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2023.08.23

ゴスペラーズ「前のめりに音を作る若手アーティストに、厳しく追い込まれました」【前編】

移り変わる音楽シーンの中で、確固たる存在感を有するゴスペラーズ。彼らが今回、発表したのは、新鋭のアーティストから楽曲提供を受けたEPです。メジャーデビュー29年目、ベテランの彼らが、今、あえて若手と組んだ理由とは。また彼らが今後、目指していく場所とは。

CREDIT :

写真/トヨダリョウ 編集・文/アキヤマケイコ

ゴスペラーズ
▲ (左から)村上てつや(1971年生まれ)、安岡 優(1974年生まれ)、北山陽一(1974年生まれ)、黒沢 薫(1971年生まれ)、酒井雄二(1972年生まれ)。
8月23日、新曲5曲を収録したEP『HERE & NOW』をリリースしたゴスペラーズ。これまで、多くのアーティストに楽曲提供してきた彼らですが、今回は、逆に、若手のアーティストたちから楽曲提供を受けました。若手世代とゴスペラーズの間には、どんな化学反応が生まれたのでしょうか。

また、大学のアカペラサークルの仲間同士でデビューした彼らも、今やメンバー全員、アラフィフの“オヤジさん”に。その濃密な人間関係を維持する秘訣、年齢を重ねてもステージで高度なパフォーマンスをするために意識していること、また新しい音楽シーンについて感じていることなども伺いました。
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限界ギリギリまでやる。その若者らしさに刺激を受けました

ゴスペラーズ 村上てつや
▲ 村上てつや
── まずEPのお話ですが、今回は全曲、若い方々からの提供なんですね。
黒沢 薫(以下 黒沢) 僕たちと縁があったり、以前から注目していて一緒にやりたいと思っていたアーティストに依頼しました。前回アルバム『The Gospellers Works 2』は僕たちが他のアーティストに提供した楽曲のセルフカバー集だったので、それと対になる形です。この5曲、本当にバラエティに富んだ仕上がりになりましたね。

北山陽一(以下 北山) 例えば、ヒューマンビートボクサーグループ・SARUKANIの「XvoiceZ feat.SARUKANI」は、アカペラとビートボックス、口から出す音だけで、ここまでできるんだ、と感じてもらえる曲です。僕らはずっと、アカペラの可能性をどこまで広げられるか追求してきたところがあるんですが、その可能性を本当に遠くへ先へと飛ばしてくれた。

村上てつや(以下 村上) 楽曲提供が初めてだったという彼らは、いい意味で野心的で前のめり。セッション中も、常にぐるぐる頭を回していて、色々なアイデアを仕掛けてきてくれた。経験が長いと早めに完成図を予想しがちなんですが、僕たちも限界ギリギリまででそれに応えましたね。そのやりとりも含め、刺激的でした。

北山 今回、ご一緒した他のアーティストにも言えることですが、自分の作りたい音への態度がはっきりしている。「この音はこうなんです」と。遠慮や忖度がなくて、そこが逆にやりやすかったです。

黒沢 「Summer Breeze」を提供してくれた浪岡真太郎くんと大島真帆さんがいるバンド、Penthouseも非常に“らしさ”がある。彼らは大学の音楽サークル出身だから、そのやりとりも僕たちに近くて、非常にサークルっぽい。個人個人はハードロック、ブルーアイドソウル、アシッドジャズ……と好みが分かれているけど、「どの音楽もいいよね」ってお互い言い合うような感じですね。でも、そんな個々の好みを通したうえで、最終的にはPenthouseならではの音を作り上げてくるんです。今回の曲も浪岡くんは、厳しめに歌い方やアレンジを指定してきたんですけど、そのとおりにすると、一気にPenthouseのグルーヴになって面白かった。
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若者が皆、“ゴスペラーズの音楽”を理解してくれていました

ゴスペラーズ 酒井雄二
▲ 酒井雄二
安岡 優(以下 安岡) 参加してくれた人たちが、皆、今までのゴスペラーズの曲を本当によく聴いていてくれていて、それぞれ“自分たちが聞きたいゴスペラーズ”の曲を書いてくれたのもうれしかったな。

酒井雄二(以下 酒井) 「Mi Amorcito」のYUUKI SANOくんは、お母さんが僕たちのファンで、彼自身も子供の頃から聴いていてくれていたとか。そんな彼が、このラテンテイストで、ちょっとギラついた曲を作ってくれた。ゴスペラーズって、王道のラブソングだけじゃなくて、男臭くてギラギラした曲も歌っているんです。そこをちゃんと分かってくれているなと。

村上 でも、同じくお母さんが僕たちのファンだったという16歳のボカロP、晴いちばんくんの曲は、メロディアスで、YUUKIくんの曲とは全然、違う雰囲気だったんだよね。

酒井 以前行った「アカペラ楽曲の一般公募」の企画で、最終選考まで残った曲も、今回、改めて収録したのですが、これは“ゴスペラーズのど真ん中”を提供してくれた感じ。僕たちをよく観察して作ってくれたんだなと。
ゴスペラーズ ▲(左から)村上てつや(1971年生まれ)、安岡 優(1974年生まれ)、北山陽一(1974年生まれ)、黒沢 薫(1971年生まれ)、酒井雄二(1972年生まれ)。
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安岡 僕たちのリスナーでもあるクリエイターたちに、ある意味、好き勝手に“ゴスペラーズらしさ”を表現してもらったら、違うテイストの曲が揃った。僕らが今まで、いろいろなジャンルの音楽を、いろいろな形で出してきたことが、きちんと届いていたんだな、と幸せでした。

村上 若い人と組む、というのが今回のコンセプトではあったのですが、若ければいいってわけじゃない。いいものを作っていい刺激を僕たちにくれる人じゃなきゃ困ると思っていた。そうしたら結果的に想像を超えるものが出てきた。ただ、次に僕たちがオリジナル曲を作る時のハードルを上げちゃったなと(笑)。

北山 うれしかったけれど、ちょっとプレッシャーも感じるよね。

── 後編に続きます。 
ゴスペラーズ HERE&NOW

◼️ 『HERE & NOW』

これまで多くのアーティストに楽曲を提供してきたゴスペラーズ。その新作は、彼らとゆかりのある若手アーティストからの楽曲提供で構成された5曲収録EP。ビートボックスクルー兼音楽プロデューサー集団のSARUKANI、6人組ツイン“リード”ヴォーカル・バンドPenthouseなどフレッシュな才能が、「今」のゴスペラーズの魅力を多彩に引き出した1枚となっている。初回限定盤(CD+BD)3000円、通常盤(CD)2000円

ゴスペラーズ

◼️ ゴスペラーズ

北山陽一、黒沢 薫、酒井雄二、村上てつや、安岡 優からなるヴォーカル・グループ。1994年12月21日、シングル「Promise」でメジャーデビュー。以来、「永遠(とわ)に」「ひとり」など数々のヒット曲を世に出すほか、他アーティストへの楽曲提供やプロデュース、ソロなど、さまざまな活動を展開。日本のヴォーカル・グループのパイオニアとして活躍している。9月から31都市33公演の全国ツアー「ゴスペラーズ坂ツアー2023“HERE & NOW”」を開催予定。

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