたからこそわかる大人のカッコよさについてお話を伺いました。
- CREDIT :
文/池山章子 写真/大靏円(昭和基地 ¥50) スタイリング/小松千鶴 ヘアメイク/中山友恵 編集/鎌倉ひよこ

約1カ月滞在で大牟田のおいしい豚骨ラーメン制覇⁉
筧 美和子さん(以下、筧) そうですね。その時はプライベートでメキシコへ旅行に行ってすぐの取材だったんですが、銀座で美味しいメキシコ料理をたくさん食べました(笑)。
── 筧さんは旅行をするのが好きだそうで、今回の映画『オオムタアツシの青春』では、舞台になった福岡県大牟田市に1カ月ほど滞在しながら撮影したそうですね。旅行とは違いますが、それだけ滞在していると、かなり大牟田の町の雰囲気を感じることができたんじゃないでしょうか。

── 滞在の間、美味しいものを色々食べられましたか?
筧 大牟田は豚骨ラーメンが名物みたいで、みなさん口を揃えて「ラーメン食べたか?」ってすごい気にしてくださって(笑)。「ここにいる間に、大牟田のおいしい豚骨ラーメンを制覇してほしい」 みたいな感じでした。
── 制覇!? そんなにたくさんあるのですね。
筧 町の人たちにとって、豚骨ラーメンは、臭みが強ければ強いほど濃くていいって感じらしいんですけど、 段階を踏んで、どんどん臭みの強いお店にチャレンジしていくというのを町の方のサポートを受けながらやってましたね。
筧 そうなんです。今回の撮影では、まだ一番トップのところだけ行けていないので、映画のPRに行った時にチャレンジしたいなって思っています。

ある時、パッと方言が出てくるようになって
筧 今回は博多弁を話すパティシエという役柄なので、パティシエとしての作業も身につけることと、方言もクリアしないといけないことで、課題がたくさんありました。日常生活の家事をしたり、パティシエの練習をしながら、亜美のセリフをブツブツ言っていたらパッと方言が出てくるようになって。パティシエの仕事や方言に向き合う時間が、亜美という役柄に対する内面的なところの理解も深めてくれた気がします。
── ある時、急に出てきたんですね。
筧 そうなんですよ。今回、共演の林田(麻里)さんが博多弁の方言指導もしてくださって。録音していただいた音声を事前に東京で聞いて、分からないことがあったら林田さんに連絡して聞いたり、現場で直してもらったり……。「カラオケでこの歌を歌いたいから 完璧になるまで練習する」みたいな感覚でした。
コツがつかめてきたら、ちょっとオリジナリティを出すチャレンジをしてみたり。何度もトライ&エラーを繰り返して、自分のものにできたらいいなと思って。難しかったけど、いつの間にか上達していく、その作業がすごく楽しかったです。
── 演じた主人公の亜美は、まっすぐで正義感の強いキャラクター。一方で人にはあまり弱味を見せられない面もあると感じました。筧さんご自身は、自分の性格をどのように分析していますか?

── 亜美を含めてメインの登場人物4人は全然違うキャラクターなのに、どこにでもいるような等身大な感じもありますよね。
筧 そうなんですよ(笑)。最初はものすごくデコボコした4人だなって思いました。年齢も育った環境も全然違う、あまり一緒にいないタイプの人たちが集まって、短い時間かもしれないけど寄り添いあって生きている姿にすごく心が温まります。
誰もがつまずいたり、問題を抱えたりする経験があると思いますが、そんな時に“これからどう生きていくか”。その答えを示しているわけではありませんが、ちょっとしたヒントや励みのメッセージがあるのがこの映画の魅力だなと思います。

筧 いっぱいありすぎて難しいんですけど(笑)、病気を抱えた日菜子が格闘技の試合をするシーンは、 すごく印象的でした。勝負はわかっているんですが、日菜子が長い時間練習していたのを間近で見てきたので、役とリアルが重なってドキュメンタリーを観ているような気持ちで、「ああ、いいものを見せてもらった」と、演技を越えて本当にジーンとしました。
最近買った鬼おろしでさんまの塩焼きを堪能したい
筧 秋に向けて……なんだろう。あ! 最近鬼おろしを買いました。
── 鬼おろしって、大根をザクザクおろすアレですか?
筧 そうです、それそれ(笑)。料理はわりと普段から色々作るのですが、これからの季節、秋の味覚・さんまの塩焼きなどに鬼おろしを合わせたら美味しいだろうなって思って。

筧 難しいですけど、立ち止まらず、アップデイトしていける人かな。この映画に出てくる陣内(孝則)さん演じる静男さんもそうですし、私が演じている亜美もそうですが、自分自身のダメダメなところもきちんと理解して受け入れつつ、それでもちょっとずつ変わろう、変えていこうとし続けている人は カッコいいなと思います。

● 筧 美和子(かけい・みわこ)
1994年3月6日、東京都生まれ。2013年、リアリティ番組『テラスハウス』に出演し注目を浴びる。2014年より5年間、ファッション誌『JJ』の専属モデルを務める。現在は女優として、ドラマ・映画を中心に幅広く活躍。毎週水曜日23:30〜MSBラジオ「アッパレやってまーす!」にレギュラー出演中。
SNS/https://www.instagram.com/miwakokakei

『オオムタアツシの青春』
かつては炭鉱の町として栄え、昭和の風情が残る福岡県大牟田市。夢だった洋菓子店をオープンさせるためこの町にやってきた亜美だったが、共同経営するはずだった友人に見放され、途方に暮れていた。そんなある日、亜美は下校途中の少女・日菜子がケガをしたところに居合わせる。同じく偶然通りかかった青年・司(福山翔大)と初老の男性・静男(陣内孝則)とともに日菜子を病院に連れて行くことに。この出会いをきっかけに亜美は、お店の内装の手伝いを彼らに依頼。順調に進んでいると思われたが、司と静男には、誰にも話していない “ある過去”があった。人生につまずいた大人たちと病気を抱えながらも逞しく生きる少女との偶然の出会いから生まれた、かけがえのない絆の物語。
出演/筧美和子、福山翔太、林田麻里、陣内孝則ほか 配給/フリック 9月26日(金)公開
公式HP/https://omuta-atsushi.com
Ⓒ2025「オオムタアツシの青春」製作委員会