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2020.03.31

【第4回】RENA(格闘家)

RENA様! どうせ私を極めるなら、死ぬまで極めてくださいませ❤

世のオヤジを代表して作家の樋口毅宏さんが今どきの才能溢れる美人に接近遭遇!その素顔に舌鋒鋭く迫る連載。第4回目のゲストは、女性総合格闘家で、シュートボクサーのRENAさん。愛らしい容姿とは裏腹に、絶対女王の名を欲しいままにしてきた最強の女性なのです。

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写真/中田陽子(maettico)  文/井上真規子 スタイリング/中村剛 ヘアメイク/上田忍 撮影協力/シーザージム浅草

『さらば雑司が谷』『タモリ論』などの著書で知られる作家の樋口毅宏さんが、才能のある美しい女性の魅力を掘り出す新連載対談企画「樋口毅宏の手玉にとられたい!」。

第4回のゲストは、女性総合格闘家で、シュートボクサーのRENAさん。若干16歳にしてプロデビューを果たし、シュートボクシングの女性トーナメントで4度の優勝。その後、大きな怪我、総合格闘技への挑戦など、紆余曲折を経ながらも、絶対女王の名を欲しいままにしてきました。昨年末の「RIZIN」での鮮烈な優勝が記憶に残る人も多いことでしょう。

愛らしい容姿の中に秘められた、芯の強さと燃えたぎる闘志は、どこから生まれてくるのか!? 格闘技を愛してやまない樋口さんが、女王のプライベートに迫ります。

「RENAさんは、僕の中で“こんな女に殺されたい第1位”」(樋口)

樋口毅宏(以下:樋口)
「今日はありがとうございます。RENAさんは、僕の中で“こんな女に殺されたい第1位”なんです。だから、お会いできて本当にうれしいです!!」

RENA   「アハハ!(笑) 第1位とは、ありがとうございます!」

樋口   「今日はRENAさんの熱烈なファンとして色々伺いたいと思います。まずはRENAさんの生い立ちから。4姉妹の末っ子なんですよね。写真を見たら皆さん本当にお美しくて、一体この家族には何が起きているのかと思いました。一番上のお姉さんとはいくつ離れているんでしょう?」

RENA   「よくご存知で(笑)。長女は8歳上ですね」

樋口   「となると、姉妹というより半分親のような存在でもあったのかな。お姉さんとは喧嘩とかしましたか?」
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RENA 「それはもう(笑)。特に、すぐ上の3番目の姉とは本当によく喧嘩しました。でも、一番強いのは長女で、次女も誰も勝てない。姉たちはみんなヤンキーで、ストリートファイター。路上でバリバリ戦ってましたね。私はそんな姉たちに勝つために、格闘技を始めたんです」

樋口 「うおー! なるほど(笑)。朝倉兄弟みたい! ちなみにお姉様たちは現在、何をされていらっしゃるのでしょうか? 格闘技とかやってない!?」

RENA 「3人とも普通の主婦です。上から4人、3人、3人の子供がいて、私には合計11人の甥っ子姪っ子がいます。一番上の甥と12歳しか違わないし、数日前に長女の長男に子供が生まれて、私はついに大叔母になりました(笑)」
樋口 「それはすごい! ああ~、お姉さまたちにも格闘技をやっていただきたかったなぁ……(遠い目)。今からでも遅くないですよ? ファミリー・ツリーがそれだけ多いなら、山本一族やグレイシー一族みたいになってほしいと勝手に思っちゃいます。ワガママですみません! RENAさんは、甥っ子や姪っ子に格闘技を教えたくなりませんか?」

RENA 「確かに姉たちも格闘技をやっていたら、結構いい線いってたと思います(笑)。甥っ子たちは、私がまだ大阪にいた時に5人くらいうちのジムに入ってました。でも東京に出てきてからは、みんなサッカーやってるみたいですけど」

樋口 「そうか〜、今はやっぱりそうなりますよね……(遠い目)。ちなみに、大阪のどちらなんですか?  地元では有名姉妹だったんでしょうね」

RENA 「此花区です。地元では“久保田姉妹の妹”で知られていたので、どこ行っても気にせずスタスタ歩いてました(笑)」

樋口 「やっぱり! それは特権ですね。ところで、お姉様たちに勝つために格闘技を始めたとのことですが、なぜシュートボクシングを選んだのですか?」

RENA 「街空手をやっている友達が多くて、稽古も見に行ったんですが、寸止めや型の練習がメインで、これでは姉には勝てないなと。それで近所に新しくできたシュートボクシングジムの見学に行って、これだ!と。小学生から中学生までのジュニアクラスに入りました」
樋口 「もう、本当に勝ちたかったんだ(笑)。その時、RENAさんは何歳? 練習を見て怖いとは思わなかったですか?」

RENA 「小学校6年生でした。特に怖いと感じたことはなく、自然と入っていけましたね」
樋口 「それからプロまでは、どんな道のりだったのでしょう」

RENA 「学生の頃はサボったり、頑張ったり、の繰り返しでしたね。ただ、元シュートボクシングチャンピオンの先生がいるジムだったので、練習はとても厳しかったです。デビューは16歳です」

樋口 「は、早い! 本当にすごいです。そして、シュートボクシングの女子トーナメント『Girls S-cup』の優勝は17歳ですよね。もう本当にすごいとしか言いようがない!」
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「結局『勝ちたい、楽しい、好き』というところにたどり着く」(RENA)

樋口 「僕は今48歳ですが、若かりし頃、毎週金曜の夜8時に放送されていた『ワールドプロレスリング』を世界最強と本気で信じていました。それから次第に格闘技寄りのものが世に出て、20年前に『PRIDE』が絶頂を迎えて。その『PRIDE』なくなって『RIZIN』が出てきて、いち観客として思うのは、今は男性選手より女性選手の方があらゆる意味で伸びしろがあるなということ」

RENA  「本当ですか?」

樋口 「はい。女性選手の技術レベルは、これからもっと上がっていくと思います。それにファン層も、前は見なかった女性が増えている。そんな『RIZIN』の女子総合格闘技の顔は、今、紛れもなくRENAさんですよね。そのことに、プレッシャーを感じたりしますか?」
RENA 「ありがとうございます。私は『RIZIN』の一発目から出させてもらっているので、背負っているという感覚より、一緒に成長してきた感覚が強いんです。だから結構楽しくやってますね。女子選手も増えてきて、選手層も厚くなってきて、このままこの波が止まらないように大きな波にしていきたいなと」

樋口 「RENAさんにかかってますよ、本当に!」
RENA 「アハハ(笑)。ありがとうございます」

樋口 「そして、これまでのストーリーもすごい! 『RIZIN』ができて、RENAさんが出てきて、初代チャンピオンになると思ったら、総合格闘技のルールのなかで、寝技に苦労したり、連敗があったり、怪我もあったり。『RENA、どうなるんだろう?』という中で、2019年年末の勝利があったわけです。 RENAさんの生き様は、自然と大きな物語になっているのをすごく感じました」

RENA 「ありがとうございます(笑)。本当に色々ありましたね……」

樋口 「僕は見る専門ということもあるけれど、殴られたり、怪我したり、骨折したり、格闘家とはいえ、RENAさんもやっぱりつらいんじゃないか?と思うことがあります。どうやってモチベーションを維持しているのでしょう」
RENA 「そりゃ殴られたら痛いし、『なんでこんなしんどいことしてるんだろう?』とか、思うこともあります(笑)。でも結局、『勝ちたい、楽しい、好き』というところにたどり着くんです。勝った時の喜びや、応援してくれる人たちの声がとても大きな原動力になっています。そして10年以上プロをやってきた今は、どこをゴールにするのかというところも……」

樋口 「え…!?(青ざめる)。いやいや! そんな、ゴールしないでください……!」

RENA 「いや、違うんです(笑)。つまり、自分が満足するまでやるということが、今のモチベーションになっているかなと」

樋口 「なるほど……。ちなみに手本にしていたり、憧れていたりする選手っていらっしゃいますか? 」

RENA 「たくさんいるんですけど、誰とかはあまり決めないようにしています。“この人のこの入り方”、“この人のこの情熱”という感じに、その人のすべてではなく、その人の“良いところ”を尊敬するようにしています」

樋口 「それは、なぜでしょうか?」

RENA 「私は私であって、その人にはなれないし、そこに目標を設定したらそれ以上にはなれないなと。それに、いいなと思う人のいいところを真似してたら、私だけの位置に到達できるんじゃないかなと思うんです」
樋口 「すごいですね。勉強になります! RENAさんは、RENAさんで、他の誰でもないですものね……」
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「自分が満足するところがどこなのか、いつなのか、わかってしまったら面白くない」(RENA)

樋口 「でも、ゴールって何になるのでしょう?」

RENA 「それはわからないですね。自分が満足するところがどこなのか、いつなのか、わかってしまったら面白くないですよね。今はまさにそれを探している旅の途中です」

樋口 「山本美憂さんのような先人もいますよ。出産も経験して孫も生まれてもまだ第一線で活躍されている。RENAさんもこれから結婚、出産を経て復帰する可能性も」
 
RENA 「私は多分、戻ってこられないと思いますよ(笑)。そのパワーは多分残ってないですね、わからないですが。お母さんになったら、そのままお母さんのままでいこうと、今は思ってます」
樋口 「えー!!! じゃあ結婚して、お子さん産んだら引退してしまうんですか!?」

RENA 「あ、でも結婚は引退してからしようというのは決めています」

樋口 「そうなんですね……。もちろんRENAさんには幸せになってほしいんですけど、まだまだ試合するところを見たいなぁ……。『RIZIN』だけでなく、日本の女子格闘技界はRENAさんの双肩にかかっているので。ちなみに、もし格闘家になってなかったら、今頃結婚して普通に家庭に収まっていたと思いますか?」

RENA 「全然そうだと思います!」
樋口 「危ないところでした〜。こんな宝が埋もれていたかと思うと……」

RENA 「アハハ!(笑) 人生計画では、25歳で結婚している予定でした。23歳ぐらいからお付き合い始めて、旅行とか行って、25歳で結婚して、26歳で出産というプランで生きてきたんです。でも、気づいたら28歳になってました(笑)」

樋口 「ファンとしては、大幅にその予定は狂って欲しいですね」

RENA 「そうですか(笑)。でも、最近は女性の婚期も少し遅くなってきているから、よかったなって」

樋口 「今は女性の初産も30歳過ぎてからが一般的ですしね。もし子供が生まれたら、格闘技をやらせますか?」
RENA 「子供には物ごころがつくまでにはやらせてみたいです。小さい子が、『えい!えい!』って頑張ってる姿は、めっちゃ可愛いので(笑)。それと、礼儀だけはちゃんとさせたいなというのもありますね」
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「オトコは背中向けて泣いているくらいの方がカッコいい」(RENA)

樋口 「ところでRENAさんは、やっぱり男性には強さを求めますか?」

RENA 「いや〜、全然です。スーパーの帰り道に荷物が重たい時、すっと持ってくれる力強さは欲しいですけどね。どちらかというと、強い人より優しい人がいいです。私が勝手にプンプン怒ったりするタイプなので、相手は『ごめんな』っていってくれる人がいい。私、『ごめんな』に弱いんです(笑)」

樋口 「え! 『ごめんな』でいいんですか?? ごめんで許してもらえるんだったら……」

RENA 「だってそれ以上のことってなくないですか?  『ごめんなって、なんやねん』って思いながら、謝ってくれたしな〜と。まあ、内容にもよりますけどね(笑)」

樋口 「じゃあ、許せないことって何ですか? 恐々聞くんですけど……」
RENA 「わからないけど、浮気とかですかね?(笑)」

樋口 「そりゃそうか。でも、RENAさんと付き合ってたら浮気なんかできない。だって、殺される可能性が。だって寸止めじゃないですから……」

RENA 「いやいや! 殺しはしないですよ(笑)」

樋口 「じゃあ、嫌いな男性のタイプは?」

RENA 「女々しいのは無理ですね……」

樋口 「ああ〜! もうだめだ〜!! 汗がどっと吹き出してきたぁ〜〜!!!」

RENA 「ええっ、女々しいんですか?(笑)」

樋口 「僕はしょっちゅう妻に泣かされているので。一方的に終始マウントを取られっぱなし。でも自分が弱いからこそ、強い女性に憧れるんですよね。俺はやっぱりダメだ~って落ち込んでいる時に、背中をバ~ン!って叩いて励まして欲しいんですよね〜」

RENA 「なるほど~(笑)」
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樋口 「ちなみに弱っちいオトコと付き合ったことってあります?」

RENA 「一回だけ年下の男性とお付き合いしたんですけど、無理でしたね。情けない感じで……。すぐに別れちゃいました」

樋口 「わぁ〜〜〜〜!! 自分が言われているみたい……」

RENA 「ちゃうちゃう(笑)。別れるって言った時も泣かれてしまって。それ、余計無理、みたいな(笑)。それから年下は無理になっちゃって」

樋口 「わ〜でも、そのオトコの気持ちわかるな〜。泣くのは最後の手段なんですよ……」
RENA 「でも、そこは背中向けて泣いている方がカッコいいでしょう!」

樋口 「それは映画の中の男だけです!!  僕は美輪明宏さんの『強い男なんて見たことない、弱い女なんて見たことない』って至言だなって思っているんです」

RENA 「なるほど~。でも、男性が弱いというのはある意味そうだと思いますけど、どこの弱さを出すかですよね。映画とか、ペットの問題とかで泣くのはありですけど、でもしょっちゅう泣くのはNGかな(笑)」

樋口 「ですよね〜。じゃあ、女々しいオトコたちに、こうしたら見直してもらえるって方法を何か教えてください! 」

RENA 「え〜!なんだろう(笑)。たまのゴミ出しとかは?」

樋口 「もちろん毎日やってますよ! 袋も取り換えてますし、なんなら全育児全家事やってます!!」

RENA 「わ~~!! ヤバい(笑)。でもそう言う男女の形もあると思います。じゃあ、さりげなく車道側を歩いてみるとか。あくまでさり気なくです」

樋口 「それも、これ見よがしにやっちゃうんですよね〜! もっと精進できるように、頑張ります! 」
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【対談を終えて】

格闘技が大好きで「RIZIN」がスタートしてから一度も欠かさず観ている身にとって、まさか格闘姫ことRENA様に謁見できる僥倖に恵まれるとは……!  リングを降りたRENA様はあっけらかんと、自然体で、「フツーの女の子」だった。明るく朗らかで、オープンで、ついついこちらもRENA様に失礼な口を聞いてしまった(申し訳ありません)。ところが対談終了後の撮影で、不意にバックを取られると、スリーパーを極められた。「フツーの女の子」がチラッと刃を抜いた瞬間だった。しかしRENA様は手加減をされた。“どうせ私を極めるなら、死ぬまで極めて欲しかった……!”。シーザージムをあとにして、冬の街を彷徨った。それはRENA様の優しさが切ない2月の終わりだった。

● RENA (レーナ)

シュートボクサー、総合格闘家。大阪府出身。1991年生まれ。シーザージム所属。現SB世界女子フライ級王者。小学6年生よりシュートボクシングを始め、07年にプロデビュー。09年に「GirlsS-cup」で初優勝。さらに10年、12年、14年と計4度の優勝を果たす。15年に「RIZIN」で総合格闘技デビュー。19年には、リンジー・ヴァンザントと因縁の対決を果たし、勝利を収めた。
公式Instagram https://www.instagram.com/sb_rena/?hl=ja

● 樋口毅宏 (ひぐち・たけひろ)

1971年、東京都豊島区雑司が谷生まれ。出版社勤務の後、2009年『さらば雑司ケ谷』で作家デビュー。11年『民宿雪国』で第24回山本周五郎賞候補および第2回山田風太郎賞候補、12年『テロルのすべて』で第14回大藪春彦賞候補に。著書に『日本のセックス』『二十五の瞳』『愛される資格』『東京パパ友ラブストーリー』など。妻は弁護士でタレントの三輪記子さん。最新作は月刊『散歩の達人』で連載中の「失われた東京を求めて」をまとめたエッセイ集『大江千里と渡辺美里って結婚するんだとばかり思ってた』
公式twitter https://mobile.twitter.com/byezoushigaya/

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