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2019.03.31

まさかこの俺が!? 人の性的志向は自分で思っているほど確かではない!?

実は人の性的志向は自分が思っているほど確かなものではないのです。ある時、ふと本来の志向に気付いて、同性のオジサンに惚れてしまう、なんてことがアナタの身にも起こるかも!?

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文/紺野美紀

ちょうど1年前に連続ドラマとして放映され、大きな話題を集めてた『おっさんずラブ』。男同士の“予期せぬ”同性愛の物語は主に女性から熱い支持を集め、今年の夏には満を持して映画版も公開されるそうです。しかし我々大人のオトコとしては、あぁ、そんなの流行ってたね、と他人事のように思って……いましたよね。でも、実はアナタも自分の本当のセクシュアリティのあり方に気付いていないだけかもしれませんよ!? というお話です。

ある日突然、同性愛に目覚める!?

ドラマ『おっさんずラブ』を見ていなかったという人へ大まかなストーリーを紹介しましょう。
巨乳好きの33歳、主人公の春田創一(田中圭)に突然モテ期が訪れます。告白してきたのは上司の黒澤武蔵(吉田鋼太郎)とイケメンの後輩、牧凌太(林遣都)。最初はとまどいを隠せない春田ですが、いつしかふたりの真っ直ぐな想いに心惹かれて……。

それまで自分は異性愛者であると認識していた人が、ある日突然同性愛者に目覚めることはあるのでしょうか?
文化人類学者の砂川秀樹さんにお話を伺いました。
「春田も黒澤も同性愛に目覚めた、あるいはゲイになった……というのとは違うと思います。大部分のゲイやレズビアンは、自分の同性に対する思いは“目覚めた”のでも“なった”のでもなく、“気付いた”という表現がいちばんしっくりきます」(砂川さん、以下同)

“気付く”ということは、潜在的に自分の実生活上の性的指向とは別の指向をもっているということです。でも、そんな人はめったにいないと思いますか? 実はそうでもないらしいのです。人の性的指向はそれほど確固たるものではないという調査結果もあるのです。
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柔軟なセクシュアリティ、流動するセクシュアリティとは?

2015年にイギリスで行われたある調査によると、イギリスの若者の約半数は「自分は100%のストレートではない」と回答したといいます。※

この調査は、1940年代にアメリカの性科学者アルフレッド・キンゼーが考えた方法に依るもので、自分のセクシュアリティを0〜6の数値の中から選ぶもの。0が完全にストレート、6が完全にゲイ、1〜5はどちらかだけではない、つまりバイセクシャルということになります。
そしてイギリスの調査では6のゲイを選んだ人が6%、さらに1~5を選択した人も43%いたのです。
「この調査は18歳から24歳を対象にしたもので、時代の変化とともに同性への恋愛感情や性的欲望をもつ自分を認められる人が増えた結果、このような数値が出たんだと思います。

ですが、どの世代にも柔軟なセクシュアリティをもつ人たちはいます。これを“流動的なセクシュアリティ”と表現することもあります。そういった人たちは、同性への思いを抑圧してきたというよりも、それまでに同性との恋愛をイメージすることがなかったために、“異性愛者”として生きてきたといえますね。ドラマのなかの春田はまさにこのタイプのように見えます」
つまり、ゲイ的な資質をもつ人は思いのほか多いということ。
そもそも、古今東西、同性愛はどこにでも存在します。日本でも大昔……、例えば平安時代の仏教界では稚児と呼ばれる少年たちが僧侶の夜の世話をしていましたし、江戸時代には“衆道”や“男色”と呼ばれ、ときには“たしなみ”として武士や町人まで広く愛好されたといわれています。

そういった性向は、その時代の社会情勢や人々の常識などによって、社会の表に現れたり、裏に押しやられたりしてきたといえるでしょう。

「今の世の中では異性愛が当たり前で、結婚して子どもを作ることが当然というのはありますよね。だいぶ緩んできたとはいえ、まだその価値観が強いといえます。すると、やはり自分の思いを抑えこんでしまう人はいます。それは意識的な場合もあるし、無意識の場合もあります。

そもそも恋愛感情とか性的な欲望が強くない人っていますよね。性に対して淡白な人たち。そういう人たちは、たとえ同性に対する思いがあったとしても抑えこみやすいですね。“もしかして…”と思ったとしても、“これは愛情ではなく友情なんだ”と自分を納得させてしまったりします。こういった人たちが歳を重ねて余裕ができた時に、自分の中の色んな感情や思いに気付くということはあるかもしれません」
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性的指向ではなく、指向性別が何なのかを考えてみる

ここで“セクシュアリティ”という言葉について考えてみましょう。“セクシュアリティ”とは、性に関係すること全般を指す言葉。その中で、性的な対象の性別をセクシャルオリエンテーションと言い、英語のニュアンスそのままに“性的指向”と訳されます。しかし、この“性的”という形容が性行為だけをイメージしてしまい、自身の性的指向は異性愛であると頑にアピールする人は少なくありません。
砂川さんは、そうしたことから“性的志向”ではなく“指向性別”という言葉を提唱しています。

「先ほども言ったように、もともと性に対して淡白な人とか、年齢を重ねてセックスへの執着がなくなった人というのは、より“性的指向”と言われることに抵抗感を感じるでしょうね」
春田のように同性から告白されることはなかなかないでしょうが、大人として歳を重ねてた今こそ、自分自身を改めて振り返ってみるのもよいかもしれません。

これまで婚活をしてきたけど思うような人と出会わなかった時、結婚をして子育てがひと段落した時、仕事に追われてふと自分の内面を見つめ直した時、それまで蓋をしていた思いに気付くことがあるかもしれません。

学生時代の部活動で仲間と戯れていたあの時期。体育会系的な男性同士の絆に生まれた感情は友情だったのか、それとも……!?

「ある意味では、友情と恋愛は線引きが出来ないものなんじゃないかと思います。たとえ異性愛者であったとしても、異性に対するのと同じように、あるいはもっと強い感情で同性に惹かれる思いもあるんじゃないでしょうか。それを恋愛とかセックスとは違うものなんだと切り分けていて、気付かないようにしている人って、結構な数がいるように思いますね」

これからの人生を歩むパートナーを考えた時、一番大切なのは、より自分らしく生きられること。異性か同性かで線を引くこと自体、ある意味ナンセンスなのかもしれません。仮にアナタが新しい愛に目覚めたとしても、LEONは変わらずご愛顧いただけるものと信じておりますよ。

● 砂川秀樹(すながわ・ひでき)

文化人類学者。文化人類学者。新宿二丁目に関する博士論文で、東京大学より博士号(学術)を取得。また、オープンリーゲイとして、1990年からHIV/AIDSやLGBTに関するコミュニティ活動をおこなってきた。著書に『カミングアウト』(朝日新書)、『新宿二丁目の文化人類学』(太郎次郎社エディタス)など。

※情報出典/https://yougov.co.uk/news/2015/08/16/half-young-not-heterosexual/

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