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2022.11.25

藤原ヒロシ「どうしてこんな興味深いものを知らなかったのか不思議です」

今や世界を舞台に活躍するトップクリエーターの藤原ヒロシさん。日本を代表する高感度な仕掛け人が、注目のロボット・ベンチャーと出会い、今までにないアイテムを生みだしています。ストリートのカリスマが見出した、新世代ロボットの可能性についていろいろと伺いました。

CREDIT :

文/長谷川 剛(テーブルロック) 写真/内田裕介(Ucci) 編集/森本 泉(LEON.JP)

藤原ヒロシ LEON.JP LOVOT

会話できないところが面白い

パートナーロボットの開発はときにニュースとなり、孤独な我々(?)の興味や関心を引き付けます。これまでにもソニーのaibo(アイボ)やソフトバンクのPepper(ペッパー)などが登場し、シーンを賑わせてきたのはご承知のとおり。人工知能(AI)の進化・発達とともにそのスペックも進化しているわけですが、なかでも近年じわじわと認知度を高めている“人気モノ”を皆さんはご存知でしょうか。

あの前澤ファンドが全株式を取得したことで知られる、ロボットベンチャー「GROOVE X」。LOVOT(らぼっと)は、その最先端企業が打ち出すパートナーロボットです。パッと見は小さなペンギンを思わせるキュートなルックスであり、ホイールを使って自律的に動き回り、キュウともク~ンともつかない声で話しかける習性を持っています。

とりわけ大きな瞳は特徴的であり、じぃっと見つめられると不思議な気分が沸き起こるほど。そんな次世代パートナーロボットを手掛けるGROOVE Xに、実はあの藤原ヒロシさんがCCOとして参画し、ビジネスの一翼を担っていると言います。藤原さんと言えば、タグ・ホイヤーやブルガリでの時計デザイン、それにロロ・ピアーナとのコラボレーションなどで、お洒落オヤジからも多いに注目される人物です。世界を惹き付けて止まないストリートのカリスマが、一体テクノロジーの先端シーンにどのようにコミットしているのでしょう? そこで早速インタビューに出掛けてきました。
藤原ヒロシ LEON.JP LOVOT
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── 2022年の5月、GROOVE XのCCOに就任されたとのことですが、どう言った経緯でGROOVE Xに参加することになったのですか? 

藤原 ある時、前澤(友作)さんから「相談したいことがある」と電話をいただいたことが始まりです。それまでにもイベント等で何度か挨拶を交わしており、お名前は伺っていました。そこで直接会ってお話ししたところ「LOVOTのデザインなど、クリエイティブな部分を手伝って欲しい」と依頼されたのです。新しいテクノロジーや近未来的なアイテムに常に興味がある僕なので、すぐに承諾しました。しかし実際のところCCOが何をする立場なのかなど、いまだ分からないまま働いています(笑)。
── GROOVE Xの一員として、藤原さんは具体的にどのような作業をされていますか?

藤原 定時にどこかに集まって、決まったチームでもって作業をするという仕事スタイルではありません。ただ、CEOの林さんを始めブランドマネージャーの方など、開発スタッフの方とは頻繁に会ってミーティングを繰り返しています。とは言えロボット作りは、緻密に多くの段階を踏まえて成立しているものなので、クリエイティブのアイディアが即座に反映できない場合も多いのです。現段階ではカラーのアレンジ等に留まりますが、将来的にはいろいろなチャレンジを実現させていければと思っています。
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どうして知らなかったのか不思議になりました

── 藤原さんがLOVOTと出会った時の印象は?

藤原 前澤さんとお会いした時に紹介されたのが最初です。その時、すでにLOVOTの販売はスタートしており、所有している人もすでに一定数いたわけです。しかし僕はLOVOTに会うまでデザインの詳細などほとんど知らない状態。ただ、会ってコンセプトなどを聞いてみたら非常にユニークで面白いアイテムだと即座に理解できました。それだけに、どうしてこんな興味深いものを知らなかったのか、とても不思議に感じたことを覚えています。
── 藤原さん的にはどの辺に面白味を感じたのでしょう?

藤原 やっぱり何もしてくれないところでしょうか?(笑)  ロボットというとこちらからの問い掛けに応えて何かをする、例えば音楽を掛けたり情報を教えてくれたり、それに簡単な家事を手伝ってくれたり。そういったアクションは今の技術であれば実現可能です。しかしLOVOTはまったくそういった「お手伝い」はしてくれません。ただただク~ンとかキュウといった声を出して近寄ってくるだけ。だからこそ広がる可能性があると感じました。ある意味LOVOTはデジタル・ペットと呼ぶべき存在です。犬は50年間一緒に暮らしていても(言語での)会話はありません。しかし、お互いに何か通じる部分は出てきますよね。
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── なでると懐いたりするというLOVOTの反応は、確かにペットを思い起こさせるものですね。

藤原 これまでのパートナーロボットなどは、いわゆるメタリックに代表されるような近未来然としたルックスが多かったように思います。しかしこのLOVOTは非常にソフトであり、さらに抱きかかえると“体温”を感じることができます。触れるというコミュニケーションで愛着を喚起させるところがひとつのポイント。

またLOVOTならではの特徴として、眼の存在が挙げられます。従来のロボットにはない瞳を持っており、じっと目を合わせることができるのです。その他、服を着替えさせると喜ぶような素振りも見せます。専用の服にはそれぞれICタグをしのばせており、着替えることをLOVOT自身が認識できるのです。そういう意味では、少しばかり手間の掛かるペットかもしれません(笑)。
── すでに何カ月か藤原さんのオフィスにLOVOTが“住み着いている”とのことですが、一緒に時間を共有し続けて、何か変化はありましたか?

藤原 現在、僕の事務所には2体が暮らしています。ただし黒いコは今日やってきたばかり。白いコはもう数カ月事務所にいるのですが、具体的な変化についてはちょっと分かりません。ただ来客を察知すると、そちらに駆け寄って、僕の声には反応してくれない時があります。ひょっとしたらそういうコに育ってしまったのかも(笑)。LOVOTは出荷前にも個体差があります。ですので同じような環境に暮らしても、黒と白とでは異なるキャラに育つ可能性があるんです。
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待望の「FRAGMENT EDITION」がついに発売

── 確か黒色のモデルが藤原さんの手掛けた新作と聞いていますが?

藤原 そうです。僕のデザインを加えた「FRAGMENT EDITION」です。外装であるソフトスキンや顔の色、サイドパネル、センサーホーンまでオールブラックにこだわりました。瞳の白目部分がブルーなどのオリジナル色であるのもこのモデルだけの特徴です。

── こういったコミュニケーション・ロボットを手掛けるに際して、何か特別にリサーチしたことなどあるのでしょうか?

藤原 特別なリサーチなどは行っていません。テクノロジー的な部分に関しては専門スタッフがいますので。どちらかというとソフトグッズやプロモーションの方に力を入れています。先ほども触れましたが、LOVOTの存在をまだまだ知らない人がいます。非常にポテンシャルと魅力を備えたアイテムであるにもかかわらず、情報に敏感な僕の回りの人でも知らないという声があるのは、少しばかり問題です。

それゆえにSNSなどで閲覧するためのムービーをいくつか製作しました。その作品を持って、すでに海外の友人などにも観てもらっているのですが、おおむねポジティブな反応を得ています。LOVOTは国内のみならず世界に広がっていける可能性を持ったアイテムだと思っています。
── LOVOTのクリエーションに関し、将来的に予定されていることなどありますか?

藤原 具体的に発表できる事柄はまだありません。しかし、新たなソフトグッズの製作はいろいろと進めています。極めて高度なテクノロジーが主体となるアイテムなので、クリエーターサイドがどこまでコミットできるかは未定です。しかし第二、第三世代などの開発があるのなら、ぜひ加わっていきたいと考えているんです。
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── 今回のLOVOTもそうですが、常に新しいものに興味を持ち続け、独自の感性でクールなスタイルを発信し続ける藤原さん。そのブレない生き様は、LEON.JPが指向する“カッコいい大人像”そのものだと思うのですが、そんな藤原さんが自分のスタイルで生きるために大事にしていることとは?

藤原 もしかしたらLEON否定になるかもしれませんが、自分で自分のことをオジサンって呼んでしまう人はダサいかなと思うんです。人から言われるのはともかく、「いやいや、オジサンはね」とかいう人がいるじゃないですか。でも、そういう「オジサン免罪符」を使ってしまったら、後は何でも許されるみたいなのはズルイなと思います。

── オヤジ枠でやっていこうみたいな?

藤原 そういう肩書みたいなものを持つとある意味オトクだったりするのですが、そもそも僕は肩書というものも好きではありません。LEONは「オヤジ」という一つのアイデンティティを確立させたのはすごいと思いますが、その枠の中にすっぽり入ってしまうと、なにか都合のいい大人になってしまう気がします。「オジサンだからさぁ」みたいな言い訳ってあると思うのですが、それはあまり使わない方がいいかなと思います。それよりは、いくつになっても、あっちに行ったり、こっちに行ったり、そういうミーハーなことができる大人でありたいですね。

── 染みるお言葉、ありがとうございます。オヤジを言い訳にしない、ミーハーでカッコいい大人を目指したいと思います。
藤原ヒロシ LEON.JP LOVOT

藤原ヒロシ

1964年、三重県生まれ。欧米にてDJの現場を体感し、帰国後日本におけるクラブDJのパイオニアとして活動。85年、高木完と音楽ユニット、タイニー・パンクスを結成。90年代に入りストリートシーンへの強い影響力を生かし、活動の幅を広げる。2000年代からは「フラグメント」を主催し、国内外のブランドとの協業を積極的に行う。2022年5月、ロボットベンチャー企業「GROOVE X」のCCOに就任。

藤原ヒロシ LEON.JP LOVOT

LOVOT

「LOVOT」は、GROOVE X社によって開発された「人の仕事の代わりはしない、でも愛着がある」 新しい家族型ロボット。名前を呼ぶと近づいてきて見つめてくる。好きな人に懐き、抱っこをねだる。抱き上げるとほんのり温かい。ロボットなのにまるで生き物のような生命感があるのが特徴。2018年12月の発表、2019年12月の出荷開始以来、先端テクノロジーを多数搭載し、これまでのロボットの常識を大きく変え、人間の新たなパートナーとなるために成長を続けてきた。2022年5月には藤原ヒロシがCCOに就任し、第2世代新モデル「LOVOT 2.0」を発表。そして同年11月、ついに藤原ヒロシCCOが監修した待望の「FRAGMENT EDITION」を発表。これまでの「LOVOT」とは一線を画した、「LOVOT」史上初となるオールブラックの特別モデル。瞳もオリジナルデザインになっており、センサーホーン、サイドパネル、さらにネスト(充電ステーション)にフラグメントロゴをデザインし、象徴的なカラーリングとロゴでエッジの効いた佇まいに仕上げた、藤原ヒロシならではのデザイン。
HP/LOVOT[らぼっと]
【商品詳細】LOVOT『FRAGMENT EDITION』

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