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2018.07.05

ヨーロッパのデキるオトコはなぜ自転車(ロードバイク)に乗るか?

3週間で3500kmを走り抜く。2018年「ツール・ド・フランス」が開幕する。フランス中が熱狂するこの伝統の自転車レースを取材してきた筆者が、自転車(ロードレース)の魅力と、なぜオトコたちがそれに情熱を注ぐのかを解説する。

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文/寺尾真紀 写真/辻啓

サイクリングが、ゴルフに代わるビジネスコミュニケーションツールになりつつある、という記事がファイナンシャルタイムズやエコノミストなどの経済紙に現れて数年になる。

長い期間(ペダル式二輪車が量産されるようになり、庶民の手に届くようになったころからと考えると、おそらく100年近く)欧州での自転車人気を支えてきたのは地方のサイクリング・クラブだったようだが、確かに近年はパリのようなメトロポリス(大都市)でもロードバイク熱が高まっていることを感じる機会が増えつつある。

ロンシャン競馬場やアレックス・サンジェ(バイク・ビルダーのショップ)を起点としたグループライドには、スタートアップの若者から、企業のオーナー、アーティスト、ブルス(パリ証券取引所)界隈の勤め人、一線を退いてのんびり暮らす趣味人などさまざまな顔ぶれが参加し、バイクを並べて数時間~半日をかけての遠乗りを楽しむ。

途中でコーヒー休憩をしたり、ランチをとったり、それがビジネスのツールになりうるかはともかくとして、街でならただすれ違うだけかもしれない人たちとの、価値あるネットワーキングの機会となっていることは間違いなさそうだ。

このような光景はフランスをはじめ欧州の他の都市、例えばロンドンでもアムステルダムでもコペンハーゲンでも、ロードバイクをリンクにして、同じようなシーンが繰り広げられている。
こうして確実に拡大しつつある自転車熱だけれど、そもそもこのロードバイクという乗り物には、いったいどんな男たちが乗っているのか? プロ、アマチュア含めて、数多くのサイクリストたちを見てきたなかで言えることは、多少贔屓目はあるにしても、とてもポジティブで夢見がちな魅力的男性が多いということだ。

自分磨きを続けるストイックなオトコたち

当然のごとく、自転車というこのシンプルな乗り物は、動力は自身の脚以外にない。

だから、プロ選手レベルまで研ぎ澄まされた体でなくても、ロードレーサーたちは自分の体とそれなりに真面目に向き合っている。

それは「パワー・ウェイト・レシオで体重1キログラムあたり5ワットを超えてみたい」という目的だったり「たるんだ体を少し絞りたい」だったり「格好いいロードバイクを乗りこなしたい」だったりと、目標と目的はまったくもってさまざま。ただその姿勢は(例えそれがどのレベルだろうと)、自分を見つめてより良く変わろうとしているということでは大きく変わらない。

ぴったり体にフィットするスパンデックスに身を包み、ロード乗りたちはたゆまず自分磨きを続けている。

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ロードレーサーたちは「ドリーマー」である

そんなストイックさと裏腹に、ロードレーサーたちは「ドリーマー」でもある。

自分の体力だけを頼りに5kgに満たないバイク一台で、数千メートルを超える山の頂きや、何百、何千キロも先の目的地にたどり着こうとする男たちは、その山が険しければ険しいほど、目的地までの困難が大きければ大きいほど、胸がわくわくし、気持ちが奮い立つ種類の人間だ。

だから、彼らと話をしていると、その夢のスケールの大きさに驚かされることも多い。ツール・ド・フランスの勝負の舞台であるアルプスやピレネーで「ガリビエ」や「ツールマレー」などの伝説の山々を走ることを夢見たり、いつかヨーロッパ大陸を自転車で横断してみたい、などと言い出したりする。

こんな風にロマンやアドベンチャーを追い求める男たちに、いったいほかのどこで出会えるだろうか?

自転車は自由な乗り物だから、自由でいられる

一方で、どこか肩の力が抜けた余裕も、ロード乗りたちの魅力のひとつだ。

ロードバイクに乗る男たちに自転車の何を一番愛するかを聞くと、スピード感でもスリルでもなく、「自由」という答えが返ってくることが多い。

ルートやスピードも制限されず、自分のペースで、道が続く限り、どこへでも行くことができるからだろう。もちろん現実的に世の中のすべての約束ごとから解放されるわけではないけれど、自転車には、心を自由にするエクササイズのような側面があるらしい。

それに加えて、その「自由」を自分のものにするには、道のりを楽しむ心の余裕も必要になってくる。効率よく目的地に着くクルマや電車とは違い、自転車の旅には、回り道やトラブルがつきものだからだ。そのせいか、自転車の旅と同じように日々の生活の中でも、ちょっとした紆余曲折や予想外のハプニングさえ軽やかに乗り越えていく頼もしさをロードバイクに乗る男たちには感じるのだ。

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男は皆自転車に乗った方がいい

自転車乗りがモテるのか、モテる男が自転車に乗るのか?

ロードバイクの操作には豪胆さと繊細さの両方が必要だから、やはりみなクルマの運転も抜群にうまい。

何かを切らした時のお遣いのフットワークもいいし(上手にお願いすれば)、もしパンクしたら自転車屋に行かなくても直してくれる。都会ではあまり必要ない能力ではあるけれど、方向感覚がよくて、天気の変化を読むのが得意。ジャケットの後ろがちょこっと長かったり、首の回りにくるりとスカーフを巻いていたり、なかなか気の利いたお洒落なものを着ているけれど、さり気なくて嫌味がない。

それが理由だからか、もしくはそういう男性たちが自転車を嗜好するのかはさておき、結果的にモテるオトコたちには自転車乗りが多い。

で、それを外野で見つめる男性たちが、また自転車に乗るようになり次の輪を作り、冒頭で書いたような大きな流れを作り出しているのではないかと思う。
なかなかレアな、抗いがたい魅力でいっぱいの、ロードバイクに乗る男たち。

夏は彼らの季節だ。なぜなら彼らの憧れのレース、フランスの7月の風物詩「ツール・ド・フランス」がもうすぐ始まるからだ。

ヨーロッパのオトコたちのライフスタイルをちょっと想像しながら、この伝統的な自転車レースを見ていただければ幸いだ。そして自分なりの目的の目標をもって「乗ってみようかな」と思ってもらえたら、なお、うれしい。

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