2021.04.24
松山英樹の「マスターズ制覇」で‟ゴルフ熱”沸騰中!
久々に明るい話題を届けてくれた、松山英樹選手の日本男子初の海外メジャー「マスターズ」制覇のニュース。優勝後すぐに、彼が使用したドライバー『スリクソンZX5』、キャップ、ウェアは在庫切れしたという、その経済的効果に迫ります!
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文/嶋崎平人(ゴルフライター)
これまで日本人だけでなく、アジア勢で誰も制覇したことのない、この大会に名前を刻んだ。松山には、優勝賞金として207万ドル(約2億2700万円)と終身のマスターズ出場権が与えられた。
世界のトップゴルファーにとって、マスターズに出場することが1つの目標であるが、松山はニクラス、ゲーリー・プレーヤー、タイガーなどの伝説のゴルファーと並び、いつでも出場できる権利を得た数少ないトッププロとなった。
それだけに、この歴史的快挙は想像以上の大きな経済効果を生み出すことは間違いない。
松山をサポートするスポンサー企業
各社との契約内容は公開されていないが、メジャーであるマスターズを勝ったときのボーナスのオプションをつけている可能性がある。また、今後CMのオファーは増えるであろうが、マスターズチャンピオンであれば、高額の出演料が期待できる。この勝利により、松山英樹の価値は飛躍的に向上した。
松山英樹が優勝したマスターズのテレビ放送は、アメリカだけでも1000万人近くが視聴。日本、イギリス、フランス、スペイン、ドイツ、韓国、オーストラリアほか世界で放送された。また、マスターズのウェブサイトでも提供され、世界のどこからでも見ることができる。
優勝争いした松山が映し出された時間は数時間に及び、世界に発信されたと考えれば、スポンサーブランドのPR効果は相当な金額に上るだろう。
松山をサポートするスポンサーの企業価値もアップしそうだ。スポンサーの中で直接的な効果が大きいのは、ゴルフ用品を販売している住友ゴム工業である。同社は松山とゴルフ用品使用契約をプロ入りした2013年から結んでいる。ゴルフクラブ、ボール、キャップ、ウェア、シューズ、手袋、キャディバッグなど、ゴルフに必要なものすべてだ。
同社の広報担当者によると、「松山プロが使用しているドライバー『スリクソンZX5』はもともと人気で、優勝により在庫はすぐになくなり、使用しているキャップ、ウェアも同様です」という。このドライバースリクソンZX5は、松山が2020年から使い始めたクラブである。
それまで、松山がPGAツアーで5勝したうち4勝は、他社のクラブを使用していた。形状・性能に徹底的にこだわる松山のために開発陣を総動員し、自社のドライバーに変えてのマスターズ勝利だ。
マスターズのマークの入った限定ボールや、大会で松山のキャディが担いでいたマスターズ限定モデルもすでに売り切れとのことで、担当者はうれしい悲鳴を上げていた。
山本悟社長も「誰もが夢見ていた日本人初の快挙、大変感動しました。ギアでサポートするという立場でともに戦ってきた成果がこのような形で実を結び、関係スタッフおよび社員一同心より喜んでおります」とお祝いのメッセージを出している。
松山のマスターズ優勝の効果が現場にも
タイトリストにはジャスティン・トーマス、ブリヂストンにはタイガー、デシャンボーがいる。そして松山がマスターズを勝ったことで、ゴルフボールの売り上げ伸長がとくに期待できる。
ゴルフ用品販売の二木ゴルフの取締役・北条圭一氏は、以下のように語った。
「毎年マスターズの翌週はゴルフマインドが高まってゴルフ用品が売れる。今年は松山の優勝が決まった月曜日はそこそこだったが、13日(火)、14日(水)、15日(木)は例年のマスターズ後に比べてはるかに動きがよかった。松山が使っているギアへの問い合わせも多い」
マスターズ優勝の影響が如実に現場に表れてきている。日本のゴルフ用品市場はレジャー白書によると3440億円(2019年)。コロナ禍で「3密」を避けられる屋外スポーツのゴルフを始める若者が増えて、初心者セットが売れてきているが、さらに松山のマスターズ優勝の追い風である。
さらにゴルフ場やゴルフ練習場にも波及している。千葉セントラルゴルフクラブの大谷弘子支配人は、「松山優勝の後、予約がこの1週間で5%増えて、次の週末は問い合わせが多くお断りしている状況です」と、松山の優勝でゴルフマインドに火がついたのではないかと話していた。
全日本ゴルフ練習場連盟の横山雅也会長は「松山プロのマスターズ優勝のあと、子どもにゴルフをやらせたいがどうしたらよいかとの問い合わせが増えてきた」という。いくつかの練習場にも聞いたが、松山優勝の後にゴルフマインドを刺激されたのか、優勝が伝えられた月曜日に来場者が多かったとのことだ。
ゴルフのさらなる起爆剤に
3年前に筆者がマスターズでゲーリー・プレーヤーに、どうしたら日本のゴルフを盛り上げられるかを聞いたときに、ゲーリーは「俺を見ろ。メジャーチャンピオンが出れば、子どもたちがゴルフに興味を持ちゴルフをする若い世代が増える」と語っていた。
さらにそのとき、日本人で誰がなれるかという質問に「MATSUYAMA」と答えてくれた。それが今実現した。松山英樹がメジャーチャンピオンとして、グリーンジャケットを着て4月14日に凱旋帰国したリモート会見で「オリンピックで金メダルを狙いたい」と前向きな発言をした。
マスターズに続き、オリンピックで金メダルを取れば、ゴルフのさらなる起爆剤になることは間違いない。