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2018.07.06

大人のオトコが恋を語る前にぜひ読んでおきたい恋愛本8冊

大人の恋愛観に幅と奥行きを与えてくれるとっておきの書籍を「歌舞伎町ブックセンター」のプロデューサー、草彅洋平さんにセレクトしていただきました。

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文/井上真規子 写真/トヨダリョウ

大人のオトコがモテるのは単にその経験値の高さゆえではありません。むしろ人生には自分の経験だけでは決して得られない妙味があることを知っているからこそ、大人の人生はいぶし銀のように輝くのですね。そしてその経験だけでは得られない人生の智を授けてくれるものこそが読書に他なりません。

というわけで、今回の大人の恋愛特集に因み、“LOVE”をテーマにした本だけを集めて話題の「歌舞伎町ブックセンター」を訪ね、プロデューサー&選書を務める次世代編集者の草彅洋平さんに、大人のオトコとしてぜひ読んでおくべき恋愛本をセレクトしていただきました。

BOOK 01◆「ロリータ」/ウラジーミル・ナボコフ著

オヤジが若い娘に振り回され壊れていく

1955年に出版された、少女に対する性愛を描いた世界的名作。スタンリー・キューブリックが映画化したことでも知られる小説。筆者はロシア革命でアメリカへ亡命した貴族出身の作家、ウラジーミル・ナボコフ(1899-1977)。「ロリータ・コンプレックス」という言葉も生み出しました。
ウラジーミル・ナボコフ著
新潮社刊(新潮文庫) 
定価/本体890円+税
草彅「世界的に知られる文学の名作です。中年のインテリ男性ハンバートが若い娘に心を奪われ、ゲットしたと思ったら、逆に振り回される物語です。ひと言でいえばオヤジが若い娘で破綻していきます。この作品の鍵となる少女という生き物は、今も昔も穢れのない美しく尊いものであり、時には男を狂わせる可能性も秘めた、まさに小悪魔的な存在。中年男性なら尚更、かもしれません。

今の時代に同じことをしたら犯罪ですが、そういう世間的にタブーとされる恋愛にも自由に触れられるのが本の魅力ですよね。もちろん今だって、少女ではないにしろ、年の離れた若い女性を欲するのは男の常。谷崎潤一郎の『痴人の愛』にも通じます」

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文学界で成功した人間もスキャンダルの餌食になる時代

BOOK 02◆「こうしてお前は彼女にフラれる」/ジュノ・ディアス著

著者が「#MeToo」で告発された浮気男の物語

2008年に出版した『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』で、ピューリッツァー賞のフィクション部門を受賞した、マサチューセッツ工科大学教授、ジュノ・ディアス(1968-)による短編恋愛小説集。本書は2013年出版。ディアスは、ピューリッツァー賞受賞後に選考委員も務めるようになるが、今年の5月に「#MeToo」(セクシャルハラスメントや性的暴行の被害体験をSNSで告発する運動)で告発され、退任を余儀なくされました。
ジュノ・ディアス著
新潮社刊
定価/本体1900円+税
草彅「浮気男とたくさんの女性たちの叶わぬ恋を描いた恋愛小説で、日本の文学界からも大絶賛された作品です。内容も面白いですが、なによりピューリッツァー賞の選考委員まで務めるディアスが「#MeToo」で告発されたのにはグッときました。文学界で成功した人間のスキャンダルが表立って批判されるなんて、以前ならありえないことでしたから。

やっぱりいまは、“女性の時代”。女性関係が激しかった吉行淳之介(1924-1994)が、このSNS時代に生きていたらどうなってたんだろうなんてことを考えさせられます。告発されたあとに、もう一度この本を読み直したら、著者の表現の危うさに気付けて面白かったです。皆さんにも彼が渦中にいることを思って読んでいただきたいです」

BOOK 03◆「オーランドー」/ヴァージニア・ウルフ著

女性の豊かな想像力を実感できる小説

イギリスのモダニズムを代表する女流文学作家・ヴァージニア・ウルフ(1822-1941)が描く恋愛小説。36歳の女性にして360歳の両性具有である主人公が、さまざまな相手と恋愛していく半伝記的な物語。1928年出版作品。
ヴァージニア・ウルフ著
筑摩書房刊(ちくま文庫) 
定価/本体800円+税
草彅「両性具有の主人公が、いろんな異性と恋愛していく話。『オーランドー』の世界に触れて思ったのは、女性ってほんとうに想像力が豊かだなってこと。設定もさることながら、300年以上にわたる生涯を描くなんてなかなかブッとんでます。現実では体験できないような幻想的な恋愛の世界を追体験できるのも、小説の醍醐味。恋愛小説を読むならぜひ、手に取ってみてほしい一冊ですね。

ちなみに『オーランドー』は学生の時に可愛い女の子から教えてもらった本で、以来、この作品を読んだことがあるという女性に会うと“趣味がいいなあ……”と感心してしまい弱いです(笑)。1992年にサリー・ポッター監督で映画化されているんですが、この映画(タイトルは『オルランド』)も素晴らしいので、ぜひ!」

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ふと手に取るその本が本人の願望を暗示している!?

BOOK 04◆「愛する人に。」/石井ゆかり著

人気占い師が崇高な言葉で紡ぐ恋愛エッセー

人気占い師が綴る、恋の占いエッセイ。著者は『12星座シリーズ』をはじめとしたヒット作を多数出版する占星術師の石井ゆかりさん。“愛”や“セックス”、“不倫”など、テーマごとに著者の持論やアドバイスが展開されています。
石井ゆかり著
幻冬舎刊
定価/本体1200円+税
草彅「石井さんは当たると評判の占い師。僕の元彼女が石井さんの言葉をすごく信じていて、聞いてみると結構当たっていたので、女性への影響力も含めて、すごいな~って思った人です。いままで占いでたくさんの恋愛相談を受けてきた人だから、恋愛に対するポジティブな考えを確立している。この本はそんな彼女の持論を綴ったエッセイ。

石井さんは、言葉の選び方がすごく上手くて、悩んで頼ってくる人の心のモチベーションや想いを崇高な言葉で高めていくことができる人なんです。このエッセイにも、そんな石井さんの美しい言葉がたくさん登場します。

石井さん好きの彼女と別れて少し経った頃、僕はふと本屋で石井さんの本を手に取っていました(笑)。何気なく手にする本って、その瞬間にその人が欲しているものだったりするから、本選びはある意味、占いみたいなものでもあるんです。面白いですよね」

BOOK 05◆「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」/花田菜々子著

そんな所で本をすすめられた男の気持ちって!?

本のプロフェッショナルである書店員の著者が、出会い系サイトで出会った男たちに本を薦めまくった1年間を記録したドキュメンタリー本。発売1週間で重版がかかるほどの大ヒットを記録。2018年4月出版。
草彅「著者の花田さんは本好きの書店員。ある時、結婚生活が上手くいかなくなって離婚を経験、疲れた毎日を送っている時に、「もっと知らない世界を知りたい」と思い立ち、出会い系サイト「X」に登録するんです。でも本が彼女のベースにあるから、基本セックスしたい男と本談義を繰り広げていくことになる。この本は、70人の男たちと出会ったそんな彼女の1年間の記録です。

出会い系サイトの男性は、結婚目的と言いつつも、エロ目的で来ている人も多いです。花田さんはそれを知りながら、あえて空気を読まずにひたすら本の話をし続けるところが、とても頭が良い感じがして、そしてズルくも感じます(笑)。いろんなタイプの男性が出てきて、それを花田さんがどう見たのかがわかるのも面白いです」

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赤裸々な女性の本音描写に、男性でも共感できる意外性

BOOK 06◆「東京を生きる」/雨宮まみ著

“こじらせ女子の”の赤裸々な本音と心情

自称「AVライター」と名乗った雨宮まみさん(1976-2016)が、自身をモデルにして書いた私小説エッセイ。2011年に出版した『女子をこじらせて』が大ヒット。“こじらせ女子”の生みの親としても知られています。
雨宮まみ著
大和書房刊
定価/本体1400円+税
草彅「雨宮さんはアダルト雑誌の編集者からフリーライターになったのですが、元は夜のお仕事もやっていた人。そんな経験をもとに、女性の自意識や東京での生きづらさなどを綴った本を多数執筆しています。『東京と生きる』は、そんな彼女自身を題材にしたエッセイ小説。

主人公は、東京という都市に憧れて田舎から上京してきたひとりの女性。彼女は、東京という現実に翻弄されて、徐々に無茶苦茶になっていきます。憧れの高級ブランドの服を身に纏っているのに、貧乏な安アパートに住んでいたりする不思議な都市・東京。考えてみればなぜこんな馬鹿げたことをしているんだろうという話を、彼女は冷静に女性目線で切り取っていくんですね。

雨宮さんは、人に言えないような女性の本音や心情をものすごく赤裸々に綴れるんですね。男性が読んでも、あ~そうだよねって共感できる理屈や感情もあったりして、文章もストレートなんです。2016年に40歳の若さで事故死してしまったのが、とても残念ですね」

BOOK 07◆「A子さんの恋人」/近藤聡乃著

で、どっちを選ぶのか?

女性漫画家が描く、お年頃女性の恋愛模様と心情を描いた恋愛漫画。29歳のA子さんは、ニューヨーク在住のA君にプロポーズを受けるも、日本で元彼のA太郎と再開し、ふたりの間で揺れ動く。2015年に1巻が出版され、現在は4巻まで発売中。
近藤聡乃著
KADOKAWA/エンターブレイン刊
定価/本体620円+税
草彅「30歳を目前にした主人公のA子さんが、元彼と今彼(?)の間でひたすら迷う話。物語はA子さんから見た女性目線で描かれているので、女性ってこんな風に考えているんだ、っていうのがわかって面白いです。主人公が自分のことを棚にあげて、全部男のせいにしている感じにも驚いたし、発見でしたね(笑)。男がそういう女性の一面を知って損はないと思います」

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恋愛本はその中に入り込んで純粋に楽しむのが醍醐味

BOOK 08◆「イケメンホストを読み解く6つのキーワード」/関 修著

ホストの哲学に学ぶべきところはたくさんある

明治大学で「美男論」の講義を行う現代思想学者・関修さんが、美男を商売にするホストについて考察した一冊。ネオホストやバトラーなどのキーワードとともに、ホストの歴史と概略を紹介。今回取材した「歌舞伎町ブックセンター」のオーナーでホストの手塚マキさんをはじめ、歌舞伎町で活躍する6人のホストたちに行ったインタビューも掲載。
関 修著
鹿砦社刊
定価/本体600円+税
草彅「関さんはイケメンについて研究している方で、本書ではホストを社会学的に分析してくれています。本の中には、僕がプロデュースしたホストが愛の本を売る書店『歌舞伎町ブックセンター』のオーナー手塚さんも登場しています。僕も彼と知り合ってからこの世界のことを、いろいろ教えてもらいました。

ホストは会話のプロでもあり、愛という夢を売るプロでもあるわけです。僕たちがホストの哲学に学ぶところは、たくさんあるなと思いますね。本書は女性が定義する『イケメン』とは何かを考察しつつ、『隣の嵐くん』などを書いたイケメン研究家がホストを読み解いています。こういう学術本は、なかなかないと思いますよ(笑)」
「恋愛本って何かを学ぶというよりも、読むことで追体験したり、その世界に入り込んで純粋に楽しんでみるのが醍醐味だと思います。若い頃に味わった切ない気持ちやうれしい気持ちが何十年ぶりか急に蘇ってくるだけで、楽しいし、また恋愛したいなって気持ちにさせてくれるかもしれないですよね」と草彅さん。

“ふと手に取る本は、その時、心が欲しているものを占ってくれる”もの。もし気になった本があったら、ぜひ読んでみるべき。自分の思わぬ心情が見えてくるかもしれませんよ。

●草彅洋平(くさなぎ・ようへい)

編集者。クリエイティブ・カンパニー「東京ピストル」の代表取締役。これまでの膨大な読書量や知識、経験をもとに、さまざまなメディア運営や幅広いプロデュース、編集を行う。日本近代文学館にある文学カフェ「BUNDAN COFFEE&BEER」のプロデュース、運営もしている。

歌舞伎町ブックセンター

住所/東京都新宿区歌舞伎町2-28-14
営業時間/11:30-翌5:00
定休日/無休
https://twitter.com/kabukicho_book

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