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2019.07.18

【検証】平成美人とは何だったのか? 安室奈美恵、上戸彩、石原さとみ、そして……

平成が終わってはや数ヶ月。平成美人とはなんだったのかを考えてみました。ほんの30年しかなかった平成ですが、広く世間に支持された、時代を代表する美人とは誰だったのか? マーケティングアナリストの原田曜平さんに話を伺いました。

CREDIT :

文/熊山 准 写真協力/資生堂

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巷では「令和初のホニャララ」が溢れかえり、早くも平成は遠くになりにけり……といった感もありますが、平成半ば(2001年)に創刊し、ずっと女性にモテることだけを考えてきた(?)LEONとして気になるのは「平成美人とは何だったのか?」というテーマ。化粧品メーカーが発表したビューティートレンドの変遷やマーケティングアナリストともに、平成美人を振り返ります。

平成美人には7つの大きな潮流があった!?

細部でご意見は異なりましょうが、60年以上も続いた昭和ですら「昭和美人」といえば吉永小百合や山口百恵といった、誰しも一応は納得する美のアイコンが思いつきます。では「平成美人」と言ったらどなたが浮かぶでしょうか?

わずか30年ながら女性のファッションやメイク、そして人気者が目まぐるしく変わり、好みも細分化されたため、ズバリこの人!と断言するのが難しいのではないでしょう
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事実、資生堂が発表した「平成を彩ったビューティートレンド変遷」では大まかにわけても、<昭和名残のバブルゴージャス>に始まり、<茶髪・細眉・小顔とギャル文化><ブロンズ・囲み目・ギャルファッション><女子力高めの盛りメイク><ゆるふわ癒やし系大人カワイイ女子><抜け感バブルリバイバル><一周まわってフューチャリスティック>と実に7つもの大きな潮流があったとまとめられています。
もちろんそれぞれのトレンドを代表するアイコン──例えばギャル文化なら安室奈美恵、ゆるふわ癒し系なら蒼井優など──は思いつきはするものの、あまりにイメージが正反対すぎたり、多種多様だったりでひと口に「平成美人」とまとめてしまうのは乱暴な気もします。

果たして平成美人とは何だったのか? それは単に見た目だけでなく、時代背景や人々の意識の変化から読み解かなくては理解できないかもしれません。そこで、マーケティングアナリストの原田曜平さんにお話をうかがいました。

強いカッコいい美人から、まったりとした癒し系の美人へ

「まず昭和と平成がどう違ったかというと、大ざっぱですが『昭和は男性の時代』で、『平成は女性の時代』でした。昭和は、戦時中はもちろん戦後の復興も男性が中心になって働いて家族を養い、マイホームやクルマを買った。もちろん日本の場合、財布のひもは女性が握っていますが主に男性の意思が尊重されていて、クルマ・酒・タバコという男性型の商品がすごく市場を伸ばしていました。

しかし平成に入ると、1986年に施行された男女雇用機会均等法が花開き、経済的に自立して男性と対等かそれ以上の立場の女性があらわれた。それと同時にありとあらゆる商品に『女性視点』が盛り込まれていないと売れない時代になったんです」(原田さん。以下同)
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ギャル文化を代表した安室奈美恵。撮影/坂本利幸
折りしもバブル崩壊でだんだんモノが売れなくなっていった平成初期。かつては男性の消費財だったクルマ・酒・タバコなどもニューターゲットとして女性を取り込もうとしたことでもより「女性の時代」の傾向を強めたのだそう。言われてみれば独身女性が一人暮らし用マンションを買う(買わせる)なんていう動きもありました。

「女性が強くなってファッションやメイクにしても男性に媚びず主体的に選ぶ時代。その決定的な転換点が、緒川たまきさんとケリー・チャン、ミシェール・リーの3人が競うようにメイクをするなか、B’zが『メイク魂に火をつけろ』と歌った、資生堂ピエヌの広告でしょう(1997年)。
なんせ真っ黒な口紅までラインナップされていましたからね。とにかく平成最初の10年間、ちょうど1990年代頃はW浅野はじめ強い女性が新鮮だったし、安室奈美恵さんみたいなカッコいい女性が支持を得た」

確かに言われてみれば1990年代はアイドル不遇の時代。自己表現できる女性バンドやシンガーソングライターが隆盛でした。この時期の映像をYouTubeでひもといてみても、いま真面目そうなメイクの芸能人でも、みな一様に茶髪で日焼けしてたりして若干いかついのも印象的。
「でもバブル崩壊の影響で90年代後半から一気に不景気になって、就職氷河期が始まります。一番あおりを食らって悲惨だったのは実は女性で、この頃大学進学率が男女同じになったにもかかわらず多くの女子学生は非正規雇用に流れざるを得なかった。

それもあって女性の方も、勢いがあってたくましい女性像から、少しずつまったりとした丁寧な暮らしや森ガールみたいなスタイルを支持するようになったんだと思います」
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ゆるふわ癒し系(?)の蒼井優。撮影/矢島泰輔

誰もが認める大スターの代りに身近なインフルエンサーが支持される時代

だんだん女性の髪の色が黒に戻って、美白、太眉…とナチュラルになっていったのは読者諸兄もご存知の通り。その後もリーマンショック、東日本大震災と景気の悪い話は続き、現在は就職率だけを見ればいくぶんまともになっておりますが、こうした「頑張りすぎない女性像」は今もなお人気を集めているのだそう。

「その代表例がインフルエンサーですよね。InstagramやYouTubeの中でちょっと人気で、親しみやすい雰囲気で、ファッションやメイクも真似しやすくて……と憧れの対象が『強い女性』から『身近な女性』へと変わってきています。若者に人気のゆうこす(菅本裕子)なんてまさにそう。友だちだから言いますけどごくごく普通の女の子ですよ?」
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平成のCM女王と言われた上戸彩。撮影/佐藤靖彦
つまり誰もが認める大スター不在の時代となったのが平成後期、と原田さん。

「いまは人気者のインフルエンサーがInstagramやYouTubeでお気に入りの洋服やメイクを実演販売しているような時代ですね。でも平成初期は、男性アイドルですがキムタクがドラマで着た服が飛ぶように売れたじゃないですか? あの現象がいまギリギリ通用するのが石原さとみさんだと思うんですけど、それもモデルさんみたいに背が高すぎないから真似しやすいという、インフルエンサー要素があるんですよね」
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インフルエンサー要素もある石原さとみ。撮影/廣瀬靖士
実は、石原さとみはもちろん、平成時代のCM女王ナンバーワンだった上戸彩さんも平成を代表するアイコンかと仮設を立ててはいたのですが、「誰もが認める」と冠がつくとなるとなかなか厳しいものがあるのかもしれません。
「アイドルを見てもモーニング娘。やAKB48など、ひとりのカリスマよりも集団でワイワイやってる方が人気ですし、若者が見るメディアもマス(テレビや雑誌)からソーシャルへと小粒になっています。そうなると誰が平成美人だったかというコンセンサスは導きにくくなりますよね」
その後も議論(?)は続いたもののハッキリと「平成を代表する美人はこの人!」とズバリ決められなかったわけですが、それもこれも「人生のレール」「中流意識」に代表されるように人生のロールモデルのバリエーションが少なかったシンプルな昭和と違い、不況によって多種多様な生き方に各々の人生が枝分かれせざるを得なかった平成を象徴しているのかもしれません。

果たして皆さんにとっての平成美人とは誰でしょうか?

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