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2021.02.20

「すべてをやろう」は脳の癖。「やらないこと」を決めて切り捨てよ

つねに黒のタートルネックにジーンズだったスティーブ・ジョブズのように、着るものをあらかじめ決めている成功者は珍しくない。その理由は、重要事項を抱える彼らは、決断する回数が多くなると判断の質が低下することを知っているからだった。

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文/ミアン・サミ(投資家)

記事提供/東洋経済ONLINE
金融庁の報告書に端を発した「老後2000万円問題」が衝撃を与える一方、コロナ禍でますます先行きは不安に……。「将来は不安だが、投資をするのも怖い」と人々が考えるのは当然だ。

そんななか、30代で資産10億円を築いた個人投資家・ミアン・サミは「理想のライフスタイルのためには、ギャンブルではない、正しい投資の知識を身につけることが重要」と語る。“お金の科学者”としてデータにもとづいた投資の方法論を提案する『教養としての投資入門』から一部を抜粋・再構成して紹介する。
写真提供/shutterstock
投資では、リスクを分散するためにも、あらゆる金融商品に分散投資するのが基本的なルールです。しかし、お金ではなく時間をどう投資するかを考えるときには、分散投資ではなく最大限の集中投資をすることが重要です。

つまり、あれやこれやと「やること」を増やすのではなく、まずは何を「やらない」かを明確にしてそれを容赦なく切り捨てます。

決断回数の増加で脳が「決定疲れ」を起こす

実は私たちの生産性を制約する脳の癖があります。

それは「すべてをやる」という癖です。

時間・お金や体力が限られていることは、誰もが頭では知っているにもかかわらず、それでも「やりたいことはすべてやろう」という無謀な考えが湧き出てくることがあります。この考えがある以上、生産性の向上は見込めません。

「すべてをやる」という脳の癖は、科学的にあなたの生産性や判断能力を下げることが証明されています。元アメリカ大統領のバラク・オバマは、ほぼ毎日同じ色のスーツしか着なかったといわれています。また、スティーブ・ジョブズもつねに黒のタートルネックにジーンズというスタイルでした。

彼らに限らず、多くの成功者の中でも、着るものなどをあらかじめ決めている人は珍しくありません。彼らにとっては、ほかに決断をしなくてはならない重要な事項があるので、できるだけ決断の数を減らす必要があると考えているのです。

人は決定する事柄が多くなると、判断をつかさどる脳が疲労して、決定の質が低下することが科学的に明らかになっています。これを、心理学では「決定疲れ」と呼んでいます。

決定疲れの要因は2つあります。1つが、意思決定を長時間繰り返したあとには、個人の決定の質が低下するという現象です。これは、どんな服を着るのか、何を食べるのかなど日常生活のどんな小さな決断でさえも同様で、数が増えれば増えるほど決定の質が低下するといわれています。

もう1つが、意思決定の回数が増えれば増えるほど、意思決定能力が下がるという現象です。私たちは普段の生活の中でも約2万回の判断を行っているといわれています。膨大な情報が飛びかう現代ではなおさら、さまざまな情報に対して、意識的、無意識的にかかわらず多くの判断をしています。判断の数が増えれば増えるほど、脳は決定疲れを起こし、良質な判断ができなくなっていきます。

ですので、まずはそれらの情報や選択肢を最小限に削って、あなたが行う判断の回数を減らすようにしていきます。それが、「やらないことを決める」ということです。

やらないことを決めると、新しい情報が入ってきても、「やるか」「やらないか」の判断をする必要はなくなります。

頭ではすべてをやることが不可能だと知っているのに、やらないことを明確にできないのは「もしかしたら、いつかすべてをやれるかも」という願望によるものです。ですが、それは、果たされることのない願いです。まずはこの希望を打ち砕くところから始めていきます。
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「すべてをやろう」という脳の癖

私はかつて飲食業の事業を経営していました。安心安全な食材を使って安価な料理をお客様に提供するというシンプルな思いから始まりました。最初は小さな飲食店からスタートし、やがて事業は軌道に乗り始め、効率化を図るためにすべての業務を電子化することにしました。その後SNSを本格的にやることも決め、特別メニューを毎月開発し、デリバリーも始め、フランチャイズ化も同時に始め、店舗も増やして、本格的な従業員の教育制度を開始し、最終的には食材の自宅配送までやることにしました。

その結果、どうなったと思いますか。

私は1億円以上の損失を抱え、事業は失敗に終わりました。

私自身がすべてをやろうとして忙殺されていた以上に、従業員に対してもすべてこなすようにと要求していたのです。結果、この事業は失敗し、大きな悔いが残ることになりました。

アメリカの起業家、投資家であり、PayPalの創業者のピーター・ティールは、部下に1つのことだけに徹底的に集中するよう要求したそうです。私はこのことを知っていたにもかかわらず、「すべてをやろう」という脳の癖の餌食になっていたのです。

この脳の癖の餌食にならないためには、やらないことをまず先に決めることが必要です。とても真面目なあなたも、幼い頃には親からすべてやるまで遊べないと言われ、学生時代は課題をすべて提出するように言われ、社会人になったら上司や同僚に頼まれた仕事や付き合いを断れず、すべて引き受けてしまっているかもしれません。

すべてをやるという癖は何十年もの時間をかけて、私たちに染みついてしまっています。だからこそ実践を通して、少しずつ効果を感じながら変化させていく必要があります。

そこで、私自身も取り入れた簡単な実践方法をご紹介しましょう。 
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ステップ0

「もしかしたら、いつかすべてをやれるかも」という希望を打ち砕くための準備段階として必要なことは、あなたの「やること」「やりたいこと」「やるべきこと」「やったほうがいいこと」、その他すべてのことを可視化することです。これらのことが漠然と存在している以上、先には進めません。

ステップ1

まず初めに、白紙にあなたが仕事やキャリアで成し遂げたい、やること、やりたいこと、やるべきこと、やったほうがいいこと、いつかやりたいことを合計25個リストに書き出してください。

例えば私の場合は、①投資のオンラインスクールを作る(やること)、②家族で世界を旅しながら各国に投資をする(やること)、③マイクロファイナンス事業を発足する(やりたいこと)、④小学校の先生になる(やりたいこと)、④中国語を習得する(やったほうがいいこと)、⑤体重70㎏以下、体脂肪20%以下になって割れた腹を手に入れる(いつかやりたいこと)といった感じでした。

もし、仕事やキャリアだけに限定してしまうと25個も出せないという人は、それ以外に人生で達成したいことでもいいでしょう。私は、7〜8個を書き出した段階で手が進まなくなったので、「割れた腹を手に入れる」など、仕事やキャリアと関係ないと思われることも書き出しました。  

ステップ2

書き出した25個のゴールの中でも、とくに、絶対に成し遂げたい5つのことに〇(マル)をつけます。

ステップ3

〇(マル)をつけなかった5つ以外の20個のことには、2重線を引きましょう。この2重線を引いた20個のことが、まさにあなたが絶対「やらない」ことになります。
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限られた時間を集中投資するために

実は、このワークは世界的な金融投資家であるウォーレン・バフェットが、飛行士として10年間勤めていたマイク・フリントという従業員に対して行ったワークだといわれています。ワークを行ったマイクは、25個中20個に2重線を引くことにとても抵抗を感じたそうです。いつか、それらのことも成し遂げたいと願っていたからでしょう。

しかし、ウォーレンは、「絶対に成し遂げたい5つのことだけに時間を集中して、他の20個には、1秒も時間を投資するな」とアドバイスをしたそうです。

ポイントは、あなたの理想のライフスタイルを実現するためには、実現したい事柄を5つ程度に絞り、そのほかのものはすべて絶対やらないと決めていくことなのです。

実は私たちの生産性を低くするのは、このリストに混在する「やりたい」や「やったほうがいい」ことなのです。これらはあなたの集中力を喪失させ、怠慢の原因になり、罪悪感の源でもあります。やること以外の20個を切り捨てることに大きな抵抗を感じるかもしれません。しかし、「多芸は無芸」という言葉があるように、物事を中途半端に終わらせないためにも、あなたの限られた時間を集中投資することが必要なのです。

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当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です

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