2018.11.28
夫婦の危機を回避したギフトとは?
年末のギフトシーズンに下着の話題になるのは、ヨーロッパでは一般的。なかでもフランスでは男女の距離感を計る意味でも、ジュエリーなどの並んで”重要なギフトアイテム”なのですよ。
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文/川原好恵(ランジェリージャーナリスト・ライター)
下着は立派なコミュニケーションツール
まず、現地にて下着の取材をしているのに、なぜ“男女間の刺激”の話になるのか。それは、ヨーロッパのランジェリートップブランドにおいて、下着は男女間のコミュニケーションツールとして捉えられているから。
デザイントレンドやマーケットの話をするのと同時に、多くの場合それを着けるときのシチュエーションやマインドについても語られます。“アムール(愛)”の国、フランスではその傾向がさらに顕著なのです。
その中でも、ひと際目を引く洗練されたソレが並ぶスタンドに入り取材を試みたところ、ハンサムなパリジャンが「これぞウチのイチオシ」と言わんばかりに紹介してくれた人気商品が、これまたハンサムなデザインの小型ローターとリモコン。
そう、これが成熟することを良しとするオトナの文化というものなのですね。
夫婦の危機をクリアした、ガーターベルトの贈り物
さらに、あるランジェリーブランドのエグゼクティブは、今や機能的には必要ないガーターベルトをコレクションに入れる必要性について、こう説きました。
「子供が生まれて育児に追われ、僕達夫婦にもちょっとした倦怠期が訪れたんだ。それを打開しようと思って妻に贈ったのが、ガーターベルト。もちろん、妻は久しぶりの二人水入らずのディナーにそれを着けてきてくれて、その夜で僕達の倦怠期は終り(笑)。だからガーターベルトは必要なんだよ」と。
いくら“アムール(愛)”の国でも、長い時間共に過ごせば、退屈なディナーも倦怠期もやってくるのです。ただ、それを放置せず、ましてや女性の責任などにせず、自らいい感じの“刺激”となる小道具を用意するのが、フランス男がフランス男たる所以。
重要なのは、この“きっかけは男性主導でも結果は女性主導”というプロセス。ここが“刺激的なディナー”の共犯者として女性が共に楽しめるか、オトコのジコマンディナーに付き合わされたと思うかの大きな分かれ道なのです。
実践するにはやや高レベルなテクが必要ではありますが、習得すれば、その先に待っているのはめくるめく二人の甘美な時間。その価値は想像以上ですよ。
川原好恵(ランジェリージャーナリスト・ライター)
文化服装学院卒業。ファッションビルで販売促進、広報、店舗開発を経験した後、フリーランスとして独立。下着通販カタログの商品企画などを経て、現在はランジェリーやビューティを中心に執筆を行う。なかでも、海外のランジェリー市場については定期的に取材を行い、最新情報をリポートしている。