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2018.05.28

建築家ル・コルビュジエはインドの街チャンディガールで何を感じ考えていたのか?

ル・コルビュジエが都市計画を手掛けたインドの街、チャンディガール。街づくりにあたって彼が遺した資料やスケッチを通じてその精神の深層に迫る展覧会。会場はリニューアルした建築倉庫ミュージアムです。

CREDIT :

文/只野仁志

近代を代表する建築家として知られるル・コルビュジエ。日本では一昨年、世界文化遺産にも登録された国立西洋美術館が有名ですが、彼は「LC1」「LC2」「LC4」などソファや椅子の名作でも知られるように、建築設計に留まらず幅広い分野で多くの業績を残しています。その自在な発想の一端を窺える興味深い展覧会が現在、天王洲の「建築倉庫ミュージアム」で開催中です。
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「ル・コルビュジエ/チャンディガール展‐創造とコンテクスト‐」はル・コルビュジエが都市計画を立案し唯一実現した北インドの都市、チャンディガールに注目した企画展です。
チャンディガールは1947年にイギリスから独立したばかりのインドが、新しい国を象徴する都市の建設を目指して構想した街。
設計の依頼を受けたル・コルビュジエは、ヨーロッパから遠く離れたその土地で、ヒマラヤ山脈に近い自然環境や風景、またインドの風土や文化などを強く意識して都市計画と主要建築物の設計に臨みました。
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ル・コルビュジエによるスケッチ。左上は水盤に面したファサードの透視図、人物、植栽、「開かれた手」付。左下は周辺環境を伴った議事堂の透視図(俯瞰図)
彼は1951年、63歳の年に初めてインドを訪れると、その後20回以上も渡印して計画を指揮しました。
機能主義、合理主義を旨として大地からも歴史からも自由になることを志向していたモダニズム建築。その流れを牽引してきたル・コルビュジエでしたが、チャンディガールと出会い、改めて建築の原点ともいえる土地や文化、歴史と向き合うことで、新たなインスピレーションの源泉を得ることとなります。
それは彼の後の作品にも大きな影響を与え、結果、従来のモダニズム建築を超える新しい建築を志向していく、その端緒がこのチャンディガールにあったもと言えるのです。
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展示では貴重な建築資料や模型、建築家自身の手によるオリジナルスケッチや油彩画、リトグラフなどの美術作品に加えて、写真家ホンマタカシ氏がチャンディガールで撮影した写真や映像作品も紹介されています。
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写真家ホンマタカシ氏によるチャンディガールの写真と映像作品。
またチャンディガールの都市計画の中心をなすキャピタル・コンプレックスと呼ばれるエリアの主要な3つの建物(「高等裁判所」「議事堂」「合同庁舎」)が1/100のスケールでモデル化され、これらを実際の位置間隔と同様に展示室床に配置して、来館者はその中を自由に歩き回れるのも非常に興味深い体験です。
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キャピトル・コンプレックスの1/100模型。上は合同庁舎、下は議事堂。
ル・コルビュジエはチャンディガールで何を見て何を感じ、何を考えたのか。展示を通じて彼の作品に宿る、近代思想をも越えようとする精神の萌芽を感じてみてはいかがでしょう。
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ヒマラヤ山脈のシルエットを背景にした計画全体の立面図。

ル・コルビュジエ/チャンディガール展‐創造とコンテキスト‐

期間/5月26日(土)~7月16日(月・祝)
会場/建築倉庫ミュージアム
住所/東京都品川区東品川2-6-10
開館時間/11:00-19:00(最終入館18:00)
休館日/月曜
入場料/一般3000円、大学生/専門学生2000円、高校生以下1000円
主催/建築倉庫ミュージアム
URL/https://archi-depot.com/exhibition/le-corbusier_chandigarh

建築倉庫ミュージアム
東京・天王洲にある建築模型に特化した国内唯一の展示施設。建築模型を広く一般に公開する「ミュージアム」であるだけでなく、模型専門の「保存」機能を持つ、新しい形のミュージアム。2017年末から一時休館していたが、本展覧会がリニューアル後初の企画展となる。
URL/http://archi-depot.com

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